表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姉の代わりにVTuber  作者: 下田 暗
第十一章 祭の支度(前)
175/228

姉の代わりにVTuber 173


「――『チューンコネクトプロダクション』に来てたって……。

春奈はるなか?」


浜崎はまさき ゆいの質問に、穂高ほだかは、すぐに答えを出し、唯が春奈の話題を出してきた事を、意外に思った。


「え? 春奈ッ!? 

なッ……、そ、そんな関係なの??」


以前、『チューンコネクトプロダクション』に、穂高と春奈が訪れた際には、穂高は春奈を、杉崎すぎさきと呼んでおり、穂高の言葉を聞いた唯は、激しく動揺した。


「そんなってなんだよ」


「そんなって……、あ、アレだよッ! アレッ!!

恋人的な??」


「はぁ??」


慌てふためく唯に対し、穂高は間抜けな声を出した。


「あり得ないだろ、俺と春奈が恋人なんて……。

お前、春奈がどれだけ学校でモテモテか知らないだろ??」


「やっ……、そ、それは関係ないでしょ?

前に会った時は、名前で呼んで無かったじゃん! 関係が進呈したと思うじゃんッ!?」


ヒートアップする唯に対し、穂高は淡々とした様子で答え、唯が勘違いする理由に、あまり納得もいっていなかった。


「お前だって俺の事、名前で呼んでるだろ?

別に、変な事じゃ無いし……。

――とゆうか、なんだよ。 聞きたい事があったんじゃないのか??」


会話が段々と脱線していっている事から、穂高が本来の話題へと戻し、唯も穂高の言い分が気に入らないのか、不満を感じている様子だったが、穂高に促されるように、本来の話題を切り出した。


「い、いやまぁ……、聞きたい事って言うのは、あるんだけど……。

な、なんて言ったらいいものか…………」


質問をし始めた唯だったが、いざ本題を切り出すとなると、上手く言葉にならず、しどろもどろな話し方になった。


「おい、大したことじゃないなら、もうボイス切るぞ~?

やる事、まだ残ってるし」


「ちょッ、ま、待ってッ!!

今から言うからッ」


中々切り出さない唯に、穂高がしびれを切らすと、唯は慌てて引き止め、覚悟が決まったのか、ようやく話し始める。


「――あ、あのぉ~~っさ? 春奈ちゃんってどんな感じの人??」


「はぁ???」


唯の質問に、穂高は先ほどよりも気の抜けた声が出てしまい、唯の意図がまるで分からなかった。


「なんで春奈の事なんて知りたいんだ?」


「えッ!? あ、まぁ……、いや~~、興味??

か、可愛い子だったしさッ!?」


唯の言葉に、穂高の不信感は増し、唯が何を考えているのか、まるで見当が付かなかったが、唯にそれを答えた所で、悪用されるわけも無かった為、穂高は唯の質問に答え始める。


「どんな人も何も……、別に普通の人だぞ?

――後は……、勤勉で努力家」


「ふんふん、それで?」


「それで??

う~~~ん……、部活とかもやってて運動神経は良かったな。

勉強も並以上には出来るし、人望もある」


抽象的な質問を投げかけ、答えさせていた唯だったが、穂高の答えが詰まっている事に気づくと、今度は、具体的な質問をし始める。


「性格は? どんな感じ??」


「性格? まぁ、優しい……かな。

クラスでは、明るくて活発なイメージがある」


穂高は唯の事を考えながら答えている中で、少し祇園が浮かび上がった。


(――そういえば、春奈って、クラスメイトがいる教室と、二人で一緒にいる時とじゃ、違いがあるよな……。

明るいは明るいけど……、クラスメイトと喋ってる時の方が、より活発? とゆうか、明るいというか……)


穂高は上手く言葉にできなかったが、端から見る春奈のイメージと、ここ最近で二人でいる事が多くなり、その時に接している春奈のイメージに、少し食い違いがある事が分かった。


しかし、その疑問について深く考えている時間は無く、質問するのに慣れたのか、その後も春奈の事に関して、いくつか質問をされた。


「――――まぁ……、こんなところかな……。

まさか、春奈ちゃん、財前ざいぜん アリス推しだったとはねぇ~~」


唯はその後も、5,6質問を穂高にし、穂高の質問から大体の人物像が固まったのか、満足したように呟いた。


「でも、穂高は詳しいね? 春奈ちゃんの事」


「まぁ、なんだかんだで交流は多いし、アッチはどう思ってるか分からないけど、ほぼほぼ友達みたいなものだからな」


穂高は、人気者である春奈に対して、友人と呼ぶのはおこがましいと感じつつも、遠慮がちにそう答えた。


「友達ねぇ~~。

穂高に、穂高に女友達……」


「はぁ~~……、自分でも自覚してるよ。

友人として、釣り合ってない事ぐらいは……。

――じゃあ、もういいか? 切るぞ??」


唯に痛いところ付かれたと感じた穂高は、ため息交じりに話し、最後は投げやりな様子で、唯に告げた。


「あぁ……、ちょっ、もう??」


「また、今度な? じゃあ」


まだまだ話したりないといった様子の唯だったが、穂高が限界であり、やる事も残っていた為、半ば強制的に、通話を終了させた。


「――たく……、思わぬ時間を取られた」


穂高は、悪態を付きながら、今度は学業、学校から提示された課題へ取り掛かる。


穂高がペンを走らせていると、今度は携帯にメッセージが届いた。


(なんだ? またハチか??)


つい先ほどまで通話していた事から、唯からの着信だと思いつつも、穂高は携帯を取り、メッセージの送り主を確認した。


穂高がメッセージを確認すると、そこには、予想とは違い、佐伯さえきの文字が掛かれており、唯からのメッセージでは無かった。


佐伯  お疲れ様。

    急で悪いんだけど、穂高君に聞きたいことがあって。

    少し前に、カグヤに声が似てるって事で、ストーカー被害を受けていた子がいたでしょ?

    あの、春奈ちゃんに関して、ちょっと色々聞きたいんだけど……。


佐伯の送られたメッセージを見て、穂高は一瞬驚きつつも、内容に疑問が浮かび上がった


(佐伯さんも??

――なんで、急に春奈の事知りたがってるんだ?)

    

穂高は疑問を感じつつも、唯にしたように、佐伯から来るいくつかの質問に答え、春奈の情報を伝えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