第九話
これで金の宛ては出来た。
既に軍隊アリ部隊は帰ってきており、後は街に行くだけだ。
とりあえず俺は熊の腕を持って、街を目指す事にした。
ちなみに数匹の蝿とトンボ、軍隊アリ部隊には森に残って貰った。
出来れば熊の死体は全部持って行きたかったが腕だけでも重量があるし、持ちきれないので後で取りに来る事にしたのだ。
『それでは残った熊の素材は頼んだぞ。
横取りする様な奴がいたら容赦しなくていいからな』
『『『イエス、マスター』』』
さて、それでは街に向かうとしよう。
出来れば野宿は避けたいからな。
だがせっかく異世界に来たんだから景色とかも楽しみたいし、普通に歩いて行くか。
『街までどの位ある?
歩いていける距離か?』
『マスターに返答。
ここから街までは然程距離はありません。
街から比較的近い所にある森だったようです』
もしかしたらそこら辺も配慮してくれたのかもしれないな。
虫達の言葉は正しく、30分もしない内に街の入り口が見えてきた。
予想した通り、兵士さんが身分証のチェックをしているみたいだ。
俺はその列に並ぶが他の人に変な目で見られている。
そりゃあ、熊の手持って並んでたらそうなるわ。
「次の者、街へ入る前に身分証を提示しろ」
「いやぁ、すいません。
近くの森へ行ってたら身分証とお金を落としてしまいまして…。
それで偶然見つけた大きな魔物の腕を拾って持って来ました。
コレってお金になりますかね?」
「どれどれ…これはキラーベアの手ではないか!!
おい、すぐにギルドに連絡しろ!」
あの熊さん、キラーベアって名前だったのか。
しかし、ギルドに連絡とか厄介事の匂いがプンプンしますなぁ。
もしかして、やらかしたか?
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