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43エピローグ~日常~


領主様は”飽きた”と言って逃げ出してしまった。

なるほど、法を緩めるとこういう問題が起きる恐れもあるのか。


でも厳しい法も嫌だよね。


マーユ「人の感情は一時的なものです。永遠はありません。」

マーユ「自由には責任がつきます。ですが誰も責任なんてとりたくないものです。」

マーユ「ならば自由も無ければ責任もない・・しかし人は自由を求める。」


マーユ「このバランスが崩れれば、秩序はいびつになっていきます。」


バランスをとる必要がある、と。


マーユ「誰もが最善を尽くしたとしても、必ず漏れ・・いえ、偏りがあると考えるべきです。」

マーユ「人の思考は他人に釣られあっちへふらふらこっちへふらふら。」

マーユ「今日うまくいっても明日うまくいかないこともあります。」


マーユ「これを正せるのが王様だと思ってください。特に大きな問題ほど小人では解決できません。」


おお、なんか俺の役割がわかってきたような気がする!


マーユ「ただ、小さな問題は中間管理職に任せないと王様が過労死します。」


中間管理職さんは大丈夫なのかな?


・・

・・・・


領主様が戻って来て、”最高の奥さんのために珍しい品を買いに行ってただけ”と、逃げたことを否定してた。

すごいなぁ領主様は。

色んなパターンをひとりで見せつけてくれてる。きっとわざとなんだろう。


雫「放っておくと王室すら傾かせるかもしれぬぞ。」


大丈夫ですよ。

領主様は自分が王になるって言ってましたから。

自分がなりたがっているものを傾かせたりはしないでしょう?


雫「・・それで、王位を譲ったりはせぬじゃろうな?」


もちろんです。

王のような外出も自由にできない役割なんて領主様には合いませんから。

とはいえ、領主様には何が向いているのか悩みます。


優秀すぎる人材は、使いどころが難しいですよね。


雫「王国で引き取ってもよいぞ。」

雫「ミレソウ教の残党が反乱を企てているうわさがあってな、そこに潜り込ませる。」


あれ?雫さん王国の仕事もしてる・・?

まぁ間者ですね。危険な仕事ですが領主様なら何があっても逃げきれそう。


雫「いや、とっとと反乱するようにそそのかせる。時間が経つほど面倒になるからのう。」

雫「・・つまりは埋伏の毒じゃな。」


すごい使い方だ。

どうすればそんな簡単に思いつけるんですか?


雫「国全体をひとつの組織として考えるのじゃ。」

雫「優れたところを用い、悪い部分は用いない。」

雫「これをうまく使えば強みをより強化し、弱みを補うことができる。」


・・概念すぎてわかりません。


雫「レイン殿が作戦立案をして、クー殿が武器を持って突撃したらどう思う?」


逆だと思います。

クーさんが作戦立案をして、レインが戦う方が強いですよ。


雫「そう。国全体でそれを行うのじゃ。」

雫「国民全員が農民では外敵に勝てず、全員が兵士では飢えてしまう。」

雫「全員が商人では利害で分裂して国はまとまらず、全員が王では誰も命令に従わない。」


雫「無頼漢も学者も、演者も農民も、悪人であろうと、国の役に立たせればよい。」

雫「すべての者に役割を与えるのじゃ。」


・・雫さんが王様になる方がいいと思います!


雫「イスス殿が言っておったであろう。優秀な者が側近になり、特別な者が王になるのがよいと。」

雫「瑪瑙、お主は代わりのいない特別な存在じゃ。」

雫「他人の痛みがわかり、苦労を乗り越え、力を手にし、それでも変わらぬ穏やかな心を持っておる。」


雫「・・性格は、呪いの影響もあると思うがな。」


特に悪影響とは思わないけど、どうなんでしょうね。

呪いがなかったら・・俺、どんな性格だったんだろう?


・・

・・・・


あれから天使様も悪魔王さんも超神さんも現れない。

そのうち来るかなーと思ったけど、来ない。


あまりにもあっけない別れに、あれは夢だったのかと思ってしまう。


悪魔王さんが最初に声をかけてくれた時は、救われた気がした。

超神さんと悪魔王さんは、わざといがみ合っていたんじゃないかな。

自然な形で俺を導いてくれたんだ。


天使様はああしろこうしろとは言わず、俺は自分の思うままに行動しただけだった。

それなのに、あらゆるところで天使様の助けがあった。


いつの間にか導かれていた。


みなさんから俺は多くのことを学んだ。

同じように俺も民を導かなければならない。

民が自然のまま行動すれば幸せにつながる社会が正しいんだ。


悪魔王「ひとつ間違ってるわ。」


あれ!?悪魔王さん?


