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第41回

 呆然と灰のようになっている私に、ハチが尋ねる。


「ところで、例の研究、進んでます?」

「例の研究?どの例の研究じゃ、さっきから例の例のって」

「ああ、あれですよ、人工心臓」

「あ、ああ人工心臓な、あれはサクラ先生が、もう少し詰めればほぼ実現できそうとか言っとったぞ。いやぁ、サクラ先生と一緒に研究すれば、ゼロから人間の再現だって可能かもしれん」

「人工心臓、……心臓が無くとも血液の循環を可能にする装置。国外では割りとポピュラーですけど、うちの学校で研究するってことは、ちょっと人助けや医療の発展というよりかは、もっとドス黒い目的のための研究でしょうね。いやぁ、なかなかグレーな研究ですよね」

「グレーどころか真っ黒じゃ。こんなことに女子高生を使って、この学校はほんとなんなのじゃ!」

「でも、サクラ先生に近づきたいからって、法律完全アウトのマキナ先輩がその研究に」

「こ、恋は盲目なのじゃ……」


 ちなみにわしがサクラ先生のことを好きなのは基本秘密である。だが、ハチにはバレてしまった。本人曰くバレバレだったそうだ。仕方がないので恋の相談に乗ってもらっているわけだ。


「とにかくその手術で必要な、神経への麻酔ガスやらの研究費。ありがたく頂きますよ」

「うむ、サクラ先生のポケットマネーから出ておるらしいから、ありがたく、上手に使ってくれ」

「はぁい、分かりました。」


 ハチは去っていった。

 さて、一人になったし、私はサクラ先生から頼まれた作業を始めた。


「先生も、私が特別科なんだから、そこからお金を引き出せばいいのに」


 でも、生徒に援助してもらうなんて、という熱いプライドがあるらしく、頑なに拒否される。自分の生活費を削ることにより、切羽詰まった感が出て、研究が熱くなるそうだ。他人の金でパチンコや麻雀したって緊張しないだろ?と言われたが、やったことがないので分からない。


「さてと……」


 先生から頼まれた資料を見る。ああ、これか。


「孤児の人体実験の後始末……ほんとエグいわね」


 ページをぱらぱらっとめくる。とりあえず、今年は死亡者はいないみたいだ。危険な研究はだいぶ内部でも反発が起きて研究も足踏み状態らしい。健全だ。昔にくらべてこの島もいい方向に向かっているのかもしれない。

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