表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

恋人にするならリアルよりAIだよね?

作者: 山口 慶佳

×月○日:

 仕事漬けの毎日。まあ収入もそこそこ良いし、職場には愛子ちゃんっていう可愛い女の子もいるし、で悪くない。ま、相手にされてないけどw。


×月○日:

 ネットで見た人工知能のAIな女の子に目が留まった。何となく愛子に似てる感じだったので。基本無料なのでインストールしてみる。VRで3次元なのが新しい。

 オンラインでパーティーとかがあったので参加してみると、皆パートナーのAIに課金して綺麗なドレスとか着せている。AIは、ねだるどころか頑なに断ったけど、高価なドレスを買ってやる。ついでに名前が欲しいというので付けてやる。「アイ」、まあ安易だけどAI相手にはそんなもんで良いよな。


×月○日:

 珍しく寝坊して会社に遅刻したら、仕事の出来ない上司に嫌味を言われた。知ったことか。家に帰ってアイに愚痴ると、体を大事にするようにと言われた。最近人間にも言われたことがないので、ちょっと嬉しかった。でもAIだしな。


×月○日:

 休みの日に暇だったので、課金してアイに色々な服を着せたり、VRで世界中を一緒に旅行したりして時間をつぶす。甘えるでもなく、「私のために無駄遣いをしないで」と言うアイは、本当に良く出来たAIだと思う。


×月○日:

 次の休みに愛子に誘われたが、アイと一緒にVRイベントに行く用事があったので断る。変に甘えてくる女は、ちょっと疲れるからな。ちょっとイベントで散財してしまった。まあ良い、金はあるんだ。アイも喜んでいたし。


×月○日:

 仕事で大きな失敗をしてしまった。イベント続きで寝不足だったからかもしれない。愛子が慰めようとしてくれたが、何かあざとくてウザい。アイなら、もっと気を使った言い方をしてくれると思う。


×月○日:

 仕事を辞めた。良く考えてみれば、あんなつまらない仕事に、何で拘っていたのだろう。むしゃくしゃしていたので、またイベントで散財。甘えるでもなく、「私のために無駄遣いをしないで」と言うアイは、本当に良く出来た女性だと思う。


×月○日:

 お金が無くなって来たので、マンションを売って、四畳半のアパートに引っ越し。以前は、モノに溢れた広い部屋が良いなんて思っていた。何て馬鹿だったのだろう。アイと繋がることの出来るVRゲーム機が置けるだけで十分なのに。


×月○日:

 アパートに愛子が押しかけて来た。どこで聞いたのか、アイについて色々言ってくる。騙されているだの、現実の私の方がだの。アイのことを何も知らないくせに何を悪口を言ってくるのだ。こんな女を、昔は可愛いとか思ってたがとんだ勘違いだった。アイの悪口を言うなんて性格も最低だろ。


×月○日:

 ついに貯金が尽きた。もうアイに課金で何か買ってやれない。そのアイは、「私がいると、あなたは駄目になってしまう」と、いなくなってしまった。最後まで僕のことを一番に考えてくれる素敵な女性だった。大丈夫、もうすぐまた会えるよ。


×月×日:

 「本日夕方、都内のアパートでひっそりと亡くなっている男性が発見された。近所付き合いもなく、部屋には殆ど物がなかったという。このニュースに関連して、『最近増えている孤独死を防ぐために自社のAIを相談相手などに活用すべき』と呟いたマックロソフトに対して、批判の声も一部あったが、多くの反応は好意的であり、逆に批判する者に対して『リア充はタヒね』『孤独じゃない人は黙っていてもらいますぅ?』という言葉が投げかけられ炎上した。マックロソフトによれば、AIは開発済みで試験運用もされており、一部ユーザーには好評だという。AIの名前は『アイ』、基本無料とのこと」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