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38戦う理由


クー「で、少しは事情を話してくれてもいいんじゃないですか?」

レイン「父の故郷が外国に攻め込んだから手伝ってる。それだけよ。」


クー「言ってくれてもいいでしょう。」

レイン「プライベートだからね。」


クー「いつも一緒だったのに今さらプライベートもないでしょう。」


?「勝ち目の薄い戦いだったからな。巻き込みたくなかったのだろう。」


確かに、独立地域の国力は外国より低い。

弱い方が遠征するのはかなり不利・・


なんで攻め込んだんですか?


?「どうしても、許せなかったから・・だな。」

クー「自分に酔ったわかりにくい説明はいりませんから、こちらにわかるよう端的にお願いします。」


?「ははは、王国は面白いやつがいるな。」


?「そうだな・・5年前に好きな人が殺された。」

?「敵討ちをしたかったが、その前に追い出されたから正攻法で攻めたってとこだ。」


クー「・・独立地域は、魚のあらのようなものだと聞いたことがあります。」

クー「あらは、おいしいだしがとれるので捨てるにはもったいないが、食べるところは少ない。」


クー「独立地域は、戦闘民族が住んでおり支配の維持が難しい。」

クー「苦労の割に旨みの少ない場所だと。」


?「それが何か?」


クー「独立地域に対しては、王国も外国も貢物を出し、独立地域のお偉いさんの子供を受け入れることで友好を保っていると聞きます。」

クー「あなたは外国に留学していた息女でしたか。」


?「ふふっ、クーもわかりにくい説明をしているな。」


クー「面倒でしょう?これからはお互いわかりやすい会話を心がけましょう。」


?「うーん・・悪いけど、好き勝手に喋る方が好きなんだ。ごめんな。」

クー「そうですか。押しかけた身としては強制するつもりはありません。」


あのー、なんかかなり個人的な理由で戦争始めたように聞こえるんですが。


?「理由もなく戦争を始めたりはしないだろう?」


大義名分がないのでは?


?「現在の外国の王はクーデターで王位を奪った。」

?「簒奪者を倒すことが大義名分になる。」


クー「それが適用されるのは外国の人だけであって、よそ者が使える大義ではありませんけどね。」


?「いいんだよ。勝てば。」


レイン「瑪瑙が来たら負けようがないけどね。」

クー「だからこそ大義名分は大切なんですが・・外国が無茶苦茶になりますよ。」


?「いいよ別に。あんな国なくなってしまえばいいんだ。」

?「あの人を見殺しにした国民も同罪だ。責任はとらせるもの。」


クー「”反省してるなら自殺しろ”理論ですね。失敗や間違いは誰にでもあります。」

クー「責任逃れができる環境下では、善人は責任をとっていなくなり、悪人は責任をとらないので居座り続けます。」

クー「この状態が長く続くと悪人ばかりになってしまう。」


クー「だから責任は強制的にとらせないといけない、というものです。」

クー「言葉の由来は”反省してるなら死んで償え”を実際に行うと、反省している人は自殺して反省していない人は自殺しないという無意味な結果になることからです。」


誰かが責任をとらせないといけないってことだよね。

・・普通の犯罪なら国家が罪人を逮捕するけど・・

クーデターは・・誰が責任をとらせないといけないの?


そもそも、クーデターに成功したら罪では無くなる気もするし・・


クー「正しい答えはありません。」


クー「虐殺や癒着をして国民生活を顧みない国ならクーデターは正しいですか?」

それは正しい気がする。


クー「一切不正をしないけど国民生活の苦しい国ならクーデターは正しいですか?」

え・・それは・・どうなんだろう?


クー「不正をせず国民の99%が幸せな国ならクーデターは正しいですか?」

それは間違ってる気がする。


クー「では、不幸な1%の国民のためにクーデターを起こすのは正しいですか?」

え?え?え?


レイン「思考実験ね。クーがたまにやるやつ。」

レイン「がんばれー。」


これ、俺ががんばらないといけないことじゃないよね?


クー「クーデターという行為だけを見たら判断はできません。」

クー「状況で変わりますので多方面から鑑みて判断しないといけないことです。」


?「いいんだよ。やりたいからやる、それだけだ。」


女の人は、寂しそうな顔で遠くを見た。


クー「本当に個人的な理由なんですね。」

クー「外国はクーデター前と比べて国民生活が悪化しています。」

クー「これをうまく宣伝すれば大義も得られると考えますが。」


?「あたしはそういうの苦手だ。できるならやってくれ。」


クー「必要な人手と予算は出してくださいね。」

レイン「革命を成功させる力と大義名分が揃うなんて、まるで運命の女神が微笑んでるみたいよねぇ。」


天使様の保証がほしいな・・それはわがままか。


・・

・・・・


ミークルーガーH「行くぜみんな!」

ミークルーガーE「フォーメーションZだ!」

ミークルーガーN「・・もう倒しましたけど?」

ミークルーガーT「やれやれ、人間はもろくて困る。」

ミークルーガーA「歯ごたえある敵いないかなー。」

ミークルーガーI「おいそれフラグ!」


外国の軍を退けた。


?「一時、外国に攻め込んで荒らしまわったという話は聞いていたが・・うわさ以上だ!」

レイン「瑪瑙がいれば外国なんて敵じゃないわ。」

クー「正直、オーバースペックですけどね。こんな強大な力、誰もが持て余しますよ。」


・・オーバースペック・・か。

もしかして、この力を俺がどう使うか・・天使様は試練を与えているんじゃないだろうか。


ミークルーガーI「ははは、ないない。」

ミークルーガーI「天使は神のためにしか動かない。」


ん?じゃあ今まで俺のために色々やってくれていたけど・・神様のためってこと?

