第85回
ボス「うちの部下を一人やったって?すごいじゃないか」
リコ「……」
ボス「私は褒めてるんだぞ、もっと喜べよ」
リコ「ふん……」
ボス「親が親なら子も子だな……、まあいい。本題に入ろう。お前、知ってるんだろう?例の書類。どこにある?もしおじさんに教えてくれたら、命だけは助けてやらんでもない」
リコ「そんなもの教えてもらってもないし、知らない。それよりママとパパは?」
ボス「ふーむ、お前も聞いただろう?あれだけの銃声が飛び交ったんだ。無事で済むわけがないよなぁ?」
リコ「……」
リコの目には少し涙が潤んでいた。
ボス「お前のパパとママは。とっても世の中の進化に役立つ素晴らしい研究者だった。人間に平等に技術を提供するという、夢の様な研究を行っていた。だが、秩序や常識は、技術によって平均がズレてくるんだ。俺から見れば、この世界はまだほどほどに平等にできている。そりゃ貧しい者は空腹に耐えたりしないといけないし、自分の足で立てない者だっているがな。まぁ、言い方は悪いが下を見ればいくらでも平等でないとは感じるよ私も。だがそれでも、人間個体の限界というものはいつだって存在した」
続けて男は話す。
ボス「例えば、人は走ったってチーターには追いつけないし、コンピュータのように完璧に物事を記憶することもできない。一度に人の話を同時に理解できることもできないし、数千キロの物を持ち上げることだって、いくら鍛えたって無理だ。だが、君のパパとママはそれを可能にする研究を行っていた」




