第三壁 2週間は14日で1日の14倍
この世界の人間は魔粒子で生きてます。ちなみに魔粒子が切れかかるとオートでスリープに入ります。戦闘時にそれで命を落とす人も少なくないとかなんとか。
カタカタカタカタ…
「フゥ…今どきタイプライターなんて使う人他にいるの…?」
俺は凝った肩を回しながら蛇に聞いた。蛇とはご存知の通りくまさんのことだ。蛇なのに。
「ほれ。どうせ俺もお前も記録魔法持ってねぇしな。旧式に頼るしかねぇだろう?」
蛇は真夏だと言うのに熱いコーヒーを飲んでそう言った。今日で蛇の家に来て2週間。鍛えると言ったのに蛇は訳の分からないルーン文字の改造タイプライターを一日中俺に打たせている。だが最近しきりにカレンダーを見るので近いうちに何かあるのかもしれない。
「なぁ歩。お前、体内の細かい魔粒子操作は出来るか?」
魔粒子、それは魔術、魔法を使う上で絶対必要な人の体内にあるエネルギーである。魔粒子の操作を細かく出来れば出来るほど魔法の威力は高くなる。ちなみに魔法とは違う、現在では廃れた魔術は体内魔粒子多ければ多いほど威力は上がる。
「いやぁわかんねぇ…測ったことないし…」
「ま、大体測るのなんて魔法士学校ぐらいだしな」
と言って蛇は謎のゴツイ血圧測定器のようなものを出してきた。
「なにこれ。」
「測定器だ。腕突っ込め。んで手の上で魔粒子を操作しろ。」
えぇ…めんどくさ…と言いたいところだがやらなきゃあ修行も付けてくれないだろう。俺は渋々腕を突っ込んだ。
「なんか腕ピリピリするんだけど。」
「そりゃあ反魔粒子素材だからな。さっさと測れ。」蛇は若干苛立っているようにも見えた。
軽く2分ぐらいの検査が終わると蛇は俺にまた訳の分からない打ち込みをさせた。
「……は?なんだこれ…」
後ろでマグカップが割れる音がした。
「え!?何事!?どしたの!」
ふと見やると蛇は液晶を見ながら驚いた顔を見せていた。急いで液晶を見やるとそこには可愛い美少女がいた。
「このフィギュア…いい…」
「どつき回すぞ。」
恍惚の表情を浮かべる蛇を俺は一喝した。
なんかすごいいい結果だったのかと思ったじゃねぇか。
「まぁ待て、まだ結果出てない…お?出るぞ。」
«魔粒子操作値105»
「すごいの?これ」
基準がわからない俺は蛇にそう聞くと蛇はこう答えた。
「ま、すごくはねぇが平凡でもねぇな。鍛えればもっと良くなる。ま、軽く士官クラスにはなれるよ。」あ
ほえー。すごいのかすごくないのか…コーヒーを飲んでいると。
「明日から修行だからその2週間で2ページしか進んでねぇルーンの打ち込み今日中に終わらせとけ。」
俺はコーヒーを吹いた。
ちなみに蛇は魔粒子操作値初期値89で現在は120です。ついでにまだ見ぬ蛇の師匠は250です。
バケモノェ…




