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学園の貴族様!  作者: 天色紅葉
1章 入学編
7/8

入寮!

読んでくださる方がいらっしゃって感謝感激雨霰です、感想は制限なしで書き込めます、お気軽に書いていただけると涙ちょちょぎりながら3倍速で続き書きます。

 1ヶ月の休みも早々に終わり、今日から寮での生活になる、連れていけるのはリリィ一人、そこに大した不安は無いけれど、リリィの僕への構いっぷりがひどい、どうも2人で一部屋、しかもダブルルームを当てられたことが余程嬉しかったらしく、部屋割りを知らせる手紙が届いて以来ずっと機嫌がいい、正直とても可愛いと思う。


 リリィと入寮手続きに向かうと水の公爵家とばったりと会った、やたら爽やかな奴で、妙に話しかけてくる、正直苦手だ。


「やぁ、こんなところで会うなんて奇遇だね」


「別に奇遇でもなんでも無いだろう、もう5分ほどもそこで待ってみろ、2、3人は通るだろうよ」


「ははっ、それもそうか。けれどいつまでもこんなところに居たんじゃ他の生徒が通りづらいだろう、僕はもう行くよ、今日から同じ寮に住むんだ、よろしく頼むよ」


 どこまでも爽やかに去っていく水の公爵をなんともなしに見送り、自分も手続きをしに受付へ向かう、5つほど開放された受付の1つに適当に並び順番を待つ、貴族だろうと平民だろうと順番は守らなくてはいけないし権力を振りかざして抜かそうとするなんて恥ずかしいことするやつは……くそっ


「退けよ!俺はジルネリア=フォン=ウィナルだぞ!分かってるのか!」


「喧しいわクズが、立場と場所を弁えろよ」


「黙れよ平民風情が!誰のお陰で毎日過ごせると思ってんだ!」


 セムナント王国の恥さらしに嫌々ながらも声をかける、ちくせうあの爽やか野郎どこ行きやがった、面倒な……

 どうも奴さん僕の事に気付いて居ないようでまだ喚き散らしてる。


「さて、ね。外交的には公爵様、内政的には侯爵様、外敵としては辺境伯家だったかと思うけど、地方領主風情が何をした?」


「う、うるさい!俺が誰だか分かってるのか!」


「声を荒げるな、ウィナル子爵のボンボンだろ覚えた覚えた、安心しろ抗議なら送りつけといてやる」


「なんだと!お前何様のつもりだ!」


「何様…何様と言えばヴェントゥス様かなぁ?」


「なっ……ほっ法螺を吹くのも大概にしろよ!勝手に名前を使われたとヴェントゥス様が知ったらどうするだろうなぁ?」


「おっ居た居た、何してるのさ?」


「ああ、どこ行ってたんだよおかげさまで変なのが沸いてるぞ公爵サマ」


「う、ウンディーネ様!この度はご機嫌麗しゅう……」


「いやぁ手続き終わったら当然案内してくれるじゃない?戻ってきてみたら君何かしてるんだもの、面白くてついつい見ちゃうよねって」


 どうも暫く前から見ていたらしい爽やか野郎に少々愚痴を言う、全く何が悲しくてこんなのを相手にせにゃならんのか。


「ああもう知らん、あとは任せた、まだ手続き終わってないんだ」


「いいよ、早く行くといい、どんどん列が延びていってるよ」


「くそぅ、また並び直しかぁ……」


 水の公爵……ウンディーネに後を任せて急いで元の列に戻る、もと居た所に戻してくれようのするのも居たけれど1度列を抜けた以上また並び直す、めんどくさかろうと順番抜かしは良くないのだ。








 長らく待った後、ようやく手続きも終わり貴族用の寮に入る、別段これは忖度でもなんでもなく、一緒にするとお互いに非常にストレスが溜まるというだけの話だ、文字通り住む世界が違うのである。

 例えば日に3度寮で出される食事など、以前13家―辺境伯以上と王家を合わせ13であり、ここの数は決して変わることはない。―のうち最も粗雑だと言われている土の辺境伯と食事を共にしたことがあったが、確かに粗野な食事をしつつも最低限のマナーはきっちりと押さえていた。

 テーブルマナーは完璧にこなし、残った机等に食べこぼしなども一切無い、それが貴族にとっての最低限であり、その程度が堅苦しくて仕方無い平民は見るにたえず、平民にとって貴族の食事は楽しくもなんともないのだ。

 考えるだけでも壮絶なストレスだがこれはほんの一例に過ぎず、まあ要は貴族と平民が同じ空間で過ごすことは出来ないのである。


 勘違いされがちだが貴族用の寮も平民用の寮となんら変わりない、間取りも、食事のメニューも、内装も、全く同じだ。連れてきた使用人はその一人用に割り当てられた部屋で共に過ごすのだ。別段使用人を連れてくるのを禁止されている訳ではない、生徒1人につき、1人まで全生徒が同行を許可されている、最も部屋料は1人分でも食費なんかはきっちり2人分徴収されるのだが、その辺りが平民がそう滅多に使用人を連れてこない理由でもある。









 リリィとともに部屋を片付け、終われば既に夕刻、食堂に行けば夕食が出ている時間なので共に向かい共に食事する、同じ食卓に座ることを嫌がる者も居るようだが、ここは家ではなく、サーブの必要も無いのだ。共に食べるくらいは良いだろう。

 リリィは一口が小さめで非常に可愛い。


 部屋に置いてあったしおり曰く明日は10時に教室集合、教室の場所と所要時間も記載されていた、明日に備えてリリィを抱き枕に眠った。

P.S.本編中で語ったような理由から居住スペースこそ分けられていますがクラスも、カリキュラムも、教師も全て全生徒共通です、互いの生き方を出来るだけ知っておく事も学園の目的の1つなのです。

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