19外国侵攻
外国へ遠征する日が来た。
では行ってきます。
雫さん、エティーさん、留守をよろしくお願いします。
雫「任せておくがよい。しばらく会えぬが病気などせぬようにな。」
雫「忙しかったり、他人のことを気にしていると、自分のことが疎かになるものじゃ。」
はい・・大きなプロジェクトで離れるのは初めてですね。
雫「わらわがここへ来てからいつも一緒じゃったからのう。」
雫さんがいないと不安です。
雫「みんな不安じゃ。未来はそれを乗り越えた先にある。」
雫「一緒がいいなら、帰ったらこの間の続きをするか?」
是非!・・と言いたいが、俺は自分の欲も制御してみせる。
きっぱり断るんだ!
・・・・まぁその辺は、平和になってからということで。
すぐ理想の自分になれるわけじゃないよね。
時間かけて自分の支配者になろう。
エティー「この間の続き?」
エティーさんもお元気で!
エティー「この間の続き?」
行ってきます!
エティー「この間の続き?」
なんでもないですー!
雫「あの時の瑪瑙は実にかわいかったぞ。」
エティー「ふぁ!?」
ふぁ!?
・・
・・・・
クー「瑪瑙は、レインと雫さんを見る目が違いますよね。」
え!?
クー「レインはわかります。幼馴染で特別でしょう。」
クー「ですが雫さんはどうしてですか?」
どうしてと言われても・・
・・俺は最初、行き倒れているところを領主様に拾われたんだ。
そのまま領主の仕事を手伝うことになって・・
仕事は溜まってて、屋敷はゴミだらけで、でも人は全然いなくて・・
大変だった。
その頃は雑用みたいな仕事だけして、屋敷も掃除して。
魔物退治もしたかったけど、兵を雇うと王国から謀反を疑われるからとできなかったんだよね。
クー「それ嘘ですよ。」
え?
クー「いえ、続けてください。」
突然領主様が王国から独立するって言いだして。
やっと兵を雇えるようになったんだ。
その頃かな・・雫さんが来てくれたのは。
近衛兵を私兵として持っててすごーいって思ったんだよね。
クー「その時点で何かおかしいと思ってください。」
なんですんなり雇ったんだっけ?忘れた。
軍人として雇ったんだけど、なんでもできる人で頼りになって・・
ここまで大きな組織になったのは雫さんの力が大きいよ。
なんと言っても、小さく無名で先の見えない状況の中きてくれたのは感謝しかない。
れ、黎明期を支えてくれた功労者に気を遣っている・・のかな?
クー「それならいいのですが。」
何ならだめなの?
クー「・・王家の肩書に惹かれるのはダメです。」
クー「あわよくば雫さんと一緒になって王族に・・なんて考えていませんか?」
今ある問題が片付くまで恋愛をする気はないよ。
クー「・・」
いや実はマーユさんとかからアプローチされて考えたんだ。
俺も幸せになりたい!すっごくイチャイチャしたいって。
でも領民を幸せにしたいって気持ちも嘘じゃない。
どっちも俺の本心なんだ。
なら自分を幸せにするし領民も幸せにもする。
でもとりあえず領民優先だよね。
欲に身を任せることがないよう恋愛はしばらく封印。
クー「そうですか。」
あれ?なんか不満そう・・?
