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第二話 存在しない錬金術師-3


《いっやほぉおい! プレイヤーのみんな改めましてこんにちはぁああ!! んで、驚いた驚いた驚いた?? びっくりした? 仰天した? 混乱した?》


 巨大な迷路の上空で四角い光が現れ、続けてゲームの司会者アオが飛び出す様に映された。いつものように棒状のものを片手に意気揚々と説明を開始する。


《三番目の兄ちゃんと二番目の姉ちゃんの力作、【小さい世界の(スモールワールド)迷宮(ラビリンス)】!with二番目の兄ちゃんの実験体生物! やばいよね? 俺でもヤベェって目が遠くなったもん!》


 迷路中に広がるバカでかい声と早口で一人盛り上がるアオ。だが参加者たちは皆困惑し、誰もその盛り上がりについていくことはできない。


《何がクリア条件なのかわからない迷路を進むなんてまるで地獄だけど選択したのはお前らだ。諦めな》


 誰にでも打ち解けるような明るい顔が突然嘲笑った。その姿に参加者全員の背筋が凍りつく。

 宣言した時の姿もそうだ。改めて思い知らされる。

 彼らは神であり、自分たちは神の慈悲を無視した愚かな人間どもなのだ、ということを——


《だけど、ゲームなんだから攻略法があるわけでノーヒントなわけじゃぁないんだわなぉ。すぐそこにヒントはあるから探してみることだね! それじゃぁ頑張れバーイバイ!》


 アオが手を振り終えるのを待たずに、プツンっと音を鳴らして四角い光が消えた。


(そう……これはゲームだ! ゲームをクリアすることで迷宮から脱出できる)


 クリア条件は困難なものであっても『無い』わけではない。その有無の差は参加者たちにとって心の持ち方を大きく変える。


「……よし。ますば『回復の大樹』に辿り着くことが先決だな。考えるのはその後だ」


『回復の大樹』——その名が正式なのかは神しか知らない。

 過去の記録にて度々出てきた言葉であり、参加者たちにとっては唯一外敵から身を守れる安全地域であることはどの年代の記録からでも読み取ることができた。現状、どのぐらいこの世界に滞在し続けるかわからないが故に探索の拠点として『回復の大樹』を選ぶのは当然だろう。


 幸い、壁の上に立ったことで目指すべき大樹の方向がわかった。同時に大樹は迷路の所々で環境を無視して聳え立っていることも知ることもできた。複数あるのならば拠点の奪い合いといった最悪な状況は回避しやすくなるだろう。


「方向からして彼方に進めばいいわけだ……!?」


 このまま最も近い目的地まで壁の上を歩いて向かおう——とした時、何かの大群が馬のような速さでこちらへと向かってくるのが見えてリンドウはギョッとした。


「なっ!?」


 よくみるとハエだが、大きさは頭部だろうか。このままでは激突してしまう、と瞬時に判断したリンドウは外套で頭を覆って風を纏った足で速やかに壁から飛び降り身を低くした。幸い気付かれることなくハエの大群は頭上を通過し、安堵のため息をつく。


 虫だって地を這うものばかりではない。上から獲物を狙うもの、罠を仕掛けて食うもの、擬態して獲物を待つもの。大きさが変わっただけで彼らの狩りの仕方は変わらない。変わったのは人間が被捕食者になってしまったことだけだ。


「チッ! 上も下も安全で無いのならば上も下も使って辿り着くしかない、ということだな」


 両足から力を使い切って真っ黒になった札を剥がし強く握りしめる。頭を回転させ、限られた札の数といましがた壁の上から観察したこの迷路の特徴を思い出し、目的地まで辿り着くまでの最善方法をリンドウは考え始めた。


更新できる時は以下の時間で更新します。

平日……20時

休日・祝日……11時と20時

続きをどうかよろしくお願いします。

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