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悪役令嬢の片割れに転生した

後で小分けにして書き直します。



暗い部屋。

意外と眩しい明るさ最低のPC画面。

そして――

「いいな悪令(悪役令嬢の略)の兄様カッケェ〜〜 好きだわ〜〜

 銀髪、しかも紫眼蒼眼のオッドアイとか俺の好みドストライクだわ」

深夜に乙女ゲーをしてテンション爆上がりし、一人称が俺になっている私。


我ながらこの台詞、ちょっとキモいと思う……



……あ、寒っ 上着きよ。


仕切り直して。

はいどうも現在ニートの(れい)様だよ!

冗談ですどうも私は(すめらぎ)澪です。

余命申告されたので仕事辞めました。どうせうち恋人とか家族はいないから、収入なくて困ることそんなにないんだよ。

ということで、辞めました。あっさり。上司に辞表届けてはい終わり。

一年半くらい前に健康診断で「病気だねー 余命あと一年半なんじゃないの?(深夜テンションにて改変されまくった言葉)」と言われて、まあそれ以来ニート生活ですわなー

治療してもお金が消費されるだけだし、するにしてもその病気の完全な治療法はまだ確立されてないから延命治療になるしなぁ……あ、じゃあいっそのこと、先短い人生を自由に生きようぜ!という思考に至ったのだ。


そんなわけで、残った貯金(結構な額)は好きなことに使うことにした。

家賃と食費を残して他は全部ゲームに注ぎ込んだ。まあ要するに課金に沼った。

どうせ死ぬんだし。と、お徳用もやしパック特大サイズ(550g)三袋で食いつないできた今日この頃。栄養は偏り、どうしようかと思い悩んだが、結局現状維持となった。

野◯生活ならぬもやし生活はあまりおすすめはしない。理由はいくつかある。

1つめは栄養。あれ、今調べたけどもやしの栄養分すげぇらしいぞ。えーーと、カリウム,カルシウム,ビタミンB群,ビタミンC,食物繊維,アスパラギン酸?だそうな。本当かは知らん。いろんな調理法があるらしいぞ。

一旦もやしは置いときますぞい。


さて、余命が近づいてきたところで偶に吐血するようになって来た。

鉄分の味しかしないっす。マジで。

んで、実は今日なんだよ。余命申告が合ってたいら。

今日死ぬ予定。



はいということで

いつ死んでも良いように最後まで人生満喫するぞい。

おー!


「ゲホッ!ゴホッ……!」

慌てて手で口元を抑える。

ある程度咳が止まってから手を見てみる。


………やはり。


そこにはかなりの量の血が付いていた。


そうか、そろそろかぁ………

悔いの無いように死ぬまで乙女ゲーをしよう。


そしてあっさり自分の命を捨てた。

どうせ治るものでもないしね。



今からする乙女ゲーは「雪白花は咲き誇る」。

舞台は学園。

主人公(ヒロイン)、フラン・カトレノアが学園に入学したところからゲームは始まる。

うん、サンプルとしてオープニングを流そう。



〜♪

『はじめまして、フラン様。貴方様はカトレノア子爵家の長女として引き取られる事になりました。』

カトレノア家の紋章が入った手紙を持った執事が言った。



「…もう、二年も前のことなのね……」

馬車に揺られる白い髪の少女。白の少女は、この乙女ゲーのヒロインである。


「お嬢様、着きました。」

走っていた馬車が止まる。


「あ、ありがとうございますっ」

そう言い、少女はカバンを持ち、馬車を出る。



「――…ここが、学園………!」

これで前置きみたいなのは終わる。


スノーフレークという白い花を背景に、少女の立ち絵が現れる。少し(2,3秒程度)空いてから、

主人公(ヒロイン)フラン・(ブラン)・カトレノア

の文字が浮かび上がる。そして、“はじめまして、私はフラン・カトレノアと申します!よろしくお願いしますっ!”というセリフが流れる。


画面がゆっくり白くなっていき、

背景の花が現れる。


あとは同じ(くだり)で、

攻略対象

王太子ダンテ・(ジューヌ)・ヴァイストラル

背景はタンポポ。

台詞(セリフ)、“花の主(フラウマスター)候補と噂されているのは君か。”


攻略対象

宰相候補兼王太子の側近ユニアド・(ノワール)・クロウノア

背景は黒いペチュニア。

台詞、“殿下を誑かそうとしているのは貴方ですか?”


