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異世界追放記  作者: 二本ボトル
5/7

魔法

「ねぇ、さっきのどうやったのよ?」

森の中の少し開けた道を歩きながら質問してきた。


「ぐわっとなったからブシャっと出したまでだ」

「何よそれ、説明になってないわ」

抽象的な説明に納得いって無い様子だが知った事ではない。


「知らぬわ、お主がやっていた、すぷ何がしはどうなのだ?」

高天原では自身の権能以外扱うことは出来なかった、同種の役割を担う事で似たような現象を起こすことは出来てもそれは似て非なる権能の為、厳密には同じではない。

しかしながら先程のスプラッシュウォーターは下位互換ではあるが同じ水を作り出し、噴射する現象が起きていた。

自分しか使えないと思っていた権能を他者が弱いながらも使っている光景は異常で自分のおもちゃを勝手に使われているかの様な感覚で決して気持ちの良いものではなかった。


「スプラッシュウォーターね、低位の水魔法よ?」

「水は分かるが魔法とな?、権能では無いのか?」

「何よ権能って?、さっき水魔法使って他じゃない、水系統の大魔術師かと思ったと思えばよく分からない事を言うわね・・」

「我の権能は父君より生まれながらに授かったものじゃからな、説明など出来ぬ」

「よく分からないけど、さっきの威力であれば最上位の神域じゃ無いかしら?」

「おぉ、よく分かっておるではないか!」

神という言葉が出てきて上機嫌になったので饒舌になる。


「我こそは海神、スサノオである、崇め奉っても良いのだぞ」

腰に手を当て胸を張って言い切った。


「はいはい、水魔法が凄いのは分かったし尊敬するけど私は生命系等が得意だから崇めるのは違うかな」

大見えきって言った分、スルーされたショックが大きい。


「ちなみに魔法には階級があるの、下から低位、中位、上位、皇位、天位、神域の順に威力と効果で分類されるわね」

「ふむ」

「上位までは修練すれば死ぬまでには使える様になるかもしれないけど、皇位は才能がないと使えないわ、天位クラスになると一人で一個師団と戦える戦術兵器と呼ばれるレベルね」

「ほほぅ」

「さっきの神域は一人で国を滅ぼせる歴史上に名を残すような大魔法師と言われているわ、私も初めて見たからびっくりよ!、北の大陸に一人いるって噂を聞いたことがあるのだけれど貴方のことかしら?」

「それは違うであろうな、我は北の大陸など知らんからな」

「そう・・、じゃあ二人目の神域級魔法師って事ね」

目を輝かせながら嬉しそうに足取り軽く歩くペースを上げる。


「そういえば貴方、スサノオっていうのね、全然名乗らないから貴方って呼んでいたけど名前があるならスサノオって呼んだほうがいいわね」

「構わぬ、我もルーシーと呼ぶことにしよう、ありがたく思いたまえ」

「はいはい」

ませた子供の様に幼さを感じる高笑いにルーシーはしょうがないわねと言った具合に了承する。


「スサノオは・・・」

何か言おうとした時だった。

急に二人を陰が覆った。


「敵襲じゃな」

「冷静に観察している場合じゃないわ!」

上空にはスサノオより3回りくらい大きな茶色い塊が降ってきていた。


「とりあえず避けるわよ!」

そう言うと手を引っ張り飛び退ける。

先程までいた場所に茶色の塊が落下し、地面が削れて土煙が立っていた。


「あれはジャイアントモンキーね、しかも土系統強化型か、厄介な相手に遭遇しちゃったわ・・」

土煙が晴れると全貌が見えてくる、巨大なゴリラの毛を茶色く染めた様な見た目をし、爪が岩石の様に分厚く変化した環境適応型モンスターらしい。


「あれは強いのか?」

「通常種であればなんとかなるのだけれど環境適応した種は通常種より強力な個体が多いとされているから苦戦は免れないわね」

「うむ、見たところによるとあの爪などは少し硬そうじゃな」

しかしながら高天原にいる他の神々、タケミカヅチやフツヌシであれば安易と一刀両断にするのであろうな等と思い観察していると潰せなかった事に気づいたジャイアントモンキー【巨大猿】が襲いかかってくる。


「来たわよ!なんとかならないの!」

「無理じゃな、ぐわっと来ておらんからのぉ」

「何よそれ!あぁっと『イージス』『サンクチュアリ』」

全方に半透明に輝くの盾とルーシーの周りに結界の様な文様が地面に広がった。


「なんとも面白いことができるな」

「そんなこと言ってないで手伝ってよ!これもそんなに長い間持たないんだから!」

サンクチュアリ【神聖領域】によって強化されたイージス【光の盾】だが打ちつける爪に少しづつ削られ、ひび割れていくのが分かる。


「では先程のあれでもやってみるかの、『スプラッシュウォーター』」

この世界に初めて来た時の権能の効果とは違い、これが本来の力だと言わんばかりの速さで光の盾ごと巨大猿の中心を撃ち抜く。

あれがシャワーであるなら、これは光線だ。


「やればできるじゃない、ていうか何よさっきの低位の魔法の威力じゃないわ!」

低位の魔法にできるのは精々進むのを止めるぐらいだ。

権能として生み出した水の量と同じようなものだが明らかにスピードが段違いに違う。

世界の法則の違いによって、権能では正しく構築されなかった速度領域が術言を媒介として最適化され、元々持っていた水との親和性の異常なほどの高さと合間って、結果として光の盾と巨大猿を貫通する威力を持ったのだろう。


「カッカッカッ!どうじゃこれが我の実力ぞ!」

「出来るなら最初からやりなさいよ、まぁこれで先に進めるわね・・」

巨大猿から背を向けて歩き出そうとした時、巨大猿の腕がうずくまったまま振われる。

近距離で高速での物理攻撃に咄嗟に避けようとしたがリーチの長さにより回避するまでの距離は取れない。


「くっ!『イー・・」

間に合わないと思い光の盾を展開し防ごうと試みるが展開するよりも早く腕が届いた。

木の幹ほどある腕によって生まれる衝撃はうずくまった状態だと言えど尋常ではない。

ルーシーは咄嗟に避けようとした分空中に浮いていた為、バットでボールを打った様に吹っ飛ぶ。




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