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姉の代わりにVTuber  作者: 下田 暗
第十三章 進む道
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姉の代わりにVTuber 205


「――えっとぉ……、こちらが穂高ほだか君のお姉さん、美絆みきさん」


穂高達の元に訪れた瑠衣るいに、春奈はるなは、一人一人、美絆達を紹介していた。


「こんにちはッ! 春奈ちゃんのお友達!!」


「――あ、こんにちは。

四条しじょう 瑠衣るいです」


美絆は春奈に、簡単に紹介されると、気さくな様子で瑠衣に話しかけ、瑠衣も、春奈のテンションに若干押されるも、すぐに返事を返した。


「うひょ~~~ッ! 春奈ちゃんとは、また違ったタイプの生JKだよ? つばさちゃん!?」


「――う、美絆さん…………、初対面でそのリアクションは……」


瑠衣と会話を交わした美絆は、興奮した様子で、仲の良い翼に話しかけるが、美絆の反応に、翼は乗る事が出来ず、瑠衣の反応を伺いつつ、苦笑いで美絆の反応を注意した。


喜びを見せる美絆に対し、瑠衣は、ドン引きする事は無く、それよりも別の事が気になっていた。


「――ね、ねぇねぇ、天ケ瀬君……。

本当にお姉さん??」


美絆に気付かれないよう、こっそりと尋ねてくる瑠衣に対し、穂高は、美絆の様子を見ながら、ため息交じりに答える。


「不本意ながら、義理でもなく、純度100%の姉貴だよ……」


「め、めちゃめちゃ美人だねッ!?」


「口を開かなければな……」


穂高の姉を称賛する瑠衣だったが、穂高はその称賛を素直に受け止めず、皮肉交じりに答えた。


穂高と瑠衣のやり取りに、春奈は乾いた笑みを浮かべた後、紹介がまだだった翼を紹介する。


「――えっと……、こちらが月城つきしろ つばささん。

最近お世話になってて……」


「ん? お世話?? 春奈が?」


春奈は、友人と紹介するには、まだ日も浅かったこともあり、少しだけ濁して説明したが、当然、瑠衣は違和感を感じ、それを口に出した。


「えぇ? あ、えっとぉ…………」


瑠衣の質問に、春奈が答えあぐねていると、翼の方が質問に答える。


「友人ですよ? 杉崎すぎさきさんとは……。

まだまだ、知り合って日が浅いですが、これからもっと、仲良くなっていきたいと思っています。

――私に、こんな贈り物もくださいましたし……」


翼は淡々と春奈との関係を話し、つい先程、穂高から渡された、『ジイかわ』グッズを、瑠衣に見せるようにし、そう答えた。


「え? あ、あぁ、そうなんですか?

私もハルとは、長い付き合いで……、良ければ、私ともよろしくお願いします!」


「えぇ! こちらこそ、よろしくお願い致します」


翼と瑠衣は、互いに頭を下げ、そんな会話をし、翼にハッキリと友人と呼ばれた事と、仲の良い友人と翼が、そんなやり取りをするのを見て、春奈は、自然と笑みが零れた。


そして、翼の紹介を終えた春奈は、最後に残った一人の女性、ゆいの紹介をしようとした。


「それで、彼女がッ……」


春奈が口を開き、唯を紹介しようとしたその時、春奈の言葉を遮り、唯の方から瑠衣に声を掛けた。


浜崎はまさき ゆいです!

春奈ちゃんとは……、友達っていう感じより、仲間ッ!って感じかな??」


「――仲間…………??」


唯の自己紹介に、瑠衣は困惑の表情を見せ、穂高も唯の言葉には、納得がいかなかったのか、小声で「おい」と呼びかけた。


「まぁまぁ、良いじゃん良いじゃん、仲間ッ!

ねぇ~~? 春奈ちゃん??」


「――えッ?? あ、まぁ、そうですね」


唯は強引に、その紹介の仕方で乗り切り、春奈も否定する理由が特に無かった為、唯の言葉に賛同した。


そうして一通り、春奈と穂高の関係者をし終えた所で、瑠衣は春奈に向けて、疑問を投げかける。


「な、なんか、春奈。

意外な交友関係が広がってたんだね……」


「あ、え……? ま、まぁね~~……」


春奈と一緒に遊ぶことも多かった瑠衣は、春奈の交友関係について、ある程度知っていると思い込んでいたが、穂高の姉である美絆は例外として、唯と翼の存在は意外だった。


翼も丁寧な口調で、お嬢様のような、特徴ある女性であったが、それ以上に、見た目の面で、唯が異色であり、髪は紫に染め、耳にはピアスと、中々に奇抜なスタイルである為、瑠衣は気になっていた。


(ど、どうやって知り合ったんだろ……。

唯さんも翼さんも悪い人には、見えないけど、春奈の今までの交友関係を鑑みても、意外というか、なんと言うか…………)


混み入った話は、唯たちを前にしては聞けず、瑠衣は疑問を胸に秘め、春奈に別の話題を振る。


「――そういえば、ハル、いつ頃戻る? 教室。

そろそろ、演劇の為に戻んなきゃ駄目だよね??」


『桜祭ベストペアSHOW』も終え、いい時間になりつつある状況の中、瑠衣は、春奈に自分のクラスの出し物の話をした。


「うん……、そうだね。

衣装の準備とかもあるし、そろそろ戻った方が良いかも……」


瑠衣の意見に賛同する春奈に、瑠衣たちの会話が気になったのか、唯が声をかける。


「え? なになに?? 春奈ちゃん、演劇でもするの?」


「はい、『ロミオとジュリエット』です」


「えぇ~~? ロミジュリ?? 見たいッ!

穂高は出るの?」


唯はテンション高めに、今度は穂高に話を振った。


「俺は出ないよ。

春奈はジュリエット役だぞ?」


「――そりゃ、そうでしょ?? 春奈ちゃんみたいな美人がやらなくて、誰がやるのよぉ~~。

――――あ、でも、春奈ちゃんの友達の、瑠衣ちゃんがやるのも、悪くないかも……」


唯は、「ヘヘへ」と笑みを零しながら、瑠衣にそんな言葉を放ち、唯の言葉に瑠衣は、検層するように答えていた。


瑠衣と唯のそんなやり取りを尻目に、穂高は美絆に声をかける。


「母さんは、いつ来るんだ?」


「え? あぁ、もうそろそろ来ると思うよ?

穂高に言われた事、気にしてたみたいだし、劇は絶対に見に来ると思う」


「――そうか」


静香しずかの事を、穂高は美絆に確認し、春奈と瑠衣は、劇の準備という事もあり、穂高達の集団から、外れて行った。

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