・・
・・・・
本拠。
エティー「雫様は、なぜここを選んだのでしょうか?」
エティー「いくら地方が腐敗していても、謀反した土地よりやりやすいと思いますが。」
雫「謀反を起こす領主というのは、どんな悪人なのかと顔を見たくてな。」
雫「ちょうど近くに謀反したばかりの土地があったので様子を見に行ったのじゃ。」
雫「だが・・瑪瑙の民を想う気持ちは本物であった。」
雫「そしてキメラや空間兵という特殊な兵の所持。」
雫「ついでに領主の着服や村中の女の子に手を出そうとした悪行の数々。」
雫「これが謀反か!とまぁ楽しそうだと思ったのじゃ。」
エティー「・・・・かなり特殊な例だと思われます。」
雫「むぅ・・わらわも薄々そんな気もしたのじゃがな。比較対象がなく判断がつかなかった。」
エティー「領主の悪行は放置してよいのですか?」
雫「どこにでも悪人はおる。」
雫「そやつらが便宜を図ってもらおうとしたら、瑪瑙のところへ行くか?」
エティー「・・領主のところへ行きますね。」
雫「悪人ホイホイじゃ。後で罰を与える一覧が楽に作れる。」
雫「やり方を間違えれば、悪人共は出ていきあちこちに散らばってしまう。」
雫「悪人も使い道次第じゃ・・とはいえ、いつまでも放っておくわけにもいかぬが。」
エティー「そうでしたか。」
雫「まぁそれも、この難関を突破してからになるがのう。」
エティー「と、言いますと?」
雫「瑪瑙がミークルーガーを手に入れたのは王国も知っておる。」
雫「今頃は焦っておるじゃろう。時間が経つほど不利になるのは理解するはずじゃ。」
エティー「はい、放っておけば外国も下し王国をしのぐ勢力になるのは間違いないです。」
雫「・・その前に何とかしなければならないと王国は考える。」
雫「手段はひとつ。外国と組み瑪瑙が遠征中にこの本拠を奪う。」
エティー「王国が攻めてくると?」
雫「十中八九間違いない。王国内の領地を奪い返し、外国と挟撃するしか機会はない。」
雫「とりあえずはわらわたちに無血開城を要求してくるかのう。」
雫「クー殿はそれを狙っておる。」
雫「瑪瑙の周りから王国派を一掃するつもりなのであろう。」
エティー「・・」
雫「物資をギリギリまで持って行ったのは、王国に奪われる物資を減らすため。」
雫「これまで王国の指示に従って来たわらわたちは、王国と戦えば王都へは帰れなくなる・・帰る場所を失う。」
雫「特にエティー、お主は家族が王都におるであろう。逆らうことはできぬ。」
雫「王国の無血開城に従ったり、戦わず逃げ出せば、瑪瑙の信頼を失う。」
エティー「クー殿は全部わかってて・・雫様も、なぜそこまでわかって留守を引き受けたのですか?」
雫「クー殿の計画は甘い。こんなのは王都ではよくあること。」
雫「好都合じゃ・・利用させてもらう。」
・・
・・・・
ミークルーガーさんよろしくお願いします。
外国との国境。
両軍のにらみ合いは、6体の化け物が終わらせた。
・・敵兵がかわいそうに思ってしまった。
クー「さすがです。このまま外国の王都を目指しましょう。」
おー。
ミミット「外国も一部の権力者が民を苦しめているようですね。」
ミミット「住む場所もなく路上生活をしている方がいました。」
ミミット「施しをしてきていいですか?」
いいと思うけど。
俺はクーさんを見た。
クー「構いませんよ。」
お墨付きを得たミミットさんは早速人手を集めて施しに出かけた。
どこにでも困窮者っているんだね。
クー「外国は5年前にクーデターが起き、それから貧富の差が広がりました。」
反乱は起きないの?
クー「反乱には武器や防具、食料や衣類、住む場所も必要です。」
クー「特に武具は国軍と比較して十分でなければなりません。」
クー「で、路上生活者が反乱起こしてどうするんですか?賊にしかなりませんよ。」
もしかして・・反乱って難しい?
クー「反乱するのなら、権力者・金持ち・軍隊などをどれだけ協力者に変えられるかが重要になります。」
クー「労働者階級だけで反乱しても何もかも足りずに終わります。」
さすが実際に反乱を成功させただけのことはある。
レイン「ねぇねぇお土産買って来てもいい?」
クー「帰りに・・いえ、期限の長いものがお勧めです。」
いやそこは帰りでいいでしょ!?
・・
・・・・
レイン「ねぇ、外国から停戦の使者が来たわ。」
レイン「奪った領土を返還して帰ってほしいそうよ。」
停戦かぁ・・でも最初に仕掛けたのは外国では?
