32柚月さんの話~答え合わせ2~
王様はパーティの進行があるので、それ以外の人で会いに行った。
俺たちが病室へ行くと、エティーさんが先に来ていた。
・・そっか、友人なんだっけ。
雫「まだ痛むか?」
柚月「いえ、だいぶ良くなりました。」
雫「それは良かった・・聞きたいのだが、お主はなぜあんなことをしたのじゃ?」
柚月「・・私は、何も知らずに生きて来ました。」
柚月「生まれは王国の外れにある離れ小島です。母は私を産んですぐに亡くなりました。」
柚月「都会のような発展はありませんでしたが、穏やかな世界。」
柚月「そこで私は突然巫女の力に目覚めたのです。」
柚月「いえ、今まで気付かなかっただけかもしれません。」
柚月「自分のルーツを知るために、母の遺品を調べました。」
柚月「そこで見つけた母の日記・・そこには、19年前のことが書かれてありました。」
柚月「赤子の左目をくり抜き封印石を入れミークルーガーを封印する。」
柚月「そして封印したミークルーガーごと赤子を殺す。」
柚月「巫女の一族だった母は、その計画に反対して流刑になりました。」
反対しただけで流刑?
柚月「巫女の一族は、あらゆる犠牲を払ってでも王国を守らなければなりません。」
柚月「母はそれを理解していましたし、流刑で済んだのは温情だったと日記には書かれていました。」
流刑で温情なんだ・・重い責任を背負ってるんだなぁ・・
柚月「私は別に巫女の力を隠したりはしていませんでした。」
柚月「そんな私に、ミレソウ教の信者が声をかけて来たのです。」
柚月「王は禁忌を犯し巫女と一緒になったと・・」
雫「わらわの両親のことか・・」
柚月「はい。私はそれがどうしても許せませんでした。」
柚月「母は罰せられたのに、王なら許されるのですか!?」
柚月「・・ミレソウ教の信者は、私を教祖に引き合わせ、復讐するなら協力してくれると言ってくれました。」
クー「利用されるだけでしょう。」
柚月「はい。ですが、誰が王を糾弾してくれますか?母だけ罰せられたのを、誰が救ってくれますか?」
柚月「協力してくれるなら、誰でも構わない!!」
柚月さんの言葉から、強い怒りが感じられた。
柚月「私は離島を出て、王都へ行きました。」
柚月「そこで王妃様の下で働くようになったのです。」
雫「王国では流刑者の親類縁者は自由に本土と行き来できぬはずじゃが・・」
雫「それに、見知らぬ者を王族の近くへは置かぬはず。」
柚月「私は何もしていませんので、ミレソウ教が手配したのかと・・」
雫「本土への手続きならともかく、母上のところへ潜り込ませられるのは異常じゃな。」
ミレソウ教ってすごい権力持ってる?
雫「よもや母上へ危害を加えるつもりだったのではないだろうな。」
柚月「・・迷っていました。」
柚月「王妃様は、母の親友だったのです。」
柚月「母が流刑になった時も、最後まで反対してくれていたと日記には書かれていました。」
柚月「・・それなのに・・王のプロポーズを受けるなんて・・」
柚月「王族と巫女の一族が一緒になるのも禁忌なのに!」
柚月「どうして母だけ罪に服さなければならないのですか!?」
雫「それで、母上に何かしたのか?」
柚月「・・できませんでした。」
柚月「王妃様は、王妃になる前のことをたくさん話してくれました。」
柚月「母との思い出も・・王妃様は、今でも母のことを大切な親友だと思っているのがわかりました。」
柚月「・・何もできませんでした。」
柚月「憎い気持ちはあります。でも、それ以上に・・母にとっても大切な人だったから・・」
柚月「ミレソウ教ですが、王国に革命を起こそうと地方で反乱の準備を進めていました。」
柚月「・・その計画を、レイン様とクー様が壊しました。」
レイン「身に覚えないけど?」
クー「もしや、私たちが先に反乱したからですか?」
柚月「はい。ミレソウ教の協力者が殆どそちらへ参加してしまったのです。」
柚月「レイン様とクー様の反乱軍が独立に成功したことから、続けとばかりにあちこちで反乱・謀反が起こりました。」
柚月「・・ミレソウ教の計画は全部おじゃんです。」
柚月「その後は乗っ取りに計画を変えていったそうですが。」
たまに反乱軍でミレソウ教の話が出たのはそういうことか・・
柚月「雫様がミークルーガーの封印石を探す任務についたことで、私は配置換えすることになりました。」
柚月「雫様との連絡役を、王が欲したからです。」
・・ん?
