第68回
数秒置いて、アキちゃんは話す。
「……シュンくんと離れ離れになるのだけはイヤだから」
「そっか。僕はこんなところ出たい。ここでみんなのように死んでしまうのだけは、御免だ」
「うん」
「今日だって、ひとり死んじゃった。あまり話さなかったからよく覚えてないけど、シゲルくんだったと思う。こうやって隣で名前曖昧な知り合いが死んでいく現状に、違和感も感じない僕らの感性。どう考えたっておかしいよ」
「シュンくんは人一倍、そういった理性とか感情が強いもんね」
「いや普通でしょ」
「私は、もう普通じゃなくなってるんだと思う」
「ここを離れれば、僕らは普通に戻れるよ。こんな鳥篭は抜け出すべきなんだ」
「それに魅力も感じられない……」
「じゃあ死にたいの?」
「……」
黙りこむアキちゃん。この話になると切りがない。
「じゃあ、行くよ」
ドアを押さえていた指を離す。自動でエレベーターのドアは閉まる。
「気をつけて」
「アキちゃんもね、何かあったらすぐに自分の能力で身を隠して」
そしてエレベーターはあがっていく。実際に乗ってみないと分からないと思うが、人が乗ることを想定されて作られていないエレベーターは、とにかく騒音がすごい。そして揺れる。怖がりな人はお勧めしない。はっきり言って2回目である僕自身かなり怖い。それでも無情にもエレベーターは前回と同様に壁をこすりながら、どこかとどこかを軋ませながら上っていった。




