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15対決!ミークルーガー(前編)


再び今後の予定を話し合う。


レイン「どうするか決まった?」

クー「王国は敵です。」

エティー「外国をこのままにしてはおけぬ。」


えーと、まずはみんなごめん。

みんなの期待には応えられない。


考えてみたんだ。

何のために王国から独立してがんばっていたのかって。


ミミット「苦しむ民のため!」


うん。

じゃあ、外国と戦ったり、王国と戦って民のためになるかって考えたんだ。


クー「外国と戦えば疲弊するばかりです。」

クー「こちらの力が弱まれば、王国も攻めてくるでしょう。」

クー「力を温存していた王国と外国に挟まれ敗北します。」


エティー「王国は十分な力を有しています。」

エティー「王国との戦いは激化し、お互い消耗すると思われます。」

エティー「これを喜ぶのは外国であり、民は外国の奴隷にされるでしょう。」


クー「それはエティーさんに都合のいい話でしょう。」

エティー「それはそちらもでしょう。」


クー「私たちは王国領土の3分の1を有しています。」

クー「王国からすれば、”奪われた領土”です。取り戻したいと考えるのが普通でしょう。」


クー「しかし私たちはゴーレムに負けず劣らぬ強兵を有しています。」

クー「ならば王国の考えは・・”弱体化させる”、”隙あらば攻める”となります。」


レイン「私たちを外国と争わせ弱体化させる。弱ったところを攻めるってわけね。」


うんまぁ、クーさんもエティーさんの話も一理あると思うんだ。

どちらも民のためにならない。


そしてそれは俺たちにとっても同じだ。

王国や外国に敗北したら、俺たちは何をやっていたのか?ってなっちゃう。

俺たちが倒していった反乱軍たちと同じじゃないか・・ってね。


こんな時だから、俺たちにしかできないことをやろうと思う。

滅ぼされても、俺たちは堂々と胸を張って民のためにがんばったって言えるような功績を残そう。


レイン「具体的に何をするの?」


ミークルーガーの討伐。


雫「!?」


元々、雫さんはそのためにここへ来てたんだよね。

250年前に現れたミークルーガーは人間社会を無茶苦茶にしていった。

これを討伐することが、民のためになることだと思うんだ。


雫「わらわは助かるが、恐らく犠牲は多大になる。王国にも外国にもより劣勢になってしまうぞ。」


それでも俺は、私欲ではなく、民のためにここにいると言いたい。

えーと、だめかな?


ミミット「まさに私たちにしかできないことです。」

ミミット「私欲のために人間同士で争うことしか能のない王国や外国とは違うところを見せつけてやりましょう!」


エティー「異存はない。」

エティー「・・雫様は王国の命を受けミークルーガーの封印石を捜していた。」

エティー「王国とて、私欲のためだけに動いているわけではないのだ。」


レイン「王国はミークルーガーを退治済みって喧伝してるんでしょ?」

レイン「なら私たちが倒して王国の嘘を暴いてやるのも悪くないわね。」


クー「疲弊するだけでよい案とは思いませんが・・」

クー「雫さんとエティーさんは王国側へ時間稼ぎしてください。外国を攻める準備をしているとか言っておけばいいです。」

クー「私は外国へ和を結ぶフリで時間を稼ぎます。」


クー「ミークルーガーは伝説級の化け物です。全戦力を投入する必要があるでしょう。」

クー「その間に王国や外国から背後をつかれないようにしなければなりません。」


雫「それは構わぬが、ミークルーガーを捜すところから始めるとなると、いつまで時間稼ぎができるかわからぬぞ。」


・・?あ!

