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私とあの人  作者: 桜木 桜花
二章
8/11

4∥不安を消す存在

 明美がいなくなると、優美子は部屋を出て、リビングに行き、ソファに横になった。

『ピンポーン』

チャイムが鳴った。優美子はすぐに玄関に行って、戸を開けた。すると、真斗がいて、優美子はすぐに真斗に抱きついた。

「季遊崎!寝てないと・・・」

「いいの。不安がずっとつのってたから、こうしている方が楽。」

優美子はそう言って、真斗の服をギュッとつかんだ。真斗は、優美子を抱きしめ返した。

「季遊崎・・・お前・・・ずるいよ。」

真斗はそう言って、優美子にキスをした。優美子も真斗に身を任せていた。

「あ、ごめん。季遊崎のお母さんは?」

真斗はそう言って、優美子を離した。優美子は、

「買い物に行った。一人にしてほしいって私が行ったから。」

と言ってその場に座った。

「大丈夫か?」

真斗はそう言うと、優美子を抱えた。優美子は、真斗に抱えられながら、ゆっくりうなずいた。真斗は優美子をベッドにおろして、布団をかけた。

「大丈夫か?」

「うん。美壁君が来てくれたから、少し落ち着いた。」

優美子はそう言うと、ため息をついた。

「いままで、男の人と話すって言ったら、耕太とか、蛍ちゃんとか、家族しかいなかったのよ。幼稚園から中学校まで、ずっと女子校だったから。だから、男で信じられるのは、蛍ちゃんや家族だけだった。でもね、美壁君に会って、美壁君も信じられるようになったの。私にとっては、一つの進歩なんだ。」

優美子はそう言って、起き上がると、すぐに悲しそうな顔をした。

「でも、蛍ちゃんを今までずっと信じてきてたから、怖いって思った瞬間、蛍ちゃんを信じられなくなったんだと思う。だから、変にパニックを起こしちゃったの。」

優美子はそう言って、ニコッと笑った。真斗もニコッと笑って、ため息をついた。

「そっか。優美子のこと、少し聞いたから、俺からもまだ優美子に話していないことを言うけど、俺、美佳には自分が社長の息子だって言うことを言っていないんだ。女はあんまり信じてないから、美佳にだって、言ってない。俺、このまま結婚せずに一生を過ごそうかなって思った。でも、お前のことを信じられるようになった。これは、俺にとっての第一歩。」

真斗はそう言うと、ニコッと笑った。優美子も少し微笑むと、頭をおさえて、ベッドに横たわった。

「大丈夫?」

「うん。頭が痛くなっただけだから。」

優美子はそう言って、真斗のほうを向いた。真斗は、心配そうな顔をしながら、氷水にひたしてあったタオルを優美子の頭の上に乗せた。

「あ、ごめんね、ありがとう。」

優美子はそう言って、ニコッと笑った。そして、真斗の手を握って、

「このまま、私が眠るまで、一緒にいてくれない?」

と言った。真斗はすぐにうなずいた。

「うん。」

真斗はうなずくと、優美子の手をギュッと握った。優美子は、すぐに目を閉じて、眠りに落ちた。真斗はため息をつきながら、優美子の目にかかっていた髪の毛をはらった。そして、優美子が完全に眠りについたので、真斗が帰ろうとすると、明美が帰ってきた。

「あら、美壁君。」

「すいません。優美子さんが、電話でパニックを起こしていたので、気になって、家にあがらせてもらいました。」

真斗がそう言うと、明美はニコッと笑って、

「いいのよ。そのほうが安心だしね。」

と言った。真斗もニコッと笑うと、

「じゃあ、これで失礼します。お邪魔しました。」

そう言って、優美子の家を出た。

 真斗は優美子の家を出ると、ため息をついて走った。結構、自分が優美子にしたことを恥ずかしがっていたのだ。

「クソ!もう、あんなことして、俺、あいつの顔、まともに見られねぇじゃんか。」

そう言って、真斗は公園のフェンスにもたれた。

「そっか。もう、俺、あいつのことが好きなんだ。」

真斗はそう言うと、嬉しそうに家に帰った。

 真斗が家に帰ると、真斗の乳母『春海【はるみ】』が、怒って待っていた。真斗は苦笑いをして、すぐに自分の部屋へ行こうとしたが、

「坊ちゃん。」

と春海に呼び止められ、すぐに春海を見た。

「悪い、春海さん。べつに、不良仲間と遊んでたわけじゃないから。」

真斗はそう言いながら、ゆっくり後ろに下がった。

「坊ちゃん。言い訳されなくても結構です。不良仲間じゃなければ誰ですか?浅野様ですか?浅野様ならいいですが。」

「いや、玲じゃないけど。」

「じゃあ誰ですか!」

春海が怒ってそう言うと、真斗はビックリして、また苦笑いをした。

「俺の片思いしてる女子だよ。」

真斗がそう言うと、春海は目を見開いた。

「本当ですか?坊ちゃんは女の人を信じない主義だったのでは・・・」

「そいつだけは特別なんだよ。かわいくて、俺、まともにそいつの顔を見られないんだ。唯一、信じられる存在で、俺の不安を消してくれる存在なんだ。俺、あいつが許してくれれば、あいつと結婚したいと思ってる。」

真斗がそう言うと、春海はため息をついて、

「わかりました。早く着替えてきてください。もう、お食事の準備は出来ています。」

と言った。真斗は笑って、

「ありがとう、春海さん。」

と言うと、私服に着替えた。



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