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仮面夫婦は結婚3年目に互いの想いに気づく。

作者: 香澄結

拙い文章ですが最後までお付き合い頂ければ嬉しいです

私たちは仮面夫婦だ。


3年前に政略結婚をし、そこからずっと仮面夫婦をしている。

だから私たちはお互いを愛しているわけではない...と思うだろうが私は違う。結婚相手と知らされて初めて会った日から彼に恋している。一目惚れだ。初めて彼を目にした時なんて麗しい方なのだと。


「私は幸せものね、あんなに素敵な方と結婚することができるから」


などと結婚前は独り言を呟いてたこともよくあった。


しかし所詮は政略結婚。結婚後の私たちの関係は冷えきっていた。初夜は仕方なく伝統上行為に至ったがそれ以外寝室は同じだけど特に何も無い。というより彼が私に手を出してこない。


まだ世継ぎは必要ないし、もしこのまま出来なかったら養子縁組を結びその子に爵位を継いでもらえばいい。これが私たち夫婦の暗黙の了解だ。


でもね、女なら思うよね、このまま愛のない関係は嫌だと。幸せに夫婦仲良く家庭を築いていきたいと。


私も今年で18歳、彼は20歳。3年も待った。


だから今夜私は彼を誘うことにした。もし拒否されたとしても私を抱かない理由くらいは聞くしかない。粘れば聞けるはずだ。



そうと決まれば今夜に向けた準備をしよう。


お茶会仲間の友人から「こんなネグリジェなんて如何ですか?」と言われて貰ったものがある。彼女は私たちがまさか仮面夫婦とは思っておらず夜の手助けなんて意味でくれた。当時は使わないだろうな〜なんて思っていたのだけどまさか役に立つ時がくるとは。ありがとうございます!


「今日はとびっきり綺麗にしてくれないかしら?」


この言葉で今夜何かあるのか?と彼女たちは思っただろう。うちの家の者たちは私たちが仮面夫婦だって知っている。そしてこんな突飛なお願いから遂に仮面夫婦を辞めるのか、我が家は安泰だみたいなことを思っているに違いない。とても和やかな目を向けられた。


「みんな、ありがとう。やっぱりあなたたちは優秀ね」


私の準備が終わると彼女らは部屋から出ていった。


彼女たちの腕によって普段の何倍も綺麗になった私は彼が来るのを待つ。


ガチャ。ドアが開く音がした。いつもより仕事が早く終わったみたいだ。


「ただいま戻ったよ、アリアナ…ってなんなんだいその格好は!」


まあ、予想通りの反応だ。こんな透け透けのネグリジェを着ていたら流石に驚くだろう。


(よし、誘いますよ)


「ルイ様、今夜私を抱いてください」


すごい直球に言った。さて彼はどんな反応をするのだろうか。


「はぁ、いきなりなんなんだい。冷えるよ」


そう言って彼は上着を掛けた。何事もなかったかのように睡眠の支度をしようとした彼にもう我慢できない。


「…っ、どうしてルイ様は私に手を出してくださらないのですか!?私のことが嫌いなのですか!?私はこんなにも…こんなにも貴方様が大好きなのに…」


半ギレ気味に想いを告げてしまった。今までこの恋心は彼に伝えたことがない。しかも思わず彼を抱きしめている。淑女としてはしたないと思うが今はもう関係ない。


そうしたら彼からキスされた。


「…んっ」


とても長い口付けだ。結婚式以来キスは無かったから急なことで混乱する。

(長い、それにしてもどうして)


酸素が無くなりそうと思ったところでようやく解放されて理由を聞くことにした。


「どうして…ルイ様は私に興味なんてなくて、私の事が嫌いだから、だから私を、抱かないんじゃ…」


「それは僕の方だよ。この3年、アリアナは人前以外は私に冷たかったじゃないか。嫌われてるのかと思って、そんな相手に君も抱かれたくないと思っていたからこれまで抱いてこなかったのに…」


どういうことだ、私が彼に冷たい…?もしかしたら彼に照れまくっていてそれを悟られないように表情筋を固めて冷静に対応していたから…!?


