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1話 オアブスーパー山田店

 それは猛暑日のできごとであった。愛緒和あいおわ県内、最大のスーパーチェーン・オアブスーパー。ここは、その一店に過ぎない山田店の店長室である。

 店長は部屋に入るなり、首から下げたタオルで汗を拭う。今日はアイスクリームが飛ぶように売れている。冷凍ショーケースから、アイスクリームが品切れになりそうだ。

 大手アイスクリームメーカー、『ニコヤカ堂』愛緒和工場に電話で注文をする。

「バニラアイスを100個と、チョコアイスを100個。明日の朝、運んで欲しいんですよ」

「すみません、工場フル稼働しているんですが、どうしても生産が追いつかないんですよ」

 お宅と取引止めて、よそのメーカーで買うぞ、言い返せるほど子供でなかった。

 取引があるアイスクリームメーカーは複数ある。しかし、『ニコヤカ堂』のアイスクリームは、人気があるのだ。

 ニコヤカ堂の商品を、置かなくなったら客に迷惑がかかる。

 ニコヤカ堂の営業も困惑声だ。多くのスーパーやコンビニから、注文が殺到していた。バニラ、チョコなど、人気商品の在庫はある。

「店長、明日の朝、配送するのはお約束できますが、チョコ100個バニラ100個で、200個そろえるのは難しいんです」

 全ての店に注文通りに商品を配送したら、絶対数が足りないのだ。

 オアブスーパー山田店だけ、特別扱いはできない。よく言えば、親がきょうだいに、分け隔てなく接するようなもの。

 悪く言えば、大人の事情である。

「200個必ず運んでくれるんですね。チョコとバニラは人気あるから、必ず入れてください」

「アイス200個は、確実に配送します。ですが、チョコとバニラについては……、努力します」

 努力、つまり、約束はしないと言う意味だ。電話越しに聞こえるのは、焦り声だ。店長もニコヤカ堂の事情は察しがつく。

「ニコヤカ堂さんもお忙しいでしょうが、明日の朝、アイスクリーム200個の配送をお願いします」

「はい、承りました」

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