攻略対象

公爵家後継ぎ兼王太子の側近ソウ・(ブルヴィオレ)・セレスデトライト

背景はツルニチニチソウ。

台詞、“初めまして、キヨリの兄のソウ・セレスデトライトです。”


攻略対象

騎士コラン・(ルージュ)・カルアス

背景は赤の花を咲かせるカランコエ。

台詞、“花の主(あなた)を守るのが私の仕事です。”


攻略対象

リースト商会の後継ぎユリウス・(オランジェ)・リースト

背景はオレンジ色のユリ。

台詞、“初めまーしてっ!お話し(情報)は大歓迎だよー”


悪役令嬢キヨリ・(ブルヴィオレ)・セレスデトライト

背景は青紫のキキョウ。

台詞、“花の主(フラウマスター)だからと言っても殿下に色目を使う女には容赦致しませんわ”


そして最後に――…

シルエットで出てきた少し背が低い人。

背景は無く、台詞だけあった。

“君が真実に辿り着くのを楽しみに待っているよ”

意味深な台詞である。

他に分かる事と言えば、髪が短い事だろうか。

名前が書かれているはずの欄には『???』と書かれていた。


そしてパッケージの絵が表紙されてオープニングは終わった。



ゲームをプレイして、ある程度キャラクターの性格を把握した所で、個々のテーマ(?)の花の花言葉を調べてみると。

なんと、合っているのだ。性格と花言葉が。

これを見て、意外と凝ってるんだなーと思った次第ですわ。

うん。まあそれだけなんだけどなぁwーー…

さてと。はじめに言っていた悪令(キヨリ様)の兄様とは、ソウ・ブルヴィオレ・セレスデトライトのことである。

まあ、極稀に出てくる悪令(キヨリ様)の弟くんの方が可愛くて好きなんだけどね。

弟くんは悪令(キヨリ様)に似て、深い紺色の髪を持ち、兄姉(あにあね)と同様の蒼と紫のオッドアイが特徴である。

オッドアイ良いよね〜


そう言っている間にも容赦無く流れ出ていく血。

いや、腕からダイレクトに流れていくんじゃなくて、吐血でダバダバーーっていう感じ。どんどん吐き出される血が多くなっていく。

頭クラクラして来だんだが。

病気で倒れる前に、まあこれも病気の一部なんだけど、貧血で倒れるわ。

これで意識失ってポッカリ死んだりしてなーー………はははっ………

いやあの、この状況でこの冗談はマジで洒落になんねぇぞ。

救急車呼んだ方が良いのか?

うん、私にはまだ正常な意思が残っていた。


ケータイ、ケータイ、と。

あれ、見えねぇ。

しかも段々(だる)くなってく。


……あった。

1、1、9。

――発信


そこで私は力尽きた。



◇■◇



暗い。


何処までも黒い暗闇が広がっている。

動いた所で何も見つからないだろうが、取り敢えず前に進んでみる。


というか、前ってどっちだ?


あれ?


上も下も分からない。


取り敢えず足を着くところは……


ない。


というか、私に足があるのだろうか?


感覚が、ない。


はい?????

え??

どゆこと?

ヘルプミー!!!!


全く、理解出来ない状況だ。


ひとまず、情報を整理したほうが良さそうである。


起こったことを簡単に纏めるとこうなった。

1、血を吐く。

2、意識を失う。

3、暗闇の中。


・・・・・。


私、死んだ?

そうとしか思えない。

となると……ここは死後の世界……?

真っ黒な空間というと……地獄の果てとか?

青赤黄を通過して黒っていう感じだろうか。

ああ、青赤黄は地獄の三原色らしい。

どっかで聞いた。

何処だっけなぁ……




『――みつけた』



え?


その声が聞こえた次の瞬間、黒い空間は消えた。



◇■◇



気が付くと、消えていた感覚が戻り、寝転がっていた。


この感触は……草?

という事はここは草原?


目は見えるか?


