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01滅びの村


魔物が村へやって来て、畑を荒らしていった。

おかげで食べるものがない。

すぐ去ってくれたのが幸いかな。村人に被害はなかった。


魔物は山に棲みついているため、山で山菜や果実をとることもできない。

海はここのところ荒れていて、船が出せない。釣りも・・あまり釣れない。

細々と・・村は死に向かっている。


レイン「瑪瑙!山へ行くわよ!」


・・・・山?魔物は?


レイン「移動したみたい。今なら山の食べ物がとれるわ。」


レインは俺の幼馴染。

こういう時は率先して動くから、みんなから頼りにされている。


・・わかった、準備する。

俺は農作業を中断して、山へ入る装備に変えた。


・・

・・・・


レイン「みんな集まったわね。これから山に登るわ!」

レイン「詳細はクー、説明してちょうだい。」


クー「山にいた魔物は現在移動中。他の魔物グループの方へ向かっています。」


村人「縄張り争い?」


クー「まだわかりません。もしかしたら・・合流して強大化するかも。」

クー「戻ってくる可能性もあります。なのでその前に山の幸を確保するのが今回の目的です。」


レイン「というわけ。食べ物になりそうなら山菜や野鳥、果物に動物なんでもとるように。」


村人「おお!」

村人「任せとけ!」

村人「レインちゃんのためにがんばるよ!」


レインは・・綺麗だよな。

誰でも気兼ねなく接してくれるし。

人気、というかモテるのもよくわかる。


・・

・・・・


山へ入ったが、食べ物は見つからない・・


レイン「魔物が根こそぎ食べたの?」


クー「その可能性は低いでしょう。」

クー「根こそぎ食べ尽くさないといけない状況なら、飢える魔物もいるはずです・・が、その様子はありません。」


村人「じゃあ人間の仕業?」


クー「可能性は高いですね。タッチの差で先に誰かが山へ入ったと思われます。」

瑪瑙「・・見て。木に斧が刺さってる。」


レイン「人間用の斧ね・・魔物が利用することもあるけど、人間がいると考える方が自然よね。」

クー「短期間に山の食料を根こそぎ奪ったなら、それなりの人数だと考えられます。」


村人「そいつらは今どこに?食料持って自宅に帰ったとか?」

クー「それならいいのですが・・まだいるとしたら、以前村が作った休憩所あたりでしょうか。」


レイン「そうね。少し様子を見に行きましょう。」


・・

・・・・


クー「・・いますね。」

村人「見張りがいるっつーか、あれ山賊・・」

レイン「いったん戻りましょう。相手の数も目的もわからない状況で接触するのは危険よ。」


俺たちは速やかに村へ戻った。


・・

・・・・


山賊たちは、50人くらいだとその後の調べでわかった。

村の若者は20人程度・・村人全員で総力戦するわけにもいかない。

年寄り多いからなぁ・・


レインとクーさんを中心に毎日対策会議をしている。


俺は・・畑も山もダメならと、海で釣りしている。

荒れてて全然釣れないけど・・魚が絶滅したわけじゃないからいつか釣れるよね。

海が荒れてから魔物も近づかないし・・なんなんだろうな。


・・そのうち釣れるさ。

・・・・きっと釣れるさ。

・・・・・・たぶん。

来た!・・あ、小魚。


本来なら見逃す方がいいんだろうけど、今は小魚も食わないと餓死しちゃうから・・


俺は食べ物を待っているだろう村を見た。

・・煙がのぼっている。火事?


俺は一目散に村へ戻った。


・・

・・・・


村へ戻ると、ただの火事ではなく襲われた跡だとすぐわかった。

荒れた畑、燃えた家、そして・・殺された人。

村人も、山賊も死んでいる。


村人「あぁ・・瑪瑙、お前は・・無事だったんだね・・」

向かいの婆さん!


村人「山から暴漢共が村へ攻めて来たんだよ。」

父さんと母さんは?


村人「お前の父親は勇敢に戦ったよ・・だけど母親を人質にとられてね・・」

俺は両親が亡くなったことを聞いた。


村人「私のような年寄りが生き残ってもどうしようもない・・おおお・・」

みんな、殺されたの?


村人「いや・・連れてかれた子もおった・・お前さんの幼馴染のレインとか・・」

レインが・・


・・

・・・・


俺は墓穴を掘っている。

どうしていいかわからなかった。

ただ、何もしないわけにはいかなかった。


クー「瑪瑙、こんなとこにいたんですか。」

クーさん・・


クー「レインを助けに行きますよ。」

・・俺は行かない。


クー「どうして?幼馴染でしょう?」

・・勝てないよ。無駄死にするだけだ。


クー「意気地なし!!!」


クーさんは行ってしまった。

・・力が無ければ、どうしようもない。


正義が勝つとは限らないんだ。


俺は涙を流した。


なぜか俺の左目は、涙を流さない。

昔から・・特異体質なんだろうな。


・・

・・・・


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