ミークルーガーの居場所なら、怪しいところがありますよ。


雫「・・お主は、いつも意外なことを知っておるな。」


超神さん情報ですが。

えーと、封印から出ようとしているミークルーガーは、大きな力を放っています。

その影響は封印石の外・・現実世界へも影響を及ぼしているそうです。


つまり、異常が起きている場所の近くにミークルーガーがいる。


クー「海ですね。」

はい。


雫「心当たりがあるのじゃな。」


俺たちが生まれ育った村近くの海が、ここ数年荒れ続けているんです。

恐らくそこじゃないかと。


レイン「まさかそんな近くに化け物が封印されていたとはね。」

ミミット「灯台下暗しですね。」


エティー「雫様はミークルーガーの捜索が任務でしたよね?退治もされるおつもりですか?」

雫「・・倒せるならその方がよい。王国には・・あまり任せたくない。」

エティー「ミークルーガーの討伐なら、王国も協力するのではありませんか?」


レイン「王国の嘘を暴きたいから、あまり協力はしたくないけど。」

エティー「確実に倒すなら戦力はどれだけあっても十分とは言えない。」

レイン「それはわかるけどね。」


雫「・・19年前、王国と巫女の一族はミークルーガーの討伐を計画していたのだ。」

エティー「そうなのですか?」

雫「倒したことにしていたからな。極秘の計画だったらしい。」


19年前なら、ここにいる人たちは赤ん坊だった頃ですね。

・・生まれてない人もいる?


クー「19年経った現状を見れば、その計画は失敗したことになります。」


雫「失敗してよかったのかもしれぬ。」

雫「ここから先は、王国内でも最高機密になっておる。みだりに話せば王国から咎を受けるぞ。」


レイン「わくわく。」

クー「王国の弱みなら歓迎します。」


エティー「・・話して大丈夫ですか?」

雫「・・・・仲間に隠し事するのは不義理であろう。」


雫「250年前。ミークルーガーはあまりに強く、封印するのが精一杯だったと言われておる。」

雫「だが封印はいずれ解ける・・王家と巫女の一族は、討伐するために恐ろしい計画を作り上げた。」


雫「それが19年前の計画・・」


雫「新たな封印石を作り、それを適合する赤子に植えこむ。」

もうこの時点でヤバ気な感じしかしないんですが。


雫「さらに赤子と封印石には巫女によって呪いがかけられた。」

雫「ミークルーガーを弱体化させる専用の呪い。」


クー「呪いの代償は?」

雫「詳しくはわからぬが、精神に影響を及ぼすそうだ。」


封印石の精神が気になる。石の精神とは一体・・


雫「封印石があれば、ミークルーガーを弱らせるだけで封印することができる。」

雫「そして所定の儀式を用いれば・・赤子ごとミークルーガーを殺せる・・というものだ。」


レイン「犠牲は赤ちゃんひとりってとこね。王国にしてはまともな方。」

雫「・・」

クー「村ごと滅ぼされた私たちからすればその程度・・って感覚です。」


呪いの副作用とか関係なくみんな精神に悪影響が!

原因は王国!


ミミット「赤ん坊ひとりとはいえ犠牲を強いるやり方は賛成できません。」

ミミット「失敗したのなら赤ん坊は無事なのですか?」


雫「・・この計画は、封印石を作った工匠たちにも知らされていなかった。」

雫「だが、真実を知ったひとりの工匠が・・赤子を連れていなくなってしまったのだ。」

雫「ひとつしかない国宝石を用いて作られた封印石は二度と作れず、計画はそこでとん挫した。」


赤ちゃんと連れ去った工匠はどうなったんですか?


雫「工匠は王都近くの高級店で捕まった。」

雫「赤子は国を脅して成り上がりたい者に高値で売ったと証言して死んだ・・が、そのような者は現れなかった。」

雫「赤子は今も見つからぬままじゃ。」


クー「工匠は正義のために赤ちゃんを連れ去ったわけではないのですね。」

ミミット「お金目的・・決して許されない行為です!」

レイン「赤ちゃんが現れないのは不思議ね。ミークルーガー以外も封印できるとか、他の使用方法もあるの?」


雫「いや、ミークルーガー以外の魔物には効かぬものじゃった。他の使い道は・・ないはず。」

雫「だから王国も向こうから接触してくると思っていた。」


しかし現れなかった・・か。

なにか事故でもあったのかな。


雫「それが19年前に起きたこと・・あまり王国は信用できぬ。」


その赤ちゃんが見つかれば、呪いでミークルーガーを弱体化させられますか?

もう呪いは無効?


雫「いや、呪いは残り続ける。弱体化はできるだろうが・・」

なにか気になることでも?