閉じていた瞼を開ける。


そこには何処までも澄み渡った青空と一人の少女が覗き込んでいた。


『起きたか。』


この子があの、黒い空間から出してくれたみたいだが、一体誰なのだろうか。


『私は神だ。』


・・・・・。

冗談はよしてくれ、と言いたいところだけど。

ラノベとかでよく出てくるあのシーンの再現になってしまうから、それは絶対に言わないぞ、私は。


まあ、心を読んでくるあたり、神もしくはそれに近いものなのだろうと想像がつく。

この先の展開は、まあ、あれだ。

私が死んだのは手違いだーとかそんな感じのことだろう。


『理解が早くて助かる。正確には、手違いで生まれる世界が変わってしまった、だ。』


なるほど。テンプレだなー


『うむ。』


っていうか神様、テンプレを知ってるの?

てんぷらじゃないよ。


『てんぷらは食べ物だろう? ……事前に情報収集したからな。』


凄いですなー(?)


『詫びとして、』


二度目の人生を、か。


『そうだ。何か欲しい能力とか無いか? これも詫びの一環だ。』


何個でも?


『うむ。だが、3桁以上は勘弁してくれ。面倒くさい』


神様でも面倒くさがるんだな……


『・・・・・。』


私は転生する世界について何も知らない。

という事で、大まかな情報を教えてくれるかな?


『ああ、言い忘れていたな。テンプレ通り、剣と魔法の世界だ。スキルもジョブもステータスも存在する。』


なるほど。

じゃあ――…



『…承知した。その量の能力だと、現地の人間の体では耐えられないな。……新しい身体をつくるか。一からつくるとなると、時間が掛かるから、転生予定だった体を複製してそれをベースにして――…』


詳しい事は私には理解できないと思うから、そっちに任せます。

神様、よろしくお願いします。


『分かった。』


ありがとう、神様。


『私の名前はクレハノートルだ。神様では無い。』


はあ。じゃあ、クレハノー……長いね。

クレハ様で良いかな?


『好きにしろ』


じゃクレハさんで。

この呼び方が一番しっくりくるわ。


『……転生まで少し時間があるが、休んでくか?』


ここで?


『ああ、ついでに少し愚痴に付き合ってもらう。』


それが本音ね。

いいよ


『有難う』


『……お前がいた世界の神が、』


え、地球に神様いんの!?


『そこからか。うん、まあ、いるな。(説明放棄)』


はあ。


『そいつが私の世界にちょっかい出(干渉)して来だんだが。何の断りもなく。勝手に』


えっ・・・


『それで、死ぬはずのなかった者が死に、いないはずの者が生まれた。それにより多くの人の運命が改変された。……勿論、悪い方向へとな。』


え、何やってんだよ、地球の神様!!


『地球の者は薄情だな。自身の世界の神に文句を言うなんて。』


まあ、少なくとも私は神なんて空想上の存在と思ってるよ。

あ、クレハさんは例外で。

実際に見た事以外は大抵信じないんだな、私は。


『なるほど、地球の神は放任主義だったな。』


あーその設定ラノベでよくあるやつぅーー


『なら自世界に直接干渉……信託とか下ろしたりしないな。そりゃ熱心な信者は少ないか。うむ』


神さんがいるのは分かったけど、地球の神は何処にいるんだろう?


『そうだな………君達人間が言う“宇宙”の外側、といったところか』


それはかなり遠いな……


『内側から行く方法は2個位はあるが、魔法が無い世界ならば一つとなるな。魔法に似たナニカがあると別だが。』


魔法か……

転移魔法とかかな?


