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20雫さんの計画


兵士「大変です!王国軍が我らの本拠に攻め込みました!」

兵士「その数・・こちらの10倍はいます!」

た、大変だ!

いくら雫さんとエティーさんでも、10倍の兵力差じゃ戦いようがない!


城攻めは攻める方が不利で、大体3倍の兵力が必要だと聞く。

それが10倍!?王国は何を考えてるんだ!?いや王国からすれば普通か。


クー「(思ったより多いですね・・これでは戦いを避ける口実にされてしまいます)」

クー「(兵を分散して他の領地も同時侵攻すると予想していましたが・・)」


すぐ戻ろう!


クー「ええ、すぐ引き上げの準備を始めます・・仲間の危機ですからね。」

はい!


・・失敗した。王国はずっと力を温存していたんだ。

もっと本拠に兵を残していれば・・


兵士「外国が攻めて来ました!」

ミークルーガーで追い返した。


・・もしかして、停戦の使者がいきなり強気になったのは・・これを知っていた?

だとすると、王国と外国が手を組んだ!?


ミミット「それは・・大変なことになりませんか?」

クー「いえ、今回の遠征はミークルーガーを前面に出したおかげでこちらの被害はほぼありません。」

クー「兵たちはお金もらって遠足へ来ているようなものです。」


なんか楽しそう!


クー「一方外国は多大な被害が出ています。」


クー「なので、外国は既存戦力で守り、王国はミークルーガーやゴーレムたちで攻めれば問題ありません。」

クー「二正面作戦するだけの体力は十分あります。」


マーユ「なら気になるのは雫様とエティー様の安否だけですね。」

うん。


・・

・・・・


急いで本拠へ戻る。

遠征とはこうまでままならないものなのか・・


兵士「報告します!雫様、エティー様、籠城!」

兵士「王国軍と交戦しています!」


えええ、逃げてもいいんだよ!?

・・みんなと一緒に戻っていたら遅すぎる!


レイン、クーさん、ミミットさん、マーユさん、引き上げるのは任せていい?

俺は一足先に本拠へ戻るよ。


ミミット「ミークルーガーがいれば大丈夫だとは思いますが、お気をつけて。」

マーユ「斥候や特殊部隊が暗躍しているかもしれません、戦場近くでは変装した人にも注意してください。」


ありがとう。行ってくる!


馬に・・・・ミークルーガーに乗って移動することにした。

あれ?このやり方なら俺ひとりで遠征できない?


・・

・・・・


おおう・・王国の大軍が小さな砦を囲んでいる。


初めてみる光景。

今までの戦いが児戯のようにも思える大軍・・外国よりやばい。

体が宙に浮くような、そんな恐怖を抱く。


・・超神さんが言っていた。必要な力は十分与えたと。

お墨付きがあるんだ。臆せず進もう!


ミークルーガー、それにゴーレム・キメラ・空間兵・ノーライフ・ノーマル。

全員で王国軍の背後から攻める!!


・・

・・・・


いつも正面から戦っていたからわからなかった。

背後からの攻撃がこんなにも強いだなんて。


兵士は訓練されているからこそ、勝手な戦いをしない。

指揮官の指示がなければ陣の変更・背後からの奇襲に対応できない。

訓練していない陣も使えない。


兵は、限られた条件下でのみ強さを発揮する。


もしかして、ミークルーガーやゴーレムたちも訓練したら強くなる?

特に6体いるミークルーガーは連携もしやすいのでは?


色々考えながら戦っていたら、いつの間にか王国軍がバラバラに逃げ出していた。

雫さんやエティーさんは無事だろうか・・


砦の上にふたりがいるのを見つけて俺は安堵した。


・・

・・・・


雫さん!大丈夫ですか?


雫「ああ。代わりに砦がボロボロじゃ。」

雫「地面を掘って地下から侵入されそうにもなったのでな、地盤も不安定になっておる。」


人が無事ならまぁ・・

エティーさんは?砦の外からいるのは確認しましたが・・もしや怪我とか・・


雫「体は問題ない。だが、心の方が・・」

心?


雫「王国に戻ってくるよう攻めてくる前に使者が来た。」

雫「断れば家族の無事は保障できない・・と。」


そんな!


雫「わらわは王族じゃ。その家族も同様・・危害を加えられることはない。」

雫「しかしエティーは違う。もう家族とは会えぬかも・・」


俺は自分の家族を思い出した。

山賊が村を襲い、みんな殺された。

あの時はすべてがどうでもよくなった。この世の無常を嘆いた。


力を手にしても、俺は何もできないのか!?


よーし、じゃあ今すぐ王国を滅ぼしてくるよ!!!


雫「待て待て。できればあまり王国を刺激しないでほしい。」

雫「王国の知人を通してエティーの家族を救おうと思っておる。」


そうですか・・俺にできることはありますか?


雫「エティーには優しくしてやってくれ。」

雫「強い子だが、我慢しすぎてしまうのだ。」


わかりました!

ええと・・・・優しくってどうすればいいんだろう?