柚月「ミレソウ教は何一つ計画がうまくいかないことで迷走していました。」
柚月「瑪瑙様の組織を操って気に入らない相手を攻めさせたり。」
柚月「この頃には私もミレソウ教を信じられなくなっていました。」
柚月「王国の資料から、ミレソウ教が信者にひどい仕打ちをしていたり、私刑をしていたことがわかったからです。」
柚月「・・みんな悪人。誰も信じられないと思うようになっていました。」
柚月「ただその後、瑪瑙様が19年前の赤子でミークルーガーを使役できるようになったと聞いて期待しました。」
柚月「王国を、すべてを・・破壊してくれるんじゃないかって。」
柚月「人間は・・汚い生き物だから滅ぼした方がいい。」
柚月「なのに!!!」
柚月「なんで復讐しないんですか!」
あ・・すみません。
柚月「すみませんじゃないですよ。復讐してください復讐!」
柚月「瑪瑙様も期待外れでしたので、自分の力ですべてを破壊することにしました。」
柚月「あとはみなさん御存じだと思います。」
柚月「瑪瑙様の組織と王国を争わせ、封印石のある隠し宝物庫へ入る機会を作ったり。」
柚月「封印石でミークルーガーを封印したり。」
柚月「・・制御できないミークルーガーを、ミレソウ教の教祖へ渡したり。」
あれ、わざとだったんだ。
柚月「ですが・・意味なかったようですね。」
柚月「エティーから聞きました。ミークルーガーは、再び瑪瑙様の左目に戻ったと。」
うん。
柚月「250年前に現れた悪魔の女。それがまた19年前に現れて・・瑪瑙様に力を・・ミークルーガーを与える計画を立てた・・」
柚月「どうして私じゃないんですか!?私ならもっと・・その力を存分に振るえます!」
柚月「こんな・・こんな王国からひどい目に遭わされてものほほんとしている人になんで!!!」
すみません・・としか言いようがない。
あれ?柚月さんはなんでその女の人のこと知ってるの?
エティー「19年前の工匠の計画は、私が話してしまいました。」
あ、うんそっちはいいんだ。俺たちはみんな知ってる。
でも250年前の話は焚書になるくらい秘密じゃなかった?
?「・・すみません、私が話しました。他にも色々と。」
初めて見る女性が病室に入って来た。
雫「母上!」
というと・・王妃様?
綺麗な人だ。
王妃「ごめんなさい柚月。あなたがそこまで思い詰めていたなんて。」
王妃「・・最初から知っていたの。あなたが・・私の一番大切な友達の子供だって。」
柚月「え・・!?」
王妃「あなたが仕官しに来た時にひと目で気付いたわ。」
王妃「あなたは・・お母さんにそっくりだから。」
柚月「なら、私が王妃様の下に配属されたのは・・」
王妃「私がお願いしたの。」
王妃「あなたにお母さんの話をしてあげたくて。」
王妃「あなたが素性を隠しているようだったから、私も聞かないようにしていたのだけど・・」
クー「・・なぜ王のプロポーズを受けたのですか?」
クー「周りの反対を押し切って受けたと聞きましたが。」
王妃「最初は断ったわ。でも、条件を出して来たの。」
王妃「・・親友の流刑を取り消してくれるって。」
柚月「!?」
王妃「それで反対を押し切って結婚を決めた。」
王妃「でも・・間に合わなかった・・その前に親友の訃報が届いたわ。」
王妃「結婚をやめようか迷ったわ。でもあの人は泣いて謝ってくれた。」
王妃「本当は優しい人だとわかったから結婚したの。」
クー「流刑自体は取り消されたのですね。」
クー「それで柚月さんは問題なく本土へ来れた。」
ミレソウ教何もしてないやんけ!