『ああ。それと、宇宙は常に拡がっている。そこで、宇宙が拡がるより速く動いて外に出る。』


ああーー、今の技術じゃ到底無理だなぁ……

宇宙の端まで遠いし、息出来ないし、その速さで動くと、多分燃えるし。


『そうだな……と、そろそろ時間だ。』


はやっ


『転送を始めるぞ』


りょーかい


体が段々と透明になっていく。


『では、良き第二の人生を。』


また会えるといいな。


『あぁ、教会に行ったらまた会えるぞ』


マジか。


『マジだ。今度こそ転送始めるぞ』


またね


『ああ。』


今度こそ私は消えた。



◇■◇



おぎゃあおぎゃあ。

赤子のなき声が部屋中に響く。


私は助産師?みたいな人に抱きかかえられている。


「奥様、双子の女の子です!」


その言葉とともに母親らしき人に手渡される。

勿論、双子の私じゃないもう一人の方も。


「この子はキヨリ。そしてこの子は――…」


優しい手つきで撫でられる。


「……ローゼレイラ。キヨリ、ローゼレイラ、初めまして。お母さんのスターチアよ。」


こちらこそ初めまして。

今世のお母さん。



◇■◇



現在、双子の姉とベッドの上でじゃれている。



ここにきてかなり重要な情報が。


我が姉、悪役令嬢だった。

タイトルは「雪白花は咲き誇る」、あの乙女ゲーだ。


早速フラグ回収しますた。

が、悪令転生というもう一つのフラグはしなかったようだ。


ここは乙女ゲーの世界みたいだ。

私が前世で10年間ラノベを読み培った経験がそういっている。

それと、兄と姉の名前と苗字、もとい家の名前である。

キヨリ、ソウ、そしてセレスデトライト。

そこまで来たらもう確信しますわなー

だが、悪役令嬢(キヨリ)に妹なんていたかな?


もしかしたらゲーム内には存在しなかったとか……

それはそれで良いかな。


ストーリーの影響を直接受ける事はあまりないだろうからな。


まあ、ゲーム内キャラクターと関わった時点で巻き込まれるだろうなぁ……


という事は、私、アウト?


絶対身の周りで何か起こるわぁ……

姉ちゃんがやらかしてセレスデトライトが潰れるとかなぁ……

やだなぁ……


めんどい……



あ、そうだ。

姉ちゃん更生しようぜ。

更生と言うか、マトモな性格に育つように接することだろうか。


産まれてからずっと目を開けていなかっな。

そろそろ開けよう。


重い瞼を開ける。


すると、今世の姉、キヨリが覗き込んでいた。

突然目を開けたのにビックリして、凄い勢いで後ずさり、ベットの端に付いている壁(というより柵)に手をぶつけ呻き声を上げた。


ええ〜〜…

なんですのん

私何もしてないですけど?

ただ目を開けただけなのに後ずさりって……ひでぇよ姉ちゃん……


「………び、びっくりちた……」


うん???

産まれたての?

赤子が?

喋る???

いや冗談だろ……

冗談と言ってくれ。


「……しんだとおもったにょに…」


ああああああああ!!!!

やっぱりぃぃいい!!!!


やっぱりそうなのねぇ……

まあ、その分楽になった……のか?


「こにょこ()()()いにゃかったにょににゃんで?」


ああ――…なるほどね。そっちか。

そう。この悪役令嬢キヨリは、クビちょんぱ(ギロチン)から時間巻き戻り、とラノベの主人公みたいに……ね。

いくら察しの悪い私でもこれは気付けた。

あっ……この子時間巻き戻ってやり直してる、と。


すごーく気まずい。


向こうもまさか、産まれたての赤子がもう既に人格が確立しているとは思わんだろ。

私だけ知っていて良いのだろうか?

どうしよう。私のこと話すか話さないか。

話した方が動きやすいかもだけど……


うう〜ん


ガチでどうしよう。


もうちょっと経ってからにするかなぁ……


そうしよ


ということでここは一旦スルーで。



まず、早く魔法使えるようになりたいし、魔力操作の練習をしよう。

まずは目を閉じ、魔力の流れを感じるところか。


私は目を閉じ瞑想をする。

魔力の流れ……血液循環見たいなイメージかな。

心臓からどんどん流れでいく感じ……


あーなんかあったかいのが流れてるー


ちょっと動かしてみよう。

右、左……動かしにくいが一応動いた。


しばらくそれを繰り返していると、だいたいのコツを掴んだ。


右手に集められるかな。

なんかあったかいの――…もとい魔力を右手に移動させる。


おお〜

集まったー…って熱い熱いっ!


すぐに集めた魔力を循環の輪に戻す。


ふぅ……

以外と疲れるな。

あと、集め過ぎはダメだ。

次はもうちょっと少ない量を……


バンッ!!!!


っえ!?

ビックリしたぁ……

台所の奴が出たの……?


