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姉の代わりにVTuber  作者: 下田 暗
第九章 夏休み
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姉の代わりにVTuber 137


 ◇ ◇ ◇ ◇


ビーチバレー 第三回戦。


クラスの6割が参加するビーチバレーのトーナメントも、第三回戦まで進み、穂高ほだか春奈はるなは、奇跡的に勝ち進んでいた。


ペア数の関係から、準決勝の扱いになる第三回戦、穂高達の対戦相手は、あきら瀬川せがわだった。


「ごめんッ! 天ケ瀬君あまがせ! お願いッ!!」


瀬川のコントロールの良いサーブは、コートの端へ飛んでいき、春奈は体制を崩しつつ、レシーブした。


「オーライ」


無理な体制から上げられたボールは、綺麗なトスを上げるには、ボールの位置も、高さも十分では無く、スパイクに続ける事は出来なかった。


二打目でボールを返した穂高は、すぐに体制を整え、相手の攻撃に備える。


「甘いぞッ! 天ケ瀬あまがせッ!!」


穂高の考えを呼んでいた瀬川は、そう叫ぶと、自身のコートにボールが侵入する前に、持ち前の身長を活かし、返すだけで精一杯だった穂高のボールを、穂高達のコートにブロックで叩き落した。


「よ、容赦ねぇな……」


ブロックが成功し、ニヤリと笑う瀬川に、穂高は呼吸を乱しながら、呟いた。


「天ケ瀬君、ごめん~~ッ」


瀬川を軽く睨んでいた穂高だったが、すぐにチームメイトである春奈の声が掛かり、春奈の声に反応するように、穂高は振り返る。


「いや、俺こそ悪い、フォロー出来なくて……。

もっと、あのノッポを考慮して、相手に返すべきだった」


点を決められた穂高は、嫌味っぽく、相手の瀬川にも聞こえるくらいの声量で答えた。


「の、ノッポって……、確かに瀬川君はデカいけども。

でも、やっぱり決勝も近くなってきてるだけあって、流石に強いね~、相手も……」


「バスケ部スタメンの、運動神経抜群の二人だしな……。

正直、ここまで駒を進められただけ、御の字だろ」


穂高は、諦めまでは行っては無いものの、瀬川達に対して、勝てる見込みはあまりなかった。


「でもまぁ、このまま余裕勝ちされるのも、癪だし、ちょっとビビらせるぐらいはさせたいよな~~」


「そうだねッ

彰もまだ表情に余裕があるようで、癪だし……、がんばろうッ! 天ケ瀬君ッ!!」


三回戦までともに戦った事、この試合まで、良い雰囲気でチームを組めていた為、穂高と春奈は劣勢でも、勢いを落とすことなかった。


そして、穂高と春奈は、一矢報いようと気持ちを改め、瀬川達に再度、挑んだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇


「いや~~~、健闘してたなぁ穂高~~」


試合を終えた穂高は、決勝戦を見学しようと、コートの近場に腰を降ろしていると、友人の武志たけしが穂高に声を掛けてきた。


「武志か……。

まぁ、結局負けちまったけどな~~。

っていうか、卑怯だろ? あいつ等……。

レジャーなのに、ガチじゃん、バスケ部の運動神経良い同士で組んで……」


「――確かに……、彰なんて、お前に勝てて、すげぇ嬉しそうにしてたぞ??」


「アイツッ…………」


武志の言葉で、彰の悦に浸る表情を、穂高は容易に想像でき、その憎たらしい顔を思い浮かべ、恨めしそうに呟いた。


そうして、武志とビーチバレーの感想を、穂高はしばらく話し、そんな会話をしている中で、あることに気付く。


「――準決勝も終わって、決勝のカードも決まった事で、結構ギャラリーが増えて来たな……。

ビーチバレー参加組だけじゃなくて、他の事をしてた3-Bの奴らも集まって来てるし」


「確かに……、他の生徒も帰ってきてる…………。

――――っていうか、こうやって改めて見ると壮観だよなぁ~~、ウチのクラスの女性陣はッ」


「はぁ??」


何気なしに振った話題に、武志はニヤニヤと笑みを浮かべ、意気揚々と話し始め、「急に何の話だ?」と言わんばかりに、穂高は怪訝そうな表情を浮かべた。


「穂高もそう思わないか?? 天国だよここは…………。

四天王の方々に加え、愛葉あいばさんを筆頭に、負けず劣らずのいくつかの女性陣……。

今日、海に来て、意外とグラマーな体をしていた女子生徒ッ!! ホントに来てよかった……、知れてよかった…………」


「おい……、女子生徒にでも聞かれでもしたら、お前の学校生活は終わるぞ?

っていうか、セクハラだぞ??」


今にも天に上りそうな武志に、穂高は、周りの目を気にしながら、軽く武志に注意した。


「はぁ~~~? 今日くらいは無礼講だろ??

ほれ、見てみろ? お前は、あんなに美しい杉崎すぎさき 春奈はるな嬢とさっきまで、一緒にバレーしてたんだぞッ!?!?」


武志に言われ、穂高は何となく、春奈に視線を向けた。


今までジロジロと、きちんと春奈の水着姿を見てはおらず、穂高は改めて春奈の水着を見る。


春奈の水着は、タンキニと呼ばれるビキニとタンクトップが合体したような水着であり、肌の露出はそこまでなく、水着というよりは洋服に近い水着だった。


黒色のタンキニに、下は運動部らしく動きやすいショートパンツの水着であり、白を基調したパンツに、柄として、黒色でヤシの木や葉のような物がデザインされていた。


可愛い、綺麗というよりは、カッコいいというような印象であり、凛々しさのある春奈にはよく似合っていた。


「改めてみると、ありゃ、増々女性人気が出るよな……」


春奈の水着姿を見て、女性としての魅力も感じはするものの、カッコいい印象が先行する事から、穂高は苦笑いを浮かべ呟いた。


(どうしてもっと可愛い、女子らしいビキニを着てこなかったんだ??

本人も、同性にモテてしまう事を気にしてる節があったし、普通のビキニを着て来ても良いのに……)


穂高には、春奈の心情を読み解く事は出来なかったが、春奈の水着姿を見て、そんな感想を思い浮かべた。


四条しじょう 瑠衣るいさんも最高だよなぁ~~。

凄い、ゴージャスな雰囲気というか、リゾートに居そうな雰囲気あるよな」


春奈の水着を見ていた穂高に対し、武志は今度は、瑠衣へと視線を飛ばしており、瑠衣の水着ついて話し出した。


「――あ~~、あれか……、確か、パレオとかっていうヤツじゃないのか?

四条は、あぁ見えてお嬢様だしな……。

気さくな性格も相まって、偶にその事を忘れがちだけど…………」


穂高も、瑠衣へと視線を向け、武志の言葉に反応した。


瑠衣も、胸元の露出は無いが、春奈よりも上半身の露出は多く、肩は大胆に露出し、首元からへそ下まで伸びた、白い水着を着ていた。


背中もガバリと開け、露出しており、春奈と比べれば大胆な水着であり、緑を基調とした、鮮やかな花柄のデザインが、施されたパレオも相まって、魅力的に映った。


(こういった水着を着てくるあたり、四条はやっぱり、周りと違って少し大人びてるって言うか……。

発育も…………、いや、マズいマズいッ! 思考が武志寄りになってきた……)


露出していない胸元でも、瑠衣の豊満な胸は確認することが出来、いやでもそこに、視線が移ってしまう事で、穂高も邪な考えが過った。


「あんまり見てると、女子に煙たがれるぞ?

――ほら、決勝もそろそろ始まる事だし、ジロジロ観察するのは止めろ」


邪な考えが過った事で、穂高は我に返り、武志がそれ以上、女子生徒に視線を向けるのをやめさせ、決勝戦を見る事を勧めた。


そして、その穂高の言葉からもう間もなくして、ビーチバレーの最後の試合が始まった。


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