柚月「王妃様・・ごめんなさい。ごめんなさい私・・私・・」
王妃「悪い大人に色々吹き込まれちゃったのね。」
王妃「いいの。本当は優しい子だってわかってるわ。」
王妃「だって・・あなたはお母さんにそっくりだから。」
王妃「私も謝らなくちゃいけないわ。あなたのお母さんが流刑になったのは、私のせいなの・・」
柚月「え・・」
王妃「赤子に封印したミークルーガーを殺すには、赤子と共に殺さないといけない。」
王妃「だけどその際、巫女もひとり犠牲にしないといけないの。」
王妃「・・19年前、巫女は私しかいなかった・・」
柚月「なら母は、王妃様を犠牲にしたくなくて・・」
王妃「あなたのお母さんは言わなかったけど、きっとそう。」
俺(赤ん坊)がかわいそうだったから・・ではないですね、すみません。
王妃「さて、今までのことがまとめられた資料を見させてもらいました。」
王妃「・・エティー。あなた、柚月に協力していたわね。」
エティー「あ・・」
王妃「あなたが瑪瑙さんのところへ潜り込む必要はなかったはずよ。」
王妃「柚月のこと、知ってたんでしょ?」
エティー「・・・・はい、申し訳ございません。」
俺もさっき気付いたけど・・たぶんそれだけじゃないと思う。
俺たちと一緒にいたエティーさんは、王国とは敵対しないよう勧めていた。
柚月さんに協力するかたわら、止めようとしてたんじゃないかな・・
王妃「罰としてトイレ掃除3日間ね。あ、柚月も。」
クー「もしかしたら取り返しのつかない大被害になっていたかもしれないのですが。」
クー「処分が甘すぎませんか?」
王妃「そう、取り返しのつかないことになっていたかもしれない。」
王妃「でも食い止められたわ。みなさんのおかげ、ありがとうございます。」
王妃様は深々と頭を下げた。
王妃様なんというか・・・・大人の女性って感じだ。
王様がルール破ってでも手に入れたくなるのわかる。
わかる。
王妃「そして瑪瑙さん。」
は、はい!?
王妃「そう緊張しないで。あなたにはたくさんひどいことをしてしまいましたね。」
王妃「19年前のことも、あなたの育った村のことも。」
あ、いえ、その、なんというか、えーと。
うまく喋れない。
王妃「お詫びといってはなんですが・・こんなおばさんの身体でよければ好きにしていいですよ♪」
ふぁ!?
エティー「王妃様!?」
クー「これはもう一度反乱ですね。」
雫「・・親のこんな姿見たくないのう・・」
ズドドドドドドドドドド
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
バンッ!
領主「ぜー、ぜー、はー、はー・・・・え、エロの匂いが・・しなかったか?」
まぁ一応・・こちらの方が・・
領主「おお!なんと美しい御婦人!でかした瑪瑙!」
何をでかしたのかはわかりませんが、ありがとうございます。
領主「ふふふ、奥さんオレと危険な遊びをしないか?(キラーン)」
領主様は島流しされた。
雫「それで、母上は用事が済んだから戻られたのじゃな。」
王妃「それがまだなの。うわさの瑪瑙さんなら見つけられると思って。」
見つけられる?
王妃「ミークルーガーの封印石もあなたが見つけてくれたのよね?」
ヒントもらったからですが・・落とし物かなにかですか?
王妃「落としたわけじゃないけど・・スネークドラゴンの封印石。」
・・
・・・・