「――遅くなった!!」


「静かにしてください旦那様。奥様とキヨリ様、ローゼレイラ様が寝てらっしゃいます。」


「そ、そうか……無事生まれたんだな……よかった……」

ホッとした様な声が聞こえる。


“旦那様”と言うと、そうか。この声の主は私の父か。


「双子……!」


「はい。紺色の髪をしていらっしゃるのがキヨリ様、紺色に銀のメッシュが入っていらっしゃるのはローゼレイラ様です。」


「……そうか……」

そう言って、私の頬を撫でる。


「……また明日来る。」


その後、扉が開いて閉まった音がした。



はぁ……


疲れたので、取り敢えずステータス鑑定だけして寝よう。


――鑑定。


すると、目を閉じでいるのにも関わらず、ゲーム画面のように右端に半透明の板が表示される。

それと同時に、[鑑定Lv.1取得]という文字が浮かび、すぐに消えた。


ゲームっぽい。


――――――――――――――――――

ローゼレイラ・(ブルヴィオレ)・セレスデトライト

――――――――――――――――――


出てきた情報はこれだけだった。

クレハさんに鑑定スキルを頼んでいたので、一応鑑定出来た。

たしか、ゲーム内ではスキルは熟練度によって効果が変わるというシステムがあったな。

もう一回鑑定してみよう。


鑑定。


先程と同様に、[鑑定Lv.2獲得]と、文字が浮かび上がり、消えた。


やっぱりゲームっぽい。


――――――――――――――――――

職業:無しLv.--

HP:6

MP:5

――――――――――――――――――


先ほどの名前に付け足して現れたのはこれだった。

職業……魔術師とか賢者とかあるかな?


HPとMPはほぼ同じだな。

産まれたてだから、まあ一桁は普通か。



もう一度鑑定する。


先程と変わらず、ステータスはMPまで表示された。


もう一度鑑定すると、スキルまで鑑定されるようになった。


[鑑定Lv.3獲得]


――――――――――――――――――

スキル▽

魔力操作(Lv.1)

火属性魔法(Lv.0)

水属性魔法(Lv.0)

風属性魔法(Lv.0)

土属性魔法(Lv.0)

光属性魔法(Lv.0)

闇属性魔法(Lv.0)

無属性魔法(Lv.0)

隠蔽(Lv.0)

魔法創作(Lv.0)

魔力自動回復(Lv.0)

鑑定(Lv.3)

――――――――――――――――――


おおー!

スキルチート主人公みたいにスキルの量が多い!

まあ、よく見るとほぼLv.0なんだけどねぇw……



そこから数回鑑定しなおすと、鑑定スキルのレベルが1上がり、称号が表示されるようになった。


――――――――――――――――――

称号▽

転生者

神の意志

公爵家の一員

創造神クレハノートルの加護

虹眼の所持者

――――――――――――――――――


すご。

もう語彙力が死んでそれしか言えない。

すげー

わー


・・・・・ゴホン、


転生者…は、転生したからだな。

で、神の意志……なんだこれ? よく分からんので置いとくとして。

公爵家の一員……セレスデトライト家の次女だもんな。

創造神クレハノートルの加護。……クレハさんの加護だな。

えーーと次は、虹眼の所持者。なんかカッコいい。眼が虹色になるのかな?



よーし

鑑定はここまでにしてもう寝よう。

赤子は寝るの早いのよ。


おやすみ。



◇■◇



あれから2年。私は2歳になった。

ある程度歩けるようになったし、簡単にだが、喋れるようにもなった。


産まれた時からずっと魔力を操作をし続けた。それにより、かなり魔力が操作できるようになった。

生後一ヶ月あたりには操作できるようになったら、属性魔法を練習し始めた。

それと並行に、魔力を増やす方法を模索した。

どうやら、魔法を使った回数分、魔力が増えるらしい。

その甲斐あって、たった「5」だった魔力が、今では3,000を越えている。


それでもまだ魔力は少ない方だ。

ゲーム内で出てきた魔術師の魔力は100万を余裕で越えていた。


1度に何個もの魔法を使ったら、魔力増強の効率が良くなると思い、試しに火魔法と水魔法を同時発動した。


が、結果、発動しなかったのである。


火魔法と水魔法が反対の性質だからなのかと思ったが、相性の良い水と風でも発動しなかった。

という事で今はその原因を調べている。



さて、魔術の話は一旦置いとこう。


今の状況:

(ソウ)が私を凝視している。


なにこの状況。

かれこれ十数分この状態が続いている。


この状況を打破しようと、声をかけるのを試みる。


「……ぁ……う」

こ、声がうまく出せねぇ!!


