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第2話:仮説と決意

異世界転生モノに魅せられた主人公・ハルの脳内は、いつも“テンプレ無双”の妄想でいっぱい。

今日も深夜アニメを観ながら、新たなジャンルの流行を分析していた――はずだった。


だがふとした瞬間に生まれた一つの仮説が、彼の人生を動かし始める。

「異世界じゃなくても、文化レベルが違えば無双できるんじゃないか?」と。


まだこの時点では“無双したいだけの男”。

けれど、ここから彼の旅が、そして成長の物語が、静かに始まる。


深夜の部屋。

薄暗い照明の中、俺は手元のスマホで異世界転生アニメの最新話を見ていた。


最初に俺がハマったのは、いわゆる「俺つぇー系」だ。何でもできて、敵が跪く単純明快な無双パターン。

その次に夢中になったのは「実は最強を隠している系」。影で凄い力を持ちながらも、あえてそれを隠す主人公の駆け引きに惹かれた。

続いて「復讐系」へと趣味が移り、弱い者が逆境から這い上がって悪に立ち向かうドラマに胸を打たれた。

やがて「ゲームキャラ悪女転生系」もチェックし始める。乙女ゲームの悪役令嬢に転生し、先の展開を知りながらも必死に生き抜く彼女たちの物語は新鮮だった。

最近は「冴えないおっさんが気づけば英雄になる系」や、「勘違いから始まる無双系」も追いかけている。どちらも、主人公が完璧ではなく人間味を持つところが魅力的だ。


そんな流れで、俺は次にどんな主人公に惹かれるのかをつい推理してしまった。


そして、ふと思った。――現実の世界で、発展途上国の村にこの異世界転生のテンプレを当てはめたらどうなるのか、と。


「異世界転生テンプレっていうのは、本当に異世界でしかできないものなのか?」


俺は今まで、異世界転生の主人公たちの無双劇に夢中だった。

単純に強くなって、周囲を圧倒したい。

ヒロインたちにチヤホヤされて、憧れの存在になりたい。

現実では叶わない、そんな“俺つぇー”の世界に憧れていた。


だからこそ、もし文化レベルが低い場所に行けば、現実でも無双できるんじゃないか――そんな思いでいっぱいだった。


まだ先のことは考えていない。

ただ、無双して、モテてみたい。


スマホの画面を消し、俺は決心した。

「俺が、本当にやってみよう」――と。


それが、俺の新しい物語の始まりだった。


ここまでお読みいただきありがとうございます!


第2話では、主人公・ハルの“異世界テンプレを現実で再現する”という無茶な仮説と、それを本気で試そうとする決意を描きました。


今はまだ、ただの無双願望。

でも、この動機のまま旅立った先で、彼が何を見て、どう変わっていくのか――

そんな過程も、この物語の大きな柱になっていきます。


次回からはいよいよ「準備編」。

チートでもスキルでもない、“現実的なアイテムと知識”で立ち向かう計画が動き出します。


それでは、また次話でお会いしましょう!


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