第32回
「