未開の奥地にて ~ハイリンダの青春録~
今回はちょっとグロいです
――ヘカ族の習性と風習について―――
メキシコのサンアントニオ地域は第一次世界大戦以前は未開の土地であった。開拓当時の資料と開拓人の日誌、伝聞、流布等から記された、開拓前からそこに居たとされる【ヘカ族】についてココに記す。
最初にヘカ族の名前が確認されたのは、開拓当初の日誌である。森の奥に掲げられた篝火を見つけた開拓人が森の奥へと進んだところ、篝火を囲み歩いていたとされる。
ヘカ族についての殆どが目撃情報であるにも拘わらず、一つだけ交戦記録が残されていた。次に示すのは原住民と移住民との確執を現す貴重な資料だ。
――森の奥地にて薬物と思われる植物を摂取している一族を確認。薬物による錯乱からか大鉈で仲間の両足首を切り落とし、切られた仲間は短くなった足で篝火の周りをズルズルと歩き続けていた。それも絶命するまで…………
その場に偶然居合わせた我々は見付かってしまい、必死で抵抗したが開拓民である少女が一人奴等に捕まってしまった。我々は恐怖のあまり少女を見捨ててしまったが、暫くして少女は無事帰宅した。得に何も無かったようだ。
その一件以降、ヘカ族を見た者は居ない―――
ヘカ族については資料が少なく、そのベールは未だ謎に包まれている。
「すみません教授。この程度しか調べられませんでした」
「数少ない資料を翌年探し纏めてくれたね。ありがとう」
「しかし結局ヘカ族については謎のままになってしまいました……」
「私は大麻による錯乱からの、同士討ちによる全滅が原因ではないかと推測するな。君はどう思う、ハイリンダ君?」
「え? わ、私ですか?」
「教授、急に彼女に聞いても―――」
「ハッハッハ。案外答えは何てことの無い事だったりするものさ!」
「眷属神降臨の贄にされそうになったから全員殺したなんて、口が裂けても言えないわねぇ…………」
「え? 何か言ったかいハイリンダ君?」
「いえいえ、私には皆目見当も付きませんです♪」
「どれ、それじゃあ……私の奢りでピザでも頼むとしようか!」
「ヒャッホー!」
「ふふふ……ふふ♪」
読んで頂きましてありがとうございました!