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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

王子を不幸にしかしない婚約破棄

王子が不幸になる婚約破棄~次の主役はあなたですよ、王子様 編~

『王子が不幸になる婚約破棄~ ○×編~』と似たようなタイトルがありますが、それぞれが別の話になっています。


続きはありません。

いつの間にか、私は複数の男性を侍らしている状態になりました。

これを見たモブの侯爵令嬢は、「やっぱり、乙女ゲームのヒロインね」と私を見て言っていました。

モブ?乙女ゲーム?、あの公爵令嬢は何を言っているの?

それに、私がいる家は身分の低い貴族。

あんな、内面ヘタレ...いえ身分の高い貴族子息なんかとお近づきになりたくもありません。

だって、自分の学園内での立場をわきまえるよう心掛けているのですから。

だって、疲れてる様子を何気なしに気遣ったら「君は運命のひとだ」とかウットリさせながらほざく奴ですよ。


自己紹介が遅れました。

私、ジェニファー・ナシノです。

最近は、訳の分らぬ顔だけがいい男どもから逃げています。

私の様子から、友だちや同じクラスの人たちは私を同情的な目で見てきてるの。

なので、「同情するより、助けてよ!」と訴えても、アイツらとは関わりたくないとクラス全員で全力で拒否するんですよ。

「身分の差がある」と言って。

そんなこと言われたら、怒れないじゃないですか!

なんか、あの男どもは私を見ているというよりも、私を通してナニカを見ている感じがするのです。

なんか、気持ち悪い。

それに私が好きなのは、私のことを見てきて私の行動があの男どもを勘違いさせると苦言を呈してきたディーテ・ラヴァー公爵令嬢ですよ。

ちゃんと私を見て、私を心配して、私を守ってくれる素敵な女性に惚れないわけがない!

愛の前に、性別は関係ないのですよ!

あの変人侯爵令嬢が、『私がこの世界のヒロイン』って言ってました。

ヒロインというのは、小説において『世界に愛される特別な存在』。

もし、私がこの世界のヒロインというなら、あの方と素敵な未来が築けるはずだわ。

待っててね、ディーテ様♪

ヒロインの私が、迎えに行くわ♪


なぜか私のディーテ様にあの憎きクソ王子...じゃなかったカーライル王子様がディーテ様に悪意を向けてきました。

私が愛してやまないディーテ様の婚約者という位置につきながら。

「ディーテ・ラヴァー公爵令嬢、貴様との婚約を破棄する!」

またあの変人侯爵令嬢が、「これが、あのゲームの婚約破棄ね!」と目を輝かせながら小さい声で呟いていました。

それにしても、あの変人侯爵令嬢はそろそろ現実とゲームの区別をつけた方がいいんじゃない?

でも、あの変人侯爵令嬢はとても優秀な弟君がいるらしいので問題ないか。

私が考え事という名の現実逃避をしている間にも、あの男どもは自信たっぷりな得意げな顔をして私のディーテ様を貶めていく。

そして、カーライル王子様が私の腕を無理やり掴み自分のところまで引っ張り、私のディーテ様から私を背に庇った。

ちょっと、イラッとしました。

その様子を見ていた私のディーテ様はカーライル王子様のあんまりな行動に顔を顰めました。

そんな顔をしても、私のディーテ様は美しい。

私がディーテ様に見惚れていると、クラスの女子は目線で顔を引き締めろと注意をして来ました。

解せない。どうしていけないの!?

貴族って、分からない生き物なのね...

「ふっ、醜いな。自分の犯した罪を認めないとは」

寝言をほざく、カーライル王子様。

「罪も何も、なにもしていないことを謝罪などする必要はないですわ」

凛として立ち向かう私のディーテ様。

「ふざけるな!ジェニファーに嫉妬して、教科書を焼却炉に投げ入れたり」

「それ、私が自分でしました。付き纏っていた男性に怒りを向けるわけにはいかないので、八つ当たりで自分の教科書を」

「じゃっ、じゃあ、ジェニファーちゃんはこのクソ女に階段から突き落とされたよね!」

可愛さを演出したあざとさがムカつくなんとかが言ってきました。

「違います。アレは、階段を踏み外した時にディーテ様に助けてもらったのです。あの時のディーテ様は素敵でした」

私がうっとり言う様子にドン引きの一部の男女と、目を輝かせる一部の男女。

その後の男どもの、ディーテ様の罪の捏造は全部否定してあげました★

馬鹿ですね、やってもいない罪の捏造をするのなら、簡単に否定できる要素があるのはダメなんですよ。

基本中の基本もできないんですね。

呆れて、ものが言えません。

「分かりましたわ。カーライル・ドルマット王太様。謹んで、婚約を破棄をお受けしますわ。父には、私から言っておくのでご安心なさいませ」

「ふんっ、始めからそうすればいいものを」

やっと来た!

