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第十九話 作戦会議しよう!

 三人で、帰り道にスポーツ用品店に寄って大きめのリュックを三個買って、夕飯でホテルのビッフェでしこたま食べたのに、やっぱりおなかがすくスピードが速い。

 帰宅途中、コンビニでおにぎりとサンドイッチ買うくらいにはおなかが空いてた。ダンジョン入るとおなかがすくのって普通なのかな?

 ちょっと調べてみよう……。


 お風呂上りにパソコンを立ち上げると、ダンジョン 空腹 など関連がありそうなワードを入れて検索をかけると、出てくる出てくる。


 ―― ダンジョンに入ると、あっという間に腹が減る。

 ―― セーフティエリアで弁当食べてるはずなのに、すぐ空腹になって倒れそうになる。

 ―― 外に出てからも空腹になるの早すぎる。


 スクロールを続けていくと、いくつか共通している意見が見えてきた。


 ―― ダンジョン内部は、探索者の“生存本能が常に稼働している状態”らしい。

 ―― 本来なら感じないレベルの微細な魔力や気配を察知しようと体が勝手にエネルギーを消費する。

 ―― だから探索者の消費カロリーは、一般人の3倍以上。そりゃ腹減るよな。

 ―― ダンジョンダイエット流行りそうだな。


「なるほど……みんな同じなんだ」


 ホッと胸をなで下ろしつつ、さらに情報を追っていくと、気になる書き込みを見つけた。


 ―― 三階層以降はダンジョン内部に泊まりになるから、エネルギー切れには特に気を付けた方がいい。生死に関わるからな。

 ―― 特に初めて三階層に入る時は、前日に多めに食べておくのが吉。あと、できるだけカロリーの高いものを多く持ち込もう。

 ―― ストレージボックス持ちじゃないなら、カロリー高めの甘いものがいいと思う。羊羹とか。


 やっぱり10合炊きの炊飯器買おうかな……。水分もかなり必要だな……。

 ストレージボックスあってよかった。


 その時、スマホが震えた。

 画面を見ると、凪からのメッセージが届いていた。

 三人でグループチャット作ったんだよね。


『明日、仕事帰り三人で会えないか?早めに、俺の知ってる三階層の情報共有しておきたい』


 すぐに、由衣から了解、のスタンプが押された。


『私と由衣は同じ会社だから、仕事終わったら、凪に合わせるよ』


 と返すと


『じゃあ19時にいけふくろうで!』


 と即返ってくる。


 明日は残業できないな……。まあ今はそんなに忙しい時期じゃないし大丈夫か。

 とりあえず私は寝る前に5合炊きいっぱいにご飯を予約炊きすることにした。

 



 翌日、会社では営業部の男性社員たちがやたらおなかを鳴らしていて、課長から「さっさと飯食ってこい」とみんな11時前にはオフィスから放り出されていた。


「日向さん、今日は7時だよね?」


 と声をかけて来たのは由衣だ。社内では誰が聞いてるか分からないから、今まで通り「日向さん」「佐伯さん」でいこうと話したのだ。


「うん。佐伯さんは大丈夫そう?」

「特に大きな仕事はないかな」

「私も大丈夫だと思う。ちょっと詰まってるから頑張って片付けるよ」

「手伝おうか?」

「大丈夫。出荷リストがちょっと多いけど行けると思う。ダメそうなら声かけていい?」

「もちろん」


 そのままお昼になって、由衣と二人で普段は行かない大盛りが有名なお店に行ってみると、めちゃくちゃ混みあっていた。うん、まあたぶん探索者リーマン組だな、これ。


「神保町のほうのスーパー行ってみる?」

「だねえ。そっちで買い物して、会社の休憩室で食べようか」


 そのまま神保町の方向へ向かい、スーパーで色々買うと会社の休憩室に帰ってくる。

 そこには営業部の男性社員たちが買ってきたであろう惣菜やカップ麺をすごい勢いで食べていた。

 そんな食べ方してたら喉に詰まるんじゃない?って勢いだ。


「これ、明日のうちの会社から出すゴミの量大変そう……」

 私の呟きに、由衣が頷く。

「だね……。でも気持ちは分かる……。私、昨日帰ってからパスタ作って食べちゃったもん……」

「私もコンビニでおにぎりとサンドイッチ買って帰った……。それでも夜中におなかすいて目が覚めたよ……」

「私もだよ。あー私も大きめの炊飯器買おうかな……。今の3合炊きなんだよね……」

「私も10合炊けるの買おうかなって思ってるとこ。エンゲル係数やばいよね……」

「まあ買えるお金はあるからね……。それより体力と栄養維持が最優先だよ、私たちもあそこにいるみんなも」


 めっちゃ同意。

 食べてる端からおなかが空いていくような感覚があって、ダンジョンの外でこれなら、中で泊まるとかどうなっちゃうの?

 10合炊きでも足りないかもしれない……。



 仕事が終わって、空腹のまま、由衣といけふくろうへ向かう。

 池袋の地下にあるふくろうの銅像は、待ち合わせスポットとして有名だ。この周辺にいればまず間違いない。

 これから待ち合わせてダンジョンへ向かおうって人たちも多かった。

 平日の夜にお疲れ様です。


「さくら、由衣、お待たせ」

 人ごみの向こうから、スーツ姿の凪が現れた。初めて見るから新鮮だな。

「凪、お疲れ様。ねえまずご飯行こうよ。お腹すきすぎてやばいよ」

 

 私の言葉に由衣も凪も頷く。


 「だな。俺もやばい。すぐ入れるとこあるか?」

 ちょうど晩御飯時だからどこもいっぱいだ。

 特にここは池袋ダンジョンに近いし、同じような空腹探索者がたくさんいるはずだから。

 

「お店は難しいと思う。だから2人ともうちに来ない?今朝、ご飯炊いておいたから」

「近いのか?」

「うん、ここから歩いて15分くらい、かな?駅の反対側になるけど」

「俺はいいけど……」

「私もいいよ。途中コンビニある?」

「マンションの1階がコンビニになってる」

「じゃあそこに寄って、さくらんちでダンジョンの作戦会議しよう!」



ストックがなくなったので、今日からは1日1回19時の更新です。

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