バーン3
次に会った時、彼は小さな花束を持っていた。
この前の遠乗りで、私が綺麗だと言った花だった。
「それでその、どうだろうか?」
花束を差し出しながら緊張した面持ちで彼が尋ねた。
何を聞かれたのかを理解して、思わず喉がゴクリと鳴った。
花束を受け取った手の甲を指の腹で撫でられた。ゾクリと背筋が震える。
期待してしまっている。彼にもっと触れられることを。
そっと身を寄せ、潤んだ瞳で彼を見上げた。
頰に彼の手が触れる。上向いたままそっと目を閉じた。
唇に柔らかく湿ったものが触れた。
すぐにそれは離れて見つめ合う。
彼の眼の中に、私を求める熱が確かにある。
「部屋は?」
今までとは違う熱のこもった掠れ声に、鼓動が跳ねた。
彼の袖を引いて自室へと誘う。身体が高ぶって、足がもつれそうになる。
自室のドアを開け、入り、鍵を閉める。もどかしい思いで寝室のドアを開けた。
大きなベッドが目に入った途端、バーンが私を抱え上げた。
「きゃっ!?」
慌てて首に腕を回してしがみ付いた。
密着した身体から、遠乗りの時に感じたものよりずっと速い鼓動が伝わってくる。
ほんの数歩でベッドに着くと、そっとその上に降ろされた。
彼の獲物を狙うような眼と視線が交わった。縫いとめられたように動けない。
緊張で息が苦しくなって開いた唇を塞がれた。先ほどより性急に。
そして舌を絡めとられた。
口の中を余すところなく確かめるようなその感触に、頭の中が溶けていく。
息が上がって何も考えられなくなって、ただ彼から与えられる感覚だけでいっぱいになった。