私の出番!

私が、この世界のヒロインになる時!

変人侯爵令嬢、あなたには心からの感謝をします。

私がヒロインって、教えてくれたから!

「ディーテ・ラヴァー公爵令嬢、私と結婚をしてください。今ので、分かりましたよね。男という生き物は信用ならないと。私なら、あなたを全力で一生愛します」

「そうね。本当に、あなたの言う通りね。ジェニファー。男って、どれだけ信用ならないのかしら。あれだけ、尻拭いをしてあげたのに。あの時は、あなたにも迷惑をかけたわね」

「ディーテ様のためなら、そんなこと関係ないです!むしろ、迷惑をかけて下さい」

「ふふっ。あなたなら、そう言うと思っていたわ。そうね、あなたとの結婚をお受けします。お兄様がいるし、家族はみんな私に『恋愛結婚』をしてもいいと言っているものね。それに、あなたの家にはラヴァー公爵家から要請されれば文句を言えませんものね」

「大丈夫です!私が言わせません!お父様やお兄様の弱みなら、この時のために腐るほど握っていますし」

「あらあら」

あの変人侯爵令嬢は、「悪役令嬢ルートはなかったのに。なんで、乙女ゲームのヒロインが...」と言って周りから変な目で見られていました。

だから、早く現実とゲームの区別くらいつけて下さいよ。

同性婚は普通にできるって当り前のことなのですよ。

私がこの世界のヒロインと教えてくれた彼女に幸あれと思い、私は愛しい人の手を引きながらこの場を退場したのでした。


王太子様とそのお仲間というと、ラヴァー公爵様の怒り沈めるという名目で、国からゲイナー寄宿学校に放り込まれることになりましたそうです。

彼は、王子様が最愛の娘である私のディーテ様を幸せにできないと確信していたので、私との結婚を大変喜んでいました。

「卒業後に、君は娘との結婚式を挙げよう。なに、君の家には私が説得して文句を言わせん」と心強いお言葉を。

私のディーテ様のお兄様とお母様もニコニコ顔で、喜んでくれました。




その頃の、変人侯爵令嬢____

乙女ゲームのヒロインが、悪役令嬢に恋するなんて予想外だわ!

でもまだ甘いわね。カーライル・ドルマット王子様。

このゲームの続編は、ヒロインがどの攻略対象も選ばなかったと仮定した場合であなたが主役の『BLゲーム』になっているのよ♪

ゲームスタッフが、この乙女ゲームのファンサイトを見て悪ふざけして勢いのままに作ったBL版。

本編の乙女ゲームよりも、好評だったの。

さあ今から男装して、ゲイナー寄宿学校に入学しなきゃ。

あの学校の男子生徒は、男が男だけにしか惚れない学校なのよ♪

これで、生BL見放題。

家の権力があるから、女の私だって簡単に入学できるわ。

カーライル・ドルマット王子様、あなたの『真実の愛に目覚めるお姿』を私が見守ってあげるからね♪

安心して、あなたは愛に身をゆだねればいいわ♪






この時、変人侯爵令嬢は知らない。

彼女は、この時の姿を見て両親が恐れ戦いたことを。

自分たちの精神のために、両親が自分の願いを簡単に許したことを。

本当に、ゲイナー寄宿学校が完全な男だけの恋愛しか存在しないことを。

自分が、男装女子と見抜かれて恋愛対象に全く見られていないことを彼女は知らない。

カーライル・ドルマット王太子様を変態的な目で観察して、時には彼の貞操を狙う男子たちに協力する己の欲望に忠実な彼女は知らない。

読んでくださり、ありがとうございました。


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