自分たちは攻めといて、こっちには攻めるのをやめてほしいは変だと思う。
クー「はい。道理に合いません。」
クー「停戦要請は拒否してこのまま進軍です。」
・・
・・・・
敵軍だ。
ミークルーガーさんお願いします!
さてと・・暇だから報告書でも目を通すかな。
ん?これは・・
・・
・・・・
ミミットさん、施しに使う金額が多い気がするんですが。
クーさんが許可出したの?
ミミット「私もそれは気になりました。」
外国全土を狙うなら足りなくなるよね。
ミミット「少し多めに申請したらクー殿は構わないと・・これは私の予想ですが、外国内に拠点を作り物資の補給も行うのかと。」
ミミット「敵地で物資を補給することは、自国から持って行くよりはるかに価値のあることです。」
なるほど、物資の消費量と進軍先から予想すると目指すは・・
ミミット・瑪瑙「外国首都!」
ハモった。こういうのちょっと嬉しいよね。
ミミット「やはりそう考えますか。」
当面の進軍目標なのと、ここをとらずに終わることはないでしょうし、敵地とはいえ要害で防衛しやすい。
ミミット「となると、外国首都をまず奪取。そこから周辺を切り取っていく予定でしょうか。」
たぶんね。その辺もクーさんが考えているかと。
はー、攻める前から色々考えているものなんですね。
俺は行き当たりばったりなので。
ミミット「クー殿はすごいですよね・・いえ、レイン殿も雫殿も・・」
エティーさんもそうだけど、別格ですよねあの人たち。
ミミット「天は二物も三物も同じ人に与えます・・あの方々がゴーレムやキメラを操ると恐ろしいほど強化されますよね。」
ミミット「私ではとても・・」
いやーそこは向き不向きかと。
ミミットさんは歩兵や騎兵を指揮するの上手じゃないですか。
弱い兵を底上げしてくれる感じがして助かります。生存率は大事ですから。
ミミット「弱いなりにがんばっているつもりです。」
ミミット「しかし強敵相手では、やはり私は力足らず。」
ミミット「・・強く、なりたいですね。」
はい。
ミミット「って、瑪瑙殿はミークルーガーを始め強力な魔物を所持しているではありませんか。」
俺の所有物というわけではないので。
みんな後天的なもので、俺の才能と呼べるものはありませんから。
ミミット「お互い、欲しいものはままなりませんね。」
ええ。
わがままかと思いつつも、ミークルーガーやゴーレムたち抜きで評価されたい。
・・
・・・・
レイン「また外国から停戦の使者が来たわ。」
レイン「領土返還して引き上げれば毎年貢物を出すって。」
お金目的でやってるわけじゃないからなぁ・・
クー「その通りです。このまま首都を目指しましょう。」
・・
・・・・
敵軍・・だけど。
ミークルーガーさんを恐れているのかやって来ない。
うん、こっちから行くか。
ミークルーガー召喚!よろしゅう頼みます!
・・
・・・・
レイン「いつもの人が来たわ。」
レイン「従属して選りすぐりの美女100人を献上するから矛を収めてほしいって。」
従属・・え、外国の王家が俺たちの下につくの!?すごくない!?
レイン「断っておくわ。」
クー「次同じ提案をして来たら使者を斬ります。」
そんな悪くない話な気も・・
クー「支配は恨みを買うだけで将来の禍根になります。」
クー「支配された側は追いつけ追いこせと戦う準備をするでしょう。」
クー「両雄並び立たずとは、そういうことです。」
今は良くても、将来争う原因になっちゃうのか・・難しい。
・・
・・・・
・・敵軍が、今までと違って本気で攻めて来た!
外国の首都が近いから?
ミークルーガー召喚。
結果はお察し。
・・
・・・・
レイン「停戦の使者が来たわ。」
今度はどんな条件だろうわくわく。
レイン「強奪した領土を放棄し引き上げるなら停戦に応じてもいいって。」
・・あれ?強気?
クー「(レイン、引き上げる準備を始めてください)」
レイン「(おっけー)」
何が起こったの!?
・・
・・・・