ここは……


必殺! 上目遣い!!

どうだ!

効いたか!?


そこには顔を押さえてうずくまった兄がいた。


……ッ! まさかッ!!

厨二病!?

突然右眼が疼き出したり、右腕に魔王が封印されてたりする、あの!?


けど……あっ、そうか!

そういえばソウルートでのバットエンドはソウが魔王になるシーンがあった!

なるほど……て、あれ? たしか誰かに乗り移ってた魔王がソウに乗り移ってたような……

もしかして、もうこの時既に魔王がソウに……


いや、まだソウには乗り移ってはないか。


……ソウは大丈夫だが、その前に乗り移られていた人は……?

というか、前の人はゲームでは明かされていなかったな……

どうやったら見つけ出せるのだろうか?


・・・・・・。

さっぱり分からん。


仕方ない。この件は保留にするか。



あ、いない。


考え事をしているうちに、うずくまっていた兄はこの部屋から去ったみたいだ。



◇■◇



10年後。

12歳、ギリギリ幼女……だろうか?

小6と言えば……幼女じゃねぇな。うん。


常に目を閉じてます。

片方の眼が虹色、もう片方の眼が青と紫のグラデーション。明らかに異常だわ。

目立つのを避けるため――…本音を言えば、常に見えていたらかっこよさが半減するため――スキル【千里眼】を獲得した。

これはかなり頑張ったぞ。

1年くらいずっと目隠ししてた。

初日とかもう至る所に足ぶつけてたなw


それはさておき12歳になって、魔法学園の初等部に入る事になった。

前世の感覚で言うと、かなり遅い。

その代わりか、初等部は2年で終わり、中等部2年、高等部2年、と、全て2年、合計6年で終わるのだ。

年数で言えば小学校だな……

魔法学園の上には魔術学院がある。まあ、大学みたいなところだ。

そして、学院に附属して魔術研究所がある。ここは大学院といったところか。

で、就職先として宮廷魔法師団。

宮廷魔法師団は研究所の上位の人しか入れない超エリートコースである。


魔法師団の師団長はたしかゲームにも出て来た気がする。

覚えてないから、攻略対象とか敵キャラとかの重要なキャラではないだろう。



魔法学園は全寮制で、貴族も平民も全員寮だ。

私も例外なく寮に入ることになった。


寮に行くついでに冒険者ギルドにでも行こうと思う。


冒険者ギルドって…ほら、異世界転生とかの定番。

Sランク冒険者とか夢見るよな〜


少し早めに着くために半日早く家を出発した。

一応我が家は公爵家のなので、行きはもちろん馬車である。

ちなみに、姉も乗っている。

どうしよう。

別々の馬車に乗るはずだったのに……


寮に着いた瞬間、猛ダッシュでギルドに向かうか?

ああ、女の姿だと余計に面倒くさくなりそうだから、まずこの姿をどうにかしないとな。


ふはは、こんな事もあろうかと!

てってれー

自家製カツラ(短いやつ)〜〜


あとは服だが……さてどうしよう。


……創造魔法使う?

創造魔法は、スキルにあった魔法創作で創った魔法だ。

その名の通りものを創造することが出来る。

これなら大丈夫か……?


………はっ!

