第34回
「なに話してるの?」
そこに、メイが風呂に上がって出てきた。シャンプーの甘ったるい匂いがする。
「コイツに色々聞いてたんだよ、俺らが思ってたのと色々違うかもだぞ」
メイが風呂に行ってた間の話を俺はメイにしてやった。
「なるほどね、大体は分かったわ。まあ証拠がないから開放はやっぱり難しいわね」
「だよな」
「まあ、まだ生きてて私達とは違って、今日の出来事を事前に予測していた人物がいるようね」
「でも、コイツが学校の遅れたのは、道に間違えたからだぞ」
「でも依頼人は僕の方向音痴を知っている、それまで計算に入ってたとしたら……」
真剣に考えるミカド。確かに依頼人もミカドがここまで方向音痴ならば、理解があってもおかしくないかもな。
「とにかくうちの依頼人に会ってみません?多分変なことにはなりませんよ」
「その依頼人、というのはどこにいるの?」
「きっとあっちの校舎のどこかですね」
指差す方は、俺が日々勉強をしている、本校舎だった。
「僕の身体能力があれば、本校舎に向かうことは赤子の手を捻るように簡単です」
「でも、アナタ、シュンに負けてるじゃない」
「いやいや、あれは僕も油断していましたし、シュンさん、かなりの腕前ですよ?」
メイが俺の方を見る。
「現に2階と3階のセキュリティロボを倒したのは俺だ、モヤシだけどな」
「根に持ってるの?ゴメンて」
「いや、いいよ」
そんな話をしている中、ミカドがビニールテープを解こうとしている。
「おいこら、なにやってんだ」
「いや、こう見られてる状況なら、実力でこのビニールテープを剥がしてしまえば、勝手に逃げ出したことにはならないかなと考えまして」
「そんなことしてみろ、またスタンガンだぞ」
「うーん、それも困りますね、でも今スタンガン持ってないですよね」
「うっ……」
そんな話をしていると、ミカドは腕、次に足と、ぐるぐる巻きにされていたビニールテープを引きちぎってしまった。
「すいません。脱出できてしまいました」
くそ、ここはまた能力を使って……
「まあまあ、落ち着いてください」
そんなことを考えるより先に、ミカドは俺の後ろに回って、俺の両腕を掴んでいた。
「手荒なマネはしません。アナタ方はおそらく特別な存在であることは、依頼人からなんとなく聞いていますので。ほら、僕のこの強くあり、そして優しさ溢れるシュンさんへの愛、分かりますか?」
ミカドが言っていることは確かに正しかった。拘束はされているが、痛みなどは感じない。
「……き、気持ち悪いこと言うな」
「完全に立場が逆転してしまいましたね。まあ、殺さなかったあなたの弱さが原因ではあります」
「シュンをどうする気?」
「シュンさんだけではなく、アナタもです。メイさんと言ったかな?シュンさんのことが心配なら僕についてきてください」