雫「所定の儀式で赤子ごとミークルーガーを殺せるというのは、深いところまで両者がつながることを意味する。」

雫「19年が経過し大人になった者の身にミークルーガーが封印されれば、その影響を受ける。」


呪いで精神に影響を受ける+ミークルーガーによる影響=???


うん、やばそう。


雫「ミークルーガーを封印しても、新たなミークルーガーが誕生しては意味が無かろう。」

雫「なに、今現在ミークルーガーを封印している封印石があれば、多少は弱体化できる。」

雫「それよりまずはミークルーガーの居場所を特定することじゃ。」


雫「その荒れ続けている海を見させてくれぬか?」

これは・・帰省かな。


・・

・・・・


ということで、やって来ました地元の海。

相変わらず・・いや、より一層ひどく荒れている。


レイン「来たはいいけど確かめようがないわね。」

ですね。船も出せないや。


雫「・・いる・・」

え?


雫「あ、いや・・そういえば瑪瑙たちの村はこの近くだそうじゃな。」

雫「寄ってみてはどうだ?復興とかも考えておるのだろう。」


考えてなかった!薄情?


レイン「あんな小さな村を復興ねぇ・・する意味あるのかしら。」


クー「復興しても当時の人がいなければ別物です。」

クー「よそから人を連れて来ても、それは同じ名前なだけの別な村。」

クー「統治者は人の数や収入額など数字しか興味ないかもしれませんが。」


今の俺には耳に痛い言葉だ。


レイン「でも懐かしいし寄ってみるのは賛成。」

レイン「なんだかんだ言っても私たちにとって特別な場所なのよね。」


クー「王国に見捨てられた村として宣伝すれば、反王国の旗印として価値がでますよ。」

復興したら価値がなくなるから復興するなって言われそう。


・・

・・・・


村は、変わらず荒れ果てていた。


ミミット「なんてひどい!」


山賊が荒らし回ったんだよね。

それで女神像に祈りを捧げたら、悪魔王さんの声が聞こえたんだ。

・・もしかして、それも女神像の力なのかも。


レイン「なら女神像に聞いてみましょ。」

レイン「ミークルーガーの封印石はどこにあるの?」


?「くくく・・オレ様を捜しているのか?」


女神像から声が聞こえた。

この声・・まさか、ミークルーガー!?


封印石「いえ、ミークルーガーを封印している封印石です。」


まぎらわしーんじゃー!

・・いや、レインの問いかけ通りか。


雫「封印石様、今あなたはどこにおいででしょうか?」


封印石「女神像より南・・海を渡った小島にオレ様は安置されている。」

封印石「巫女よ祈りを捧げるのだ。さすれば海は一時的に平穏へと戻り小島へ渡れる。」


レイン「小島って言うと、村の人がよく釣りに行ってた無人島のことよね。」

レイン「海が荒れてからは行けなくなったけど。」


クー「海岸からも見えます。あんなところに化け物が封印されていたなんて・・」


ミミット「しかし巫女がいないと小島へは渡れないようですね。これから巫女探しですか?」

ミミット「巫女の一族は王家に嫁いだという話ですけど、王国に頼みたくはないですね・・」


エティー「いや・・そこは気にしなくて大丈夫だと思います。」


・・ああ、雫さんが巫女の子孫だってこと、エティーさんは知ってるのか。

俺は超神さんから聞いたけど、みんなには話してないからなぁ。


別の封印石「運命は人々を導く。」

別の封印石「19年前の計画が始まる。」


あれ?声変わった?


封印石「ミークルーガーの封印はもう長くはもたない。」

封印石「人間たちよ、完全に封印が解かれる前に、ミークルーガーを倒すがよい。」


雫「わかりました。必ず・・」

女神像から声は聞こえなくなった。


レイン「場所はわかったわね。船を用意して行く?」

クー「ですが気になることを言ってましたね・・19年前の計画が始まるとか。」

クー「・・もしかして、まだ隠し事していますか?」


雫「19年前のことは、この間の話しか知らぬ。」


なんで封印石はそんなこと言ったんだろう?

当時の赤ちゃんは未だ行方不明なのに。


・・

・・・・


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