忘れてた。

私に、ファッションセンスが、無い。

これはかなり致命的だ。

皆無というわけでは無いが、その辺のことはぼんやりとしている。


ということで、「雪白花は咲き誇る」とは全くの別ゲーから、あるキャラクターの衣装デザインを拝借致します。


コスプレみたいだな。


設定では『時操神アストラル・クロノスタ』と書いてあった。

ただただ、かわいいしかっこいい少年。



着替えは……そうだな。魔法で何とかなるか。


あと、心なし程度の銀貨5枚。

ついでに大銅貨2枚。


……銀貨は使わず大切にしまっておこう。

流石に登録だけで銀貨は取らないだろうし。



馬車が進む速度がだんだん緩やかになっていく。


そろそろ着く頃かな。


窓の外を見ると、そこには大きな門があり、もう既に何台かの馬車が停まっている。


わお、入学式午後からなのにもう来てる人いる……


まずはギルドに行かないとな。


ということで。


バンッとドアを開け、

「お姉様、入学式までには戻ってきますので!」

「え、待っ! 待ちなさ――…」

そう言い残しギルドへ向かった。



◇■◇



私は人混みに紛れ、魔法で着替えて(着ていた服と着る服を置き換えて)からギルドへ向かう。


いちいち術式組み立てるの面倒だから今度、術式を刻んだ魔道具でも作ろう。

ペンダントとかイヤリングとかが良いかな。

う〜ん……

服の下に入れれば隠せるしペンダントかなぁ……

けど、イヤリングの方がなぁ……

どうしよう………



そんなこんな考えている内にギルドに着いた。


いざ扉を開けるとなると緊張するな……


……よし! 思い切って開けよう。



ギィィイイ……と音を立てて扉がひらく。

ギルド内は冒険者が多く、そこら中から会話が聞こえていた。


えーっと、登録窓口は……あった。

数ある窓口の左から1番目、2番目の窓口が新規登録者用の窓口だった。


取り敢えず、人が並んでない方に向かって歩いた。


「……いらっしゃいませ。冒険者登録をするならこちらをご記入下さい。」

受付嬢の顔が青白い。

目の下には大きなクマができている。


「あの、大丈夫ですか?」

思わず聞いてしまった。


「えっ? ああ、いやっ、大丈夫ですよ!」

手を振りながら笑顔を浮かべる。


本当に大丈夫なのだろうか……


「それよりこれを……」

そう言って、受付嬢は用紙とペンを差し出す。


「あ、はい。」


えーと。

まず名前……

澪…は前世の名前。

ローゼレイラ…は完全に使えない(ナシ)

レイ……0……ゼロ……。

ゼロ…なんかかっこいい。

よし、ゼロだ。


次は、職業……

ええ〜〜。

適当に魔法戦闘士って書いて良いかな?

うん。いいや、これで。


えー、魔術師の方はこちらもお書き下さい……属性の適性……

なるほど、使える属性か。

……基本属性は全部書いておくか。


よし、これで終わりだな。


「書けました。」

記入用紙を手渡す。


「……ッ! これでお間違えないでしょうか?」


「はい。」


「……ではこれに手を。」


水晶みたいなのに手をかざす。

すると、七色に光った。


うわ、眩しっ。


「……7属性全てに適性があるのは間違いないようですね。全属性使える人は初めて見ました。」

驚いた様子で水晶を見つめる受付嬢。


「はぁ? 7属性って、んなアホなこと出来る奴いねぇだろ!」


え、いますけど、ここに。

あと誰がアホじゃコラ。


「えーっと、見えませんか?これ。」

虹色に輝く水晶を指差し、言った。


「ああ? お前ズルしたんじゃねぇか?」


ギルドでありがちなイベントだなー

しかもズルって……意味わからん。

どんなこじつけ方だよw

ズルも(なん)もねぇよ。


「――…私は何もしてないですが。しても意味ないですし。」


「あ゛あん!?」


「……あ、あの! 私闘は、…お控え……くださ………ぃ」

イチャモン野郎に睨まれ若干涙目になっている。


時間の無駄だな……


あっ!


「そうだ! そのうち決闘だとか言い出しそうなので、一つ提案です。」


「冒険者登録の際に試験をしますよね?」


「……は、はい。登録する人の実力をある程度把握しないといけませんから。闘技場で試験官と一対一で」


「ということで、試験官になってください。他の人に頼むの面倒なので」


「……ハッ 受けてやるよ。」


「ありがとうございます。では早速闘技場に行きましょう。」


「……あっ、審判はどうされますか?」


ああ、審判……


「じゃあ、あなたに任せます。よろしくお願いしますね」


「……は、はい。わかりました。あと、闘技場はこっちですよ。」

私が行こうとしていた反対の方向を指して言った。


あ、あれ。方向違った?



