9 そして文芸部は・・・・・・
その日の放課後、私は『騎士と姫様』を天道院会長に提出し、その場で読んでもらった結果(この時程、この世から消えてしまいたいと思った時間は無い)、何と、文芸部の廃部の話は撤回される事になった。
つまり、私達の作品が天道院会長に認めてもらえたという事だ。
その時の私の気持ちは、やっぱりとても複雑なものだった。
しかし翌日の文化祭でそれを販売した所、何故がとんとん拍子に売れて、五十部あった『騎士と姫様』は全て売れ、後日更に追加注文で百部作る事になった。
これは天道院会長が、この作品がおもしろいとクチコミで広めてくれたからみたいだけど、世の中、何が売れるかわからないものだと、この時つくづく感じた。
自分が納得できる作品を書いても売れるとは限らないし、逆に売れる作品が書けても、それが自分で納得できる作品だとは限らない。
まあ、それは今は考えないでおこう。
とにかく今は、また文芸部を続けていけるようになった事を素直に喜ぼう。
「ねぇねぇヒロミちゃん、次はもっと濡れ場のシーンの多い作品にしようよ♡」
「そんでもってさらに激しいバトルシーンが満載の作品が書きたいッス!」
素直に喜んで、いいのかしら・・・・・・・?