第五壁 鉄拳制裁はメテオストライクとは読めない。
こんにちは皆さん私はいま美しい山にいます。
涼しすぎて寒い風。澄みすぎて薄い空気。枯れた木。底の見えない谷。そこかしこに落ちている白骨死体。さっきから喉を鳴らしているコボルト。そしてそれを一撃でのしていく蛇の師匠。
ナンデスカコレ。
「ははははは!晩飯はコボルトだな!」
素手かよ…しかもナックルも付けてないし
本当に魔法使いなのか?
「グオオオオオ!!!」
「まずい!キングコボルトだ!」
コボルトにデスソードを死に物狂いでかましている蛇が指さした方を見やるとそこには斧を持ったでかいヤツが居た。
しかも狙われているのは俺だ。
「でっ…[悪魔の…]」
「[鉄拳…]」
その時俺はなぜか声の主の方を見てしまった。
何故かはなんとなく分かる。それはキングコボルトの数倍危険なものだと俺は瞬時に理解したからだ。
「[制裁]!!」
魔粒子を拳と脚に集中させ飛び出したその速度と破壊力はまるで隕石であった。
秒殺大破。千々に散ったキングコボルトを見てコボルトは全員逃げてしまった。
だが分からないことがひとつある。
「あれは魔法じゃ無いですよね…?」
本来魔法は魔粒子を結合。性質、又は形態を変化させて身体より外で行われるもの。だがこれは…
「そうだ。これは魔術。己の中を改変して肉体を強化。破壊するものだ。」
そうこの…ん?あれ?ちょっと待って。
「あー!!!!その前に!名前!!」
「ん?はははっ!すまん!言ってなかったか!リサ="ストロング"オーガ=リトルだ。ストロングは魔法名。オーガはミドルネーム、一応北欧の血だ。生まれも育ちもここ、東洋だけどな。」
名付きかよ…名付きとは特殊な家系でないと付かない名だ。なのに魔術?なぜ魔術なんだ。
「ちなみに私は幼少期から魔法が使えん!!入隊はコネだ!!ガハハ!」
は? 「は?」 [は?] (は?) <は?>
「よろしくな!あとお前コボルトに一撃も与えられなかったから罰として谷落ちの修行だ!」
ガッ
「え。あ…あああああああああああああああ!!!!!!!!」
こうして俺は人生二回目の絶体絶命を体験した。
とりあえず死にかけとかないと…
あとリサてめぇテンポはええよ…せっかちめ…