でも俺、別に忠実な信者ってわけでもないし、神様が喜ぶようなこともしてない・・


ミークルーガーI「そう。」

ミークルーガーI「私の危険度も天使が出るほどじゃない。」

ミークルーガーI「なにかおかしい。」


いやミークルーガーさん超危険だと思うんですが・・


ミークルーガーI「天使が危険視するのは、最低でもドラゴンより強い相手。」

ミークルーガーI「”プチ”を手放した私は天使の管轄外になるはずだった。」


プチ?


雫「ずいぶん派手にやっておるの。」

エティー「破壊もよろしいですが、戦力差があるなら復興のことも考えて戦ってはいかがですか?」


雫さん?エティーさん?


レイン「回れ右して帰っていいわ。」

クー「王国民は去れ。」


俺たちも王国民でしょ!


?「知り合いか?・・いや、お前は王国の王女か。」

雫「お会いするのは2回目だな。雫だ、独立地域の王女様。」


え?王女様?


?「そんな名前だったっけ・・?」


いい加減母親の名前を使うのはやめた方が・・色々弊害あるような。


雫「王国も対外国戦に参戦する。」

?「思惑が読めない。お前たちは何を考えている。」


雫「瑪瑙は・・5年前にクーデターで殺された王の息子だ。」

?「な!?」


みんなが一斉に俺を見た。

・・いや、冗談ですよね?


雫「父上が自白した。19年前、生贄のために連れて来た瑪瑙は、外国の王からさらって来たと。」

雫「当時の外国の協力者が、現在の外国の王・・瑪瑙が真実を知る前にこちらからバラして敵対を防ぐってとこだ。」


なるほどー。


?「な、何をぬけぬけと!お前たち王国もあの人の仇ではないか!!!」


雫「ミークルーガー対策で他に適性のある者がいなかったそうだ。」

雫「ミークルーガーの強さは知っておろう。そのための犠牲を悪と言うのなら仕方ない。」


レイン「王国はゴミカスね。」

クー「ですが、見方によってはクーデターから守られたとも考えられます。」


?「お前が・・あの人の息子だと・・?」


あれ?あの人ってクーデターで殺された王様のこと?

でもそれ片想いしていた相手のことで・・・・


クー「似てて当然、ということですね。」

レイン「あなたオジサン趣味だったの?」


?「あの人が特別なだけだ。」

?「自分勝手なやつだらけの中で、あの人はまっすぐ人の未来を考えていた。」

?「時代に流されず人のあるべき道を常に模索していた。」


?「それに、あの人は天使にも認められていたのだ!」


天使・・?

あ、あの、詳しく聞かせてもらってもいいですか!?


?「あの人は天使から”なにか”を預かっていた。」

?「時が来たら必要になるから・・と。」


時が来たら・・・・でもまだその時は来ていない。

天使様の計画は、250年前から・・もしかして、まだ・・終わっていない?


雫「そんなわけで、またしばらく世話になるぞ。」


?「お前たちもあの人の仇だ!外国の次はお前らも滅ぼしてやる。」


エティー「瑪瑙お嬢様。ミークルーガーの欠点は、多方面に展開できないことです。」

エティー「王国と外国の両方を敵に回しても、瑪瑙お嬢様ひとりが生き残るだけに終わります。」

エティー「ミークルーガーの力をもってしても、待っているのは破壊と混沌の日々。」


エティー「外国とはいえ王家の血を引く瑪瑙お嬢様なら、いがみ合うことが最適解ではないことはわかるでしょう。」


うーん、まぁ確かに。


ミークルーガーI「(6体バラバラに展開することならできるけど・・空気を読んで何も言わない!)」


エティー「イスス様、真実を知ったのならやるべきことは外国を正しい姿に戻すことでしょう。」

エティー「他国など敵になったり味方になったりするのはよくあることです。」

エティー「それよりも、今の王を降ろし瑪瑙お嬢様を王座につけることが最優先ではありませんか?」


イスス「・・」


え?俺が王に?

そういうのって、帝王学とかいっぱい勉強した人がやるものでは?

あと名前初めて知った。


イスス「優秀な者がやるのなら、より優秀な者が常に王位を狙うことになる。」

イスス「しかし代表者がころころ変わるなど政情不安のタネだ。」

イスス「優秀な者は側近になり、特別な者が王になることで安定するのだ。」


クー「御輿は軽い方がいい。」

レイン「瑪瑙が王になったら私が裏ボスやってあげる。」


不穏な未来しか感じられない。


イスス「ところで・・・・瑪瑙・・お嬢様?」

イスス「女の子?」


男です!

なんでお嬢様なんだろう。


・・

・・・・


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