第ニ話
「現実ねぇ」
そう言われて周りを見回してみる。
後ろには自分のベッドに俺?が横たわっている。
前方には美女と美味しそうな飯に自分が使っていたテーブル。
場所は自分が住んでいた部屋から何も変わっては居ない様に見える。
が、インテリアの種類等が自分の部屋とは違う物になっている事は明らか。
暫定的な判断として俺が住んでいた部屋と似た部屋に自分の身体とベッドを目の前の美女が何らかの手段を用いて移動させた。
そして自分が二人いるという現象については想像がつく。
横たわっている俺が本体で、今動いてる俺が魂的な物なのだろうと思われる。
その理論が当てはまるならば俺は死亡したか意識不明の状態か。
夢じゃなく現実だと言うならこの辺りが妥当だろうか?
「貴方は過労死で死亡したんですが何でそんなに冷静なんですか?」
「ふむ、死亡の方だったか。
何で冷静かという問いについては見た物を現実として考えた場合に考えられる結論を出したからだ。
自分の目と耳で確認した事しか信じない主義なんでね」
おかげで学校や職場の人間から冷たい人間扱いされっぱなしだったけどな。
まぁ、そんな人間にも友人の二人や三人は出来たから良かったが。
「解りました。
では自己紹介をしましょうか。
私の名前はアリア、この地球とは違う世界の管理を任されている者です」
「これはどうも、ご丁寧に。
俺は…」
はて?
どうした事か自分の名前が思い出せないな。
友人の名前や職場の人間とかの名前なんかは思い出せるんだが…これはどういう事だ?
「そちらの事情は理解しています。
ご自分の名前が思い出せないのでしょう?
私はその事を説明しに来たんですよ」
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