03超神さんの助け舟
レイン、クーさん無事!?
レイン「おかげ様で。すごいの連れて来たわね。」
クー「ゴーレムなんて隠し玉があるなら最初から使ってください。」
ああいや、借り物なんだよ。
俺は事情を説明した。
・・というわけで、これから返さないといけないんだ。
レイン「・・それ、返す必要あるのかしら?」
え?
クー「その力があればなんだってできます。賊退治だろうと、魔物退治だろうと。」
でも、借りたものだし・・
レイン「真面目に生きて来た結果、村は滅び知り合いの殆どが殺された。」
レイン「これ以上真面目に生きてどうするというの?」
クー「力があれば何でもできます。私たちを救わない役人連中を懲らしめることだって。」
・・・・それでも、俺は約束を破れないよ。
悪魔王さんのおかげで山賊を追い出せたんだ。その悪魔王さんを裏切るなんて。
クー「・・わかりました。でも返す前に、私にもゴーレムをどうやって使ったか教えてもらえませんか?」
使い方なんて特に。
この魔法板を持って、ゴーレム召喚とか言えば出てくるよ。
レイン「試してみていい?」
どうぞ。
レインは魔法板を受け取ると・・走り出した。
え?
レイン「ごめんね、これは私たちが有効に使わせてもらうわ!」
クー「どんな価値ある物も、使う人次第です。」
え?え?
え!?
慌てて追いかけたが、見失ってしまった。
ど・・どうしよう!
・・
・・・・
村の・・女神像のところまで戻って来た。
結局レインもクーさんも見つからなかった。
悪魔王「戻って来たわね。ゴーレムは役に立った?」
女神像から声が聞こえた。
・・えーと、その、は、はい・・山賊を軽く蹴散らしてくれました・・
悪魔王「それは何より。世の中は正しくあるべき。」
悪魔王「私の力が役に立って当然。正しいことよ。」
は、はい。素晴らしい力です。
で、そ、その・・
悪魔王「そうね。ゴーレムを返してもらうのと、あなたの残り寿命の9割が私のものになるのね。」
寿命は、その、いくらでも差し上げます。
あの、ご、ゴーレムなんですが・・
悪魔王「手放したくないとか?当然よね、私の正しい力は何より魅力的。」
悪魔王「超神みたいなザッコとは違うわ。」
は、はい。悪魔王さんの力は何より魅力的ですー。
で、その、そのこと、なんですが・・
?「ガー、ピー。」
?「テステス、ただいまマイクのテスト中。」
声が・・変わった?
?「こほん。また私の悪口言ったでしょ!悪魔王!」
え?誰?
超神「私は超神。」
神様・・?
超神「違うわ。神ではなく、超神という唯一無二の存在。」
超神「あなたは人間ね・・ふむふむ、悪魔王から寿命の9割と引き換えにゴーレムを借りたけど、ゴーレムを幼馴染に奪われた、と。」
何も言ってないのに!こ、これが超神さんの力・・?
超神「人間を困らせるなんて、悪魔王はひどいやつよね。」
でも、借りたものを返せない俺が悪いんだと思います。
超神「ゴーレムは、人が持つには過ぎた力よ。誰もがみんな欲しがるわ。」
超神「それをセキュリティなしで持たせた悪魔王が悪いのよ。あなたは悪くない。」
超神さん優しい。でもそれを悪魔王さんに言ってわかってもらえるだろうか・・?
超神「難しいかもね。悪魔王は性格最悪だから。」
超神「私が何とかしてあげましょうか?」
助かります!
超神「それに寿命の9割とか強欲よね・・そうね、じゃあ残りの寿命の半分を私のものにするのなら、そっちも解決してあげるわ。」
寿命の半分でいいんですか!?すっごく嬉しいです!
超神「あと今のあなたは無防備すぎるわ。これを貸してあげる。」
女神像の目の前に魔法板が現れ、ゆっくりと落ちて来た。
これは・・
超神「キメラ兵を呼び出せるわ。」
超神「ゴーレムとか足遅くてイライラするでしょ?キメラはさくさく移動できてストレスフリーよ。」
こ、ここまでしていただけるなんて・・なんてお礼を言ったらいいのか・・
超神「私は悪魔王より格上だからね。これくらい当たり前よ。」
超神「あなたが生きている間はずっと貸しててあげるわ。悪魔王みたいなゴミくずと違ってすぐ返せだなんて言ったりしない。」
辛いときに助けてもらえることが、こんなにも嬉しいことだったなんて。
涙が出て来た。
超神「忘れないで。信じるべきは悪魔王ではなく、この私、超神だと。」
超神さんとの交信が終わった。
・・ああ、救われた気分だ。
とはいえ、現実から目をそむけたくなる状況なのは変わらないけど。
・・・・これからどうしよう。
・・
・・・・