第8回
さっきからいろいろと残念な返答が返ってくる。本当にコイツは魔法使いとかなのか?
「魔法使いでは無いわ。あんたもアニメとか見てるならわかるでしょ?私は魔術使い」
「え?」
「さっきもとっさにやっちゃったけど、私は簡単で想像の範囲だったら、うっすらと人の心が読めるの。まあ魔術にもいろいろあるのよ」
「こええ…」
「まあ事前に“こういう事を考えてるだろう”っていう前提が無いとさっぱり見えないから私はまだまだよ。凄い人だと、無意識の中まで入れるし勝手に過去も探れる」
「それチートし放題じゃねえか」
「まあ、そう慣れる魔術使いなんて1000人に一人もいないわ。まあここの学校には過去に何人かいたようだけど……」
「隣の机の生徒の心を読んで、答案を写すとか…なんでもできるな」
「まあ、逆に私よりいい成績取れる生徒がいないから、私には関係ないわ」
「なんだよそれ、はぁ……」
「まあ、それだけ真面目に生きてるってワケ」
「でも天才なんだろ?」
「ま、そうだけどね(笑)」
意外な反応に戸惑った。
「へぇ、少し子供っぽい反応もするんだな」
「ふふん、少しはね。それよりほら、救急箱」
メイは救急箱を取り出した。俺の傷口を見るためワイシャツを脱ぐ。
「まさか私が人を部屋に入れる日が来るなんて…しかもいきなりこんな上半身裸だし」
「人?友達とか来るだろ普通に」
「友達?そんなのいないわよ」
え!?
「友達いねーの!?」
少し茶化してみることにした。
「と、友達なんていなくても死なないのよ!」
「そりゃそうだけど、でもお前、モテそうなのにな……」
「そ、そんなこと無いわよ。今だってほんと心臓バクバクなんだから」
「そうか?まあちょっと部屋暗いから分かんねえわ」
「ふ、ふん…アンタこそ妙に慣れてるんじゃないの?それより、結構傷口ひどいわね。一度シャワーで洗い流した方がいいわ」
「確かにな、風呂場借りるぞ」
「うん」
タオルを借りて風呂場まで歩く。このタオルやたら繊維が柔らかそうで、拭きにくそうだ。女ってのはこんなのがいいのか、わかんねえな。そんなことを考えながら学習机の横を通りかかると、様々な魔術の本が並んでいた。勉強中のノートや参考書が並んでいる。普通の勉強も続けてるんだな…
そんなことに感心しながら横切って風呂場に行こうとすると、1枚の写真立てが目についた。
「誰これ?」
「ゴメン、勝手に見ないでほしいかも」
「ご、ごめん…」
完全に今のはダメだったな。これがデリカシーってやつなのか?良く分からんけど。