◇■◇



私とイチャモン野郎は闘技場に立っていた。

イチャモン野郎は背中に大剣を携え、その反対側にいる私は手ぶらだった。


「どこまでやれるか楽しみだな!」

イチャモン野郎は大きな声で言った。


「――双方構え! ……それでは、始め!!」

受付嬢の合図と共にイチャモン野郎が動き出す。


「あれ、それ真剣ですか? 私戦闘経験無いので少しは手加減してくださいねっ【魔力壁(マナシールド)】!」

上から振り下ろされた大剣を【魔力壁(マナシールド)】で防ぎながら後退する。


うん、どうしよう。戦闘経験全く無いからどう動けばいいのか全くわからんぞ。


取り敢えず牽制に――…


「【火炎弾(ファイヤーバレット)】×3!」

着弾した時にちょっと派手に爆発するように、術式を変えた【火炎弾(ファイヤーバレット)】を放つ。


見事三発全て避けられたが、


ドォォォオオン!!!!


という音が立て続けに起こる。


あれ、、、


着弾位置には地面が抉れた跡が残っていた。


あーー…人に使うもんじゃ無いな、これ。


「こ、こんなもの、当たらなければ意味が無いじゃないか!」


「そうですね。あ、そうだ。折角なので7属性全て使いましょう。無属性と火属性は使ったので、あとは水属性、風属性、土属性、光属性、闇属性ですね。」

次はどの魔法を使おうかな。

いっそのこと複合属性にしようか。

けどなぁ……それはまだ研究中だから不確定要素が多過ぎる。

……また今度にするか。


土属性でゴーレムを作って、それに風属性を付与しようか。

そしたらあとは水、光、闇になるな。

水は――…霧を作って視界を塞ぎ、光は閃光代わりに、闇は影移動。


どうだろう。素人ながら結構いい戦略では?

……まあ、誰にでも想像できるくらい簡単な戦略だな。


さて。


「【土人形(ダートゴーレム)】、【風属性付与(ウィンドオーラ)】、【水霧(ミスト)】」

一瞬の間に風を纏った土のゴーレムが現れ、


「なっ……! 待t――…」


からの……


「【閃光(フラッシュ)】!」

カッ!!! と、一瞬、視界が白い光で何も見えなくなる。

先ほどの霧の中の水の粒、1粒1粒に至るところまで光が届き、反射した。それにより広範囲の視界が奪われた。

数秒後に光は止んだが、しばらくは目がチカチカするだろう。


「――【影移動(シャドウムーブ)】」

その言葉により、私は自らの影に吸い込まれていき、最終的には影に全身が入った。

そして、イチャモン野郎の影に移動すると念じると、イチャモン野郎の影から吐き出された。

イチャモン野郎の背後を取った後は、先ほどの作ったゴーレムを圧縮し、変形して短剣を作った。

その土の短剣をイチャモン野郎の首に突き付けた所で、


「――そこまでッ!」

受付嬢ではない誰かの声が闘技場内に響き渡る。


「ゼロ、試験は合格だ。」

パチ、パチと拍手をしながら近づいて来る。


身長は180センチは超えていそうな女の人。


「…あなたは?」

大体は予想がついているけど、一応聞いておく。


「このギルドのギルドマスターだ。話があるから客室に来い」


このあと入学式があるんたけどな……

早めに終わるか……?


「手短にお願いします。」

ギルドマスターのあとを追って歩いた。

読んで下さりありがとうございます。


乙女ゲーのキャラに当ててある花とその花言葉はこんな感じだそうです。

ローゼレイラとスターチアはおまけで載せておきます。


フラン:スノーフレーク

花言葉

皆を惹きつける魅力

純粋

純潔

汚れなき心

汚れの無い無垢な心

乙女の誇り

慈愛

清純


ダンテ:タンポポ

花言葉

愛の神託

神託

真心の愛

別離

誠実

幸福

思わせぶり

神のお告げ

軽薄

軽率

無差別

明朗な歌声


ユニアド:ペチュニア

花言葉

心を鎮めてくれる

心の不安

あなたと一緒なら心が和む


ソウ:ツルニチニチソウ

花言葉

楽しい思い出

生涯の友情

優しい思い

幼なじみ


コラン:カランコエ

花言葉

幸福を告げる

あなたを守る


ユリウス:ユリ

花言葉

華麗

愉快

軽率


キヨリ:キキョウ

花言葉

永遠の愛

変わらぬ愛

気品

誠実


ローゼレイラ:虹薔薇

花言葉

無限の可能性


スターチア:紫のスターチス

花言葉

上品

淑やか

変わらぬ心

永久不変

途絶えない記憶

驚き

いたずら心

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