第10壁 くまはくまでもくまじゃない
「おえええええええ…」
20回目だ…
なにがって…修行中に吐くのが
「さて。こんなもんかね修行は。帰るぞ私は」
リサはソワソワしていた。遅刻すると上司がうるさいらしい。
「帰るぞ?帰るぞ?それじゃそういうことで!」
リサは足に力を溜めると全力で跳んだ。
まるで流星だった。
やっと帰った…もう修行しなくていいんだ…
「さて。帰ったから言うが…戦闘で細かい魔術はほとんど使えん」
蛇がハッキリと俺の目を見て言った。
「どういうこと?」
「戦闘中敵が魔力を脚に溜めるのを待ってくれると思うか?お前はセンスがない。アームズロアしか使えんだろう。」
蛇は真剣な顔でそう言った。が、すぐ笑顔になり。
「だがそれをさっきまで教わってた軍式体術で乗り切る!」
お、おう。思わずそう言ってしまった。でも軍式なだけあってかなり無駄を省いた体術だった気がする。
「さて…これから歩いて帰って…」
蛇がそう言いかけたその時
ズンッ
「ぐおおああああああああああああ!!!!!」
デジャヴュですわこれは。
「<武装展開>…戦闘開始!」
すぐさまリサに教えてもらった"略式魔術展開"を使ってみる。ある特定の言いやすい言葉を魔術にセットして発動する。今回はアームズロアに武装展開という言葉をくっつけた。
案の定敵はコボル…あれ?違う!?
目の前には大きな熊。大きなったって2メートルとかじゃない4メートルはある!
「なにこれぇ!?」
熊がその大きな手を振り下ろす。
ズーンと大きな音を立てその山1つ熊は跡形もなくした。
「くま繋がりで倒せないの!?」
「無理に決まってんだろうが!!!!奥義発動するから時間稼げ!!」
時間稼げって…
「どうやって!?!?」
とりあえず俺は盾を二つ作り目に向かって投げた。




