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第十二話 開けゴマ!

作者はサバゲの知識はないので、適当に初心者向けだというエアガンの呼称をチョイスしましたw

 私と佐伯さん……いや、由衣(名前で呼んでと言われた)は今日は池袋駅で待ち合わせてから、ダンジョンに一緒に来た。


「さくら。今日は頑張って二階層に行こうね!一階層はもう抜けるだけでいい?」

「そうだね。邪魔になるようならそれだけ倒して抜けよう。一階層より二階層に行ってみたいし。準備はいい?」

「一応。今日からこれが私の相棒だし」


 由衣の手元にはお兄ちゃんがもう使わないからと譲ってくれたエアガン。

 M4パトリオットHCって初心者向けながら連射可能らしい。

 私にも連射できるのちょうだいって言ったら、AK47 HCっていうのをくれて、使い方も二人そろってお兄ちゃんがレクチャーしてくれた。

 譲るなら、きちんと本人に渡して使い方も教えたいって言うから、お兄ちゃんがいる千葉の実家に由衣を連れて行った。


 ……でも、あの日のお兄ちゃん、ちょっと挙動がおかしかったんだよね。

 目が泳いでるし、やたら喉を鳴らしてるし、ペットボトルを距離感ゼロで由衣に差し出すし。


 まあ、由衣は普通に可愛いというか、綺麗だし。

 陰キャのお兄ちゃんには、由衣はまぶしすぎたのかもしれない。


「おまえ、ダンジョン行くのか?」

「うん。もう一回行ったよ。お兄ちゃんにもらったエアガン持っていったら、ガンナーのジョブだった。お兄ちゃんは行かないの?リアルでサバゲできるよ?」

「今、準備してるとこ。行くなら仲間と行きたいから、全員が休み合わせるの大変でさ」

「それは確かに。どこに行くか決めてるの?」

「九十九里にできたダンジョンかな。今、駐車場も整備されてるらしい」

「車で行けるのいいな。私は駅から歩きで池袋だよ」

「まあおまえもこっちで入ることがあったら車で連れて行ってやるよ、ええと……由衣さんも?」


 なんでそこで疑問形なのよ、この陰キャ。


「はい、その時は、よろしくお願いします」


 って笑顔で応える由衣に顔を赤くしてるのは我が兄ながらほんとさぁ……。


 まあサバゲ趣味の人にはダンジョンは存分に遊べそうなとこだよね。


 それで今日は初めて二人そろって池袋ダンジョンにアタックすることになった。

 

「念のため、今日は初代相棒も持ってきた」


 と、由衣の背中には伸縮式警棒が背負われていた。ちなみに中に入るための準備は全部私のストレージボックスの中だ。

 でもさすがに手ぶらじゃ怪しまれるのでは、という私のビビりな体質を告げると、とりあえずカモフラージュで斜めがけカバンをお互い持つことにした。カバンの中身は飲み物と食べ物とこの間ドロップした低級ポーションだ。

とりあえず二代目ガンちゃんにも昨夜シールを貼っておいた。命中スキルがあるからいらないとは思ったけど、効果がさらに上がらないかなーとか期待して。


「よし、行こうか」


 今日は入り口はあまり混んでなかったおかげかスムーズに入れた。


「ええと……さくら、あっち行こう」


 大勢の探索者たちが向かう方向とは逆を由衣が指す。


「え、あっちなの?」

「うん。いいから任せなさい」

 

 自信満々に歩いていく由衣の後ろを私はついていく。

 やがて大きな岩の前に来た。


「うん、ここだ」


 由衣が手を伸ばして岩に触れる。


「開けゴマ!」

 

 すると目の前の岩にぽっかりと人一人が通れるくらいの穴が音もなく開いた。

 

「よしできた。あのね、ここ二階層へのショートカットになってるのよ。マッピングスキルで謎の光点があって、二階層へ降りる階段と同じ色だったから、そうじゃないかなー、とは思ってたんだけど」

「開けゴマってのは?」

「いや、それは何て言うかノリというかロマンと言うか……マッピングスキル持ちが触れるだけで開くのは分かってたんだけど、ちょっとやってみたくて……」


 ちょっと顔を赤くしてる由衣の気持ちなんかわかる。

 うん、そういうの現実じゃできないけど、ダンジョンならできるよね。


今日は後1回20時に更新します。

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