始まり
「……また、ゼロか」
俺――神谷ユウは、パソコンの画面を見ながらため息をついた。
画面に表示されているのは、小説投稿サイト
小説家になろう のマイページ。
そこに並んでいる数字は、どれも寂しいものだった。
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「三万文字も書いたのに……」
昨日投稿した新作も、まったく読まれていない。
ランキングにも載らないし、感想も来ない。
SNSではよく見る。
「初投稿でランキング入りしました!」
「書籍化決まりました!」
そんな報告を。
それを見るたびに思う。
「やっぱり……才能ないのかな」
机の上には、書きかけのノートがあった。
俺がいつも使っている、アイデアノート。
キャラクター設定やストーリーのメモを書いている、
いわば俺の創作の相棒だ。
俺はペンを取った。
そして、何となく書く。
『もし物語を書くだけで、世界を作れたら――』
書いてから、苦笑する。
「……中二病かよ」
そんな能力があれば、苦労しない。
俺は椅子にもたれ、天井を見上げた。
「はぁ……」
売れない作家志望。
それが俺の現実だった。
そのまま、いつの間にか眠ってしまった。
――そして。
目を覚ましたとき。
俺は、見知らぬ森の中に立っていた。
「……は?」
周囲は木だらけ。
鳥の声。風の音。
どう見ても、日本じゃない。
混乱する俺の前に、突然――
光が集まり、一冊の本が現れた。
黒い革の表紙。
金色の羽ペンの紋章。
そして頭の中に声が響く。
《スキルを取得しました》
《クリエイトブック》
俺は思わず呟いた。
「……クリエイトブック?」
その瞬間。
本がゆっくりと開いた。
まるで――
「書け」と言っているように。




