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私とあの人  作者: 桜木 桜花
二章
7/11

3∥蛍太の本性

 次の日、優美子は熱を出して休んだ。真斗と美佳と同じクラスになった蛍太は、美佳に、

「今日、優美子ちゃんは?見かけなかったけど。」

と聞かれた。蛍太はビックリしたような顔をしたが、すぐにニコッと笑った。

「優美ちゃん、四十度も熱があって、今日は休みなんだ。」

蛍太がそう言うと、真斗は自分の机を蹴った。みんなは、ビックリして、真斗をすぐに見た。

「何見てるんだよ!」

そう言って、真斗はみんなを睨んだ。みんなはすぐに目をそらした。

 真斗は学校が終わると、すぐに優美子の家へ行った。

「あら、美壁君。」

「すみません、季遊崎さん。優美子さんに会いたいのですが。」

「ええ、入って。」

そう言って、明美が、真斗を家に入れた。

「優美子さん、大丈夫ですか?」

「それがずっと熱が下がらないのよ。」

そう言って、明美は、優美子の部屋の戸を開けた。

「・・・お母さん?あ、美壁君・・・」

優美子は赤い顔をして、真斗を見た。

「ごめん、こんな格好で。」

優美子はそう言って、布団をかぶった。

「別にいいよ。それより、大丈夫か?」

「たぶんね。」

優美子はそう言って、ニコッと笑った。だが、すぐに口を押さえてトイレに走った。心配して、真斗と明美が追いかけると、優美子はトイレで吐いていた。

「大丈夫か、季遊崎?」

そう言って、真斗は優美子の背中をさすった。

「ごめん、見苦しいところを見せてしまって。」

優美子がそう言うと、真斗は首を横に振った。

「別に・・・」

真斗はそう言って、まだ吐いている優美子の背中をさすり続けた。

「お前を見てると、母さんを思い出すんだ。だから、放っておけない。」

真斗はボソッとそう言った。優美子は、少し落ち着くと、真斗に抱きついた。

「寒い。」

真斗は優美子のその言葉を聞いて、着ていたカーディガンを優美子にかけた。

「大丈夫か?今運んでやるから。」

真斗はそう言うと、優美子をお姫様抱っこして、優美子を部屋まで運んだ。そして、優美子に布団をかけていると、いきなり誰かに蹴り飛ばされた。蛍太だった。

「優美ちゃんに触らないでくれる?」

そう言って、蛍太はすごい形相で真斗を睨んだ。

「ちょっと、蛍ちゃん・・・」

優美子はそう言いながら、起き上がった。

「別にいいよ。俺が何かしたかは分からないけど、嫌われてるみたいだし。ごめん、季遊崎。もう帰るわ。」

そう言って、真斗は優美子の部屋を出た。

「蛍ちゃん!何てことしたの!?人を蹴るなんて、最低!」

優美子がそう言うと、蛍太は優美子の肩をつかんだ。

「優美ちゃん!まだ分からないの?あいつが優美ちゃんのことを好きになるかも知れないじゃん!」

「ダメなの?人の気持ちなんて、どうこう出来るようなことじゃないでしょう?」

優美子はそう言って、蛍太を睨んだ。すると、蛍太の肩をつかむ強さが強くなった。

「痛い!」

優美子は顔をしかめた。

「痛い・・・やめて蛍ちゃん。」

優美子がそう言った瞬間、真斗を見送っていた明美が階段を上ってきた。すると、すぐに優美子の肩を放した。

「じゃあ、僕もこれで失礼します。」

そう言って、蛍太は優美子の部屋を出た。

蛍太が家を出たあと、優美子はすぐに、真斗に電話した。真斗の電話番号は、先日教えてもらっていた。

「もしもし、美壁君?」

『・・・もしもし、どうした?』

「いまどこ?」

優美子がそう言うと、真斗は少し黙った。

『公園。何?』

「ちょっと、いい?」

『ああ。いいよ。』

真斗がそう言うと、優美子は深呼吸をして、話しはじめた。

「今日はごめんね。私、蛍ちゃんが怖いよ。なんか、さっきまですごく怒ってた。私、何かしたかな?」

優美子がそう言うと、電話の奥で真斗がため息をついているのが聞こえた。

『大丈夫か?少し落ち着け。あいつは、お前に暴力を振るわないだろう?大丈夫だよ。』

真斗はそう言って、ため息をついた。

「助けて!」

『は?どうした?何があった?どうした?』

真斗がそう言うと、優美子は少し落ち着いてため息をついた。

「嫌だ、不安だよ。一緒にいてよ。」

『季遊崎・・・』

真斗はそう呟いて、電話を切った。優美子は震える手で、携帯を握り締めていた。優美子の母親は、それを見て、

「大丈夫?」

と聞いてきた。

「うん。悪いけど、何か買い物してきて。一人になりたい。」

優美子はそう言うと、布団にもぐった。



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