・・

・・・・


王国が攻めてくる少し前。


?「巴様・・エティー・・」


エティー「柚月か。」

雫「来たようじゃな。」


柚月「さすが・・わかっておられましたか。では私がここへ来た理由も・・」


雫「ミークルーガーに勝つ機会は今しかないからな。」

雫「戦続きでいつもギリギリなわらわたちと、力を蓄え続けた王国。」

雫「この差が最大になるのが今。外国まで平らげれば力をつけ差は縮まっていく。」


柚月「はい。王は討伐の勅命を出されました。」

雫「それは本当に父上が出したものか?」

柚月「・・」


エティー「どういうことですか?」


雫「わらわを王国へ戻す前に勅命を出すはずがない。」

雫「お主たち・・いや、誰も知らぬ父上の秘密・・他言すれば命はないぞ。」


エティー「は、はい。」

柚月「肝に銘じます。」


雫「実は・・普段は厳格な父上は・・」

雫「わらわとふたりだけの時は赤ちゃん言葉で話すのだ!」


エティー「・・」

柚月「・・」


雫「性格も甘えん坊になり、わらわがミークルーガーの封印石捜しへ出かける直前まで、泣きながら行っちゃやだと駄々をこねていたほどだ。」


エティー「・・」

柚月「・・」


雫「本当のことだ。嘘だと思うなら他言してみるがよい。」

雫「墓の下で真実だと理解するであろう。」


エティー「し、信じていないわけでは・・ただ意外だと思っただけで・・」

エティー「あの凛々しい王が・・」


柚月「もしや・・」

雫「どうした?」


柚月「・・反乱や謀反が相次ぎ、王都が狙われる可能性があることから、王妃様は王都から離れた場所に避難しています。」

柚月「それで私は一時任を解かれ、今は大臣の連絡役をしています。」


柚月「王の命を大臣が聞き、大臣が私に指示する形です。」

柚月「ですが、一度王にお会いすることがありました。」


柚月「その時・・おかしなことを言われたのです。」


―――――

王「お主がよく巴のところへ行っていると聞いた。」

柚月「は、はい。」


王「また巴からの手紙があれば頼むぞ。」

柚月「・・?」


大臣「王様、急ぎませんと先方を待たせてしまいます。」

―――――


柚月「私が巴様の手紙を受け取ったことはありません。」

柚月「その時は他の誰かの話かと、そこまで気にしませんでしたが・・」


雫「わらわも書いておらぬ。その手紙というのはもしや・・」

エティー「・・大臣の偽造?」


柚月「あくまでも可能性ですが、大臣は王の巴様への気持ちを利用して、王を操っているのでは・・」


雫「・・意外だ。愚直な男だと思っておったが、大胆なことをする。」

エティー「私も、大臣は野心家というよりただのワーカーホリックだと思っていました。」


柚月「反乱が相次いだため、手に入るなら・・と、権力欲に火がついたのかもしれません。」


雫「だとすれば王家にも責任はある。」

雫「手の届く場所に大金があれば盗む者もおる。」

雫「同じことだ。権力も手の届く場所になければ、大抵の者は野心を抱かぬ。」


エティー「そんな!大臣ともあれば、自身の欲は制御してしかるべきです。」

エティー「志は立派ですが、悪の正当化は新たな悪を生み出します。」


雫「・・そうじゃな。現実的に対応しよう。」


雫「柚月よ、このままでは王国は滅びる。」

雫「たとえ王国がすべての領地を支配しようが、ミークルーガーがいる限り王国に勝ち目はない。」


柚月「・・そこまでの相手ですか・・」


雫「だがひとつだけ欠点がある。使役している瑪瑙は情に弱く、他人の言葉を疑わぬ。」

雫「王国の存亡は、瑪瑙の心を籠絡できるかにかかっておる。」


柚月「ごくっ・・」


雫「王国はそのままこの地を攻めよ。」


柚月「なぜですか!?ここをとってもミークルーガーには勝てないと・・」

雫「とらせはせん。エティーと守り切る。」


雫「柚月よ、お主にはエティーの家族を捕らえてもらいたい。」

柚月「そんな!エティーは私の親友です。その両親を捕らえるなど・・」


雫「捕らえるだけじゃ・・必ず瑪瑙はエティーに同情する。」

雫「瑪瑙はエティーの言葉を断りにくくなる。」

雫「その気持ちを利用して瑪瑙を籠絡するのじゃ。」


エティー「籠絡・・具体的にはどうすればよいでしょうか?」


雫「男女の関係になるのが理想じゃ。」

エティー「えええ!?そそそそんな私は!その・・」


雫「嫌ならわらわが一肌脱ごう(物理)」

雫「なに、王国に帰れなくなったわらわにも多少は同情するだろうからな。」


エティー「雫様にそんなことさせられません!私がやります!」

エティー「(・・したくはないが・・もっと・・こういうのはロマンティックに・・)」


柚月「雫様・・?」

雫「ここでは雫と名乗っておる。」


柚月「・・王妃様の名前ですよね?」


雫「実は・・巴より雫の方がかっこいいと思うのだ!ずっといいなぁと思っておった!」


柚月「あ、はい。」


・・

・・・・


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