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登校し、俺はいつもの通り机に突っ伏していた



どーして学校ってこんなにだるいんだろうか



そして、このクラス内のざわざわした騒がしさが丁度良く眠気を誘う




毎朝寝ていることが多いせいか、クラスメイトも話し掛けてくることもない




いや、友達がいないとかそういうわけじゃないからな?



ただ、皆気を使ってくれてるだけで…




って、俺は誰に言い訳してるんだ




駄目だ、眠いと頭の中がぐしゃぐしゃでよくわかんなくなってくる




最初から睡魔と戦うつもりのない俺は、睡魔の甘い誘いにのっかった




程よくうとうとし始めた頃、担任が教室に入ってきた音が聞こえた気がした




それでも起きる気はない




更に深く眠ろうとした時





「えー、今日は転校生を紹介する。…入ってきなさい






ドアが開いた音の後、女子の黄色い声が聞こえた





しかし、黄色い声はすぐに消えた




何故か、不自然な沈黙が流れていた






流石に少し不審に思い、顔を上げる




そして、固まった






「…………は?」






眠気が、一気に吹き飛んだ



転校生はクラスメイト皆に向かって優しく微笑みかけると、自分で黒板に名前を書いていく








俺と違って達筆だ…ってそこじゃなくて


因幡風雅(いなばふうが)です。よろしくお願いします」





転校生…風雅は、黄金色(きんいろ)の髪の右側を黒いピンで留めていて




そして、漆黒の優しげな瞳と





俺とよく似た顔で微笑んでそう言った





「…(りょう)と、同じ顔…?」





クラスメイトの誰かがそんなことを呟いた





俺は風雅の顔を凝視して、未だ固まっていた





そんな俺の視線に気づいたのか、風雅は俺を見た





そして、風雅も目をまん丸くして俺の顔を見ている





「超そっくりー…。双子みたい」




「でも名字も違うし、髪の色とかも違うぜ?」





「世界には、自分とよく似た人間が3人いるって話があるよね?」





クラスメイトたちは勝手な想像を言い合っていた





「あー、盛り上がっているところ悪いが、因幡は本来は一つ上の学年になる」




担任の言葉は、教室内に更なる混乱を与える




まだ衝撃から立ち直れていない俺の耳にも、一応届いていた




「生まれつき身体が弱かったらしくてな、一年留年している。同学年と同じ様に接してやってくれ」





一年留年…



年上…




ってことは、ただのそっくりさんってことか!!





び、びびったぁ…




生き別れた双子とかじゃなくて良かった!!



いやまじで!!




「席は…橘花(たちばな)の隣しか空いてないな。橘花、そっくりさんのよしみで色々よろしくな」





「え!?俺!?」






俺がそっくりさんを!?




てか、間近で自分と同じ顔とか見たくねぇ!!




そんなことを考えていると、風雅が空席まで歩いてきていた





「よろしくね。…えっと…」





「…嶺。橘花嶺…っす」





これが、俺と風雅の最初の会話だった




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