「違います!それは誤解なんです!!私がルイ様に冷たくしているようにしているのは私が貴方様にときめいて照れているのを必死に抑えようとしていたから…!」


とてもみっともないことを暴露してしまったけどもう引き下がれない。


しかし彼の顔はとても紅くなっていた。


「私たちはお互いにすれ違っていたのかもしれない」


どういうことだ。もしかして彼も私に…


「ルイ様、勘違いだったら申し訳ないのですが私のこと好きですか?」


「うん、好きだよ。ずっと、出逢った時から。とても美しい君に一目惚れしたんだ。しかも仕事で疲れた時とかに気を利かせてお茶を入れてくれたり、傍で支えてくれた君にどんどん想いは膨れ上がっていったよ」


なんてことだ。今私は夢を見ているのか。しかも理由まで私と同じ、いいえ私も年々この想いが強くなってきてる。仕事している彼を隣で見ていたからだろう。人の為にあそこまで働ける彼に惹かれていった。


「私も出逢った時からルイ様のことが大好きです!」


「最初から両思いだったのか、今まで我慢してきたのは一体なんだったんだろうね…でも今日アリアナが想いをぶつけてくれたからお互いに知ることが出来たよ。ありがとう」


もう、夢見心地だ。最初から両思い、これまでの私たちは時間を無駄にしていたのだろうか。


「ねぇ、アリアナ。今夜君を抱いてもいいかな?」


そんなの勿論了解以外の答えはない。でも普通に言葉で伝えるのではなくて私も口付けをしよう。


「…んっ、もちろん抱いてくださいな」


そしたら彼は照れた顔で

「…っ、その誘い方ずるいよ」

なんて言って私にキスをした。





朝起きると昨日のことは夢のようだった、と思ったけど自分の体に刻まれた印を見ると現実でとても幸せな気分だった。


そうしたら隣で寝ていた彼が起きて


「おはよう、アリアナ。大好きだよ」


なんて殺し文句をかけてきたから


「私も大好きです」


って答えた。






さて、これから更に3年後の話をするとしよう。私たちのもとに天使たちが産まれた。最初の子供は男女の双子、その翌年には男の子を出産し今は…


「おかあさま!わたしたちに伝えたいことってなんですか?」

と長女が元気に質問する。


「とてもいい知らせって聞いたんですけど、早く聞きたいです!」

と長男がワクワクした目で私たちを見る。


同じようにキラキラした目で私たちを見つめてくる次男。


この3年間で随分と父親らしくなった彼と目を合わせ、お互い頷き合い。


「あのね、あなたたちに弟か妹ができるのよ」



あの時の私の行動で今とても大切な宝物が出来た。


そうして彼らは本物の夫婦となったのでした。めでたしめでたし。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アリアナ→15歳でルイに嫁ぐ。金髪碧眼、美人で社交界では令嬢たちの憧れの的だった。

実家は辺境伯。本当はとても照れ屋さんでその照れた表情を隠すために冷たく見えてしまっていた。あとちょっと臆病なところもある。普段は我慢強いんだけど限界を超えるとびっくりするような行動に出る。


ルイ→公爵家の主人。4年前、16歳という若さで跡を継いだ。なんでも両親が早く隠居したかったそう。作中でも書かれていた通り容姿が整っておりまた中性的な見た目をしている(作者の性癖です)銀髪に桃色の瞳。有能で元々栄えていた公爵家をさらに栄えさせていった。忍耐強い。普段は優しいけど腹黒い所もある。オーバーワーク気味


2人は社交界では理想の夫婦と見られている。想いを伝えあった後は幸せオーラ全開。あと2人の周りが優しい。



ここまで読んでいただきありがとうございます。描きたいものが書けてとても満足です。

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