超神「そうそう。私たちはわざといがみ合っていたわけじゃないわ。」

超神「完全に敵なのよ!」


あれ?超神さん?


悪魔王「私たちは長きに渡り雌雄を決してきたわ。」

悪魔王「ただねぇ・・超神は卑怯だから負けを認めないのよ。」


超神「それはあなたでしょ!?原始生物の支配は私の方が上だった!」

悪魔王「あれは超神が後から勝手にやって来て私の邪魔しただけでしょ。」


悪魔王「ちゃんと勝負したのはあれよ。どちらがより強い進化生物を作れるか。」

悪魔王「勝ったのは私よねぇ?」


超神「その後であなたの進化生物たち殺し合いして絶滅したでしょ。」

超神「間違った進化させてたじゃない。」

悪魔王「強かったのは私が作った進化生物。」

超神「最後まで生き残ったのは私の進化生物よ。絶滅しちゃう生き物は強くないわ。」

悪魔王「私の作った進化生物にボコられまくるのは強いとは言えないわよね~。」


もしかして、おな


・・

・・・・


目覚めると、悪魔王さんも超神さんもいなかった。


るーしー「・・あのふたりに”同じレベル”は禁句。」


え、あ、はい。

小さい女の子がいた。


るーしー「・・お疲れ、よくがんばった。」


女の子は帰っていった。

この子どこかで見たような・・どこだっけ?


・・

・・・・


今日は王国国王と会談。

・・まだ雫さんが王妃になるの認めてもらってないんだよね。

首脳会談だから俺が出ないといけないけど・・出たくないです!


国王「そう緊張することはない。」

国王「私情なぞ挟まぬ。天下泰平、民の安寧に向けた話をしよう。」


は、はい!


ジェミニ「お茶です。」


国王「ありがとう。水分をとるのは健康に良いそうだ。」

国王「生きてるだけで体は毒素を溜めている。その排出に役立つ。」

国王「他にも体温調節や、勝手に人の娘を奪う輩をぶん殴る筋肉を動かすのにも使う。」


ん?


国王「時に、外国は平穏かな?」


はい。今は落ち着いています。

みんなが色んな催しを企画してくれたおかげで、戦争気分はどこへやらです。


国王「王国へもその話は届いているぞ。王妃の人気投票をしたそうだな。」

国王「別に1位と2位を消そうとは思ってないぞ。」


王様・・?

そういえば、雫さんが3位だったっけ・・


国王「そうだ、私も催しを考えたぞ。」

国王「外国国王をどうやって殺すか投票で決めてはどうか?」


私情挟みまくりでは・・?


・・

・・・・


会談はつつがなく終わった(と議事録に書かれた)


お・・王の仕事って大変。

もっと楽しい仕事がしたいです!


クー「後継者メイキングのお仕事がありますよ。」


その仕事は夜にお願いします。

他は?


ミミット「幽霊退治はどうですか?」


王の仕事かはわからないけど、やってみるかな・・?


・・

・・・・


幽霊「・・」


幽霊屋敷に、兵士1万人が押し掛けた。


幽霊「マジ勘弁してください。」


ごめんなさい。


・・

・・・・


雫「瑪瑙、外国出身の王妃がほしいという要望が寄せられている。」

雫「候補者リストを作っておいたから、気になる人がいたら言ってくれ。」


王妃・・これ以上増やすの?


雫「適性人数が決まっているものではないからな。」


腹違いの兄弟姉妹がすごい数になりそう。


雫「わらわも腹違いの兄たちがいる。」

雫「確かに普通とは違う問題も起きそうじゃな。」


後継者騒動とか、遺産相続とか。

身内びいきを要求するのとか。


雫「外国王宮に潜り込んでわらわの行動を監視する兄が何人かおってな。」

雫「帰れと言っても帰らぬのだ・・なまじ優秀だから困る。」


俺の知ってる一般的な兄弟姉妹の問題と違う。

・・怖いから確認しないけどさ、王国に謀反していた頃も潜り込んでたりしてない・・よね?


・・

・・・・


柚月「瑪瑙様、CHAIN MAILが届きました。」


チェインメイルというと、鎖帷子か。

兵士の生存率があがるのはいいことだよね。


柚月「いえ、こちらです。」


・・・・チェーンメール(不幸の手紙)やんけ!


