プレイ初日の夜
「お疲れ〜武ちゃんどうだった?」
「キャラメイクしてちょっとチュートリアルしただけだよ。でも、なんか疲れた。」
「あれ?そんなに面白くない?」
「いや、レア種族とレア職業当選した。でも、制約があってソロ確定かな。」
「あちゃあ、武ちゃん万年『副長』気質だもんね。どのゲームしても副リーダーで人のサポートしてるイメージ。」
そうなのだ。今までどんなゲームをしてもソロプレイなんて面倒だし、大変なばかりなので取り敢えず誰かを見付けてサポートして誰かを前に置いて裏方をやるのが自分らしい戦い方なのだが、そもそも人に嫌われる宿命を背負った種族で街にすら素では入れないのだ、集団の中に入るとトラブルの種にしかなる気がしない。
「じゃあ、キャラメイクし直すの?」
「………再キャラメイクは100円になります。」
「じゃあ無理だね?…ゲーム諦める?それとも今のキャラで我慢する?………それとも課金してチョン切られる?」
「せっかくのレア種族とレア職業だ。せいぜい楽しむよ。」
先日の蹴り上げ事件で何とか生還したんだ、チョン切られてたまるものか!
「私もPioneerだっけ?やろっかな?」
「陽加もやるの?…6万8千円になります。」
「うぐっ…やっぱり高い…でも私だけ我慢するってのも気に入らないのよね…よし!買っちゃうか!」
これも日頃の行いのせいだというのか、自分は股関を蹴り上げられる程に怒られたと言うのに陽加の分はあっさり購入しちゃうらしい。
「レアな種族や職業になりたいならランダムでキャラメイクしないと駄目だからな?」
「武ちゃんがレアって事は………よく再設定に課金が必要なの知っててランダム選んだよね?お馬鹿というかゲーマーっていうか………まぁ、あんまり酷い事にはなんないでしょ?気楽にやるわよ。」
「女性プレーヤーで種族がゴブリンで基本職業クラスが踊り子、サブ職業クラスが歌い手になって即PKされた人いるらしいぞ?」
「………そうなったら即再キャラ設定ね。」
やっぱり陽加は課金有りなのか、未来の旦那に合わせて非課金プレイをしようとか思わないのか!?まぁ、ゴブリンしてる嫁も嫌だけど。
「で、私もはじめたら一緒にプレイする?」
「ん〜、ソロプレイ向きのキャラだし暫く色々と1人で模索してみるよ。どうにもならなかったら助けを求めるよ。」
「そう?じゃあ、お金渡すからゲーム買って来といてね!よろしくっ!あと、晩ご飯は武ちゃんの当番なんだからね!」
「はいはい、分かってますよ。今晩はあさりたっぷりのクラムチャウダーでございます。風呂長いんだから先入ってしまえよ?あ、湯は入れてるから抜かないでくれよな。」
「は〜い!じゃあシェフよろしく♪」