・・

・・・・


うーん。

うーん。

うーん・・


レイン「悩み事?それとも困り事?」


悩みかなぁ。

王様になったらより大変になった気がして・・


レイン「それはそうよ。魔王を倒した勇者だって、その後も生活あるでしょ?」

レイン「結果を出せば、より期待されてやることも増えていく。」

レイン「悩まなくなるのは、負けて人生が終わった魔王の方よ。」


レイン「すべてを失うけどね。」


勝っても負けても大変だ。

俺やっていけるかな・・


レイン「大丈夫よ。王国は雫、独立地域はイスス、貴族は両者と交流がある。」

レイン「学者はクー、軍人と商人はエティー、ミミットは民衆に支持されている。」

レイン「それ以外の人たちはマーユが広くサポートしているわ。」


レイン「この人選が狙い通りだとしたら・・天使ってのはいい意味でいかれてるわね。」


うん、すごいよね。


レイン「そして、あなたには私がいる。」

レイン「悩んだら私についてくればいいのよ・・昔のようにね。」


じゃあ、次はどこへ行くの?


レイン「そうね、すごいもの見せつけられちゃったから・・」

レイン「神の領域というのも目指してみるのも悪くないわね。」


そんなのできるの?


レイン「やる前に諦めてどうするの。」

レイン「ほら行くわよ!」


どこへ行くかはわからないけど・・

そこに未来がある、と思う。


END.




おまけ

―――――

ミークルーガーI「ちょっと出かけて来る。」

プチクルーガー「ぷっぷくぷー♪」


行ってらっしゃい。


・・

・・・・


ミークルーガーH「山を越え」

ミークルーガーE「谷を越え」

ミークルーガーN「川を越えて海は越えない」

ミークルーガーT「何しに行くんだっけ?」

ミークルーガーA「250年前の雪辱戦」

ミークルーガーI「いた」


スネークドラゴン「・・」


お互い出会いが合図とばかりに戦闘態勢に入る。


スネークドラゴンから人間に対するような穏やかさは消え、獣のような殺気が放たれた。

ミークルーガーは、プチクルーガーと合体してリヴァクルーガーになった。


リヴァクルーガー「相変わらず天使を監視しているのか?それとも・・人間が狙いか?」

スネークドラゴン「何のことかわからんな。」


スネークドラゴンがブレスを放った。


一般的なブレスは3種類ある。

1.威力も速度もいまいちだが連発可能な球体型のブレス。

2.威力はいまいちだが面で攻撃できる広範囲ブレス。


3.そして、威力と速度に長けた直線状に放つブレス。

速さを重視するスネークドラゴンが好む技だ。


リヴァクルーガー「返すぞ」


リヴァクルーガーは空間をねじ曲げた。

ブレスは空間と共に不自然に曲がり、スネークドラゴンを直撃した。


リヴァクルーガー「空間を越え異世界からやって来た私に単純なブレスなど効かない。」


スネークドラゴン「250年前とは違うようだな。」


スネークドラゴンは再びブレスを吐いた。


リヴァクルーガー「無意味な。それとも囮か?」


リヴァクルーガーも再び空間をねじ曲げる。

だが、ブレスはねじ曲がった空間を無視してリヴァクルーガーに直撃した。


スネークドラゴン「空間のねじ曲がりは重力と同じ。そいつはブラックホールもぶち抜くぞ。」


リヴァクルーガー「250年前の時点で手加減していたか。」


スネークドラゴン「ガキと遊ぶのに本気は出さないだろう?」


リヴァクルーガー「お前のは、油断だ。」

リヴァクルーガー「だから人間なんかに封印される。」


リヴァクルーガーが、スネークドラゴンに襲い掛かった。

より巨体のリヴァクルーガーに対し、スネークドラゴンは真正面から受け止める。


スネークドラゴン「ははは、油断か。お前にはそう見えたか。」

リヴァクルーガー「いや、封印されたフリをして人間社会で何かを監視していたように見えた。」

スネークドラゴン「・・」


リヴァクルーガー「狙いは天使ではなく人間だな?人間の何が狙いだ?」

スネークドラゴン「何のことやら。」


リヴァクルーガー「お前は100年以上人間を監視していた。」

リヴァクルーガー「個人ではなく、人間族が生み出そうとしていた何かを狙っていたな?」


リヴァクルーガー「武器か?道具か?魔法具か?」


スネークドラゴンは、圧倒的なパワーでリヴァクルーガーを振りほどいた。


スネークドラゴン「知らんな。」


スネークドラゴンは逃げ去った。

・・そのスピードは、音速を超えていた。


リヴァクルーガーでも追いつくことはできない。


リヴァクルーガー「化け物め・・」


・・

・・・・


ミークルーガーI「ただいま。」

プチクルーガー「ぷっぷくぷー。」


お帰り。夕方まで帰って来ないなんて珍しいね。


ミークルーガーI「みんなで”なんでオレたちのアルファベット並べたらTAIHENになるんだろう?”って話してた。」


瑪瑙「HENTAIじゃなかったの!?」


ミークルーガーI「名前付きかっこで喋ってる!?」


やだなぁ、以前も名前付きで喋ったことあるよ。

みんな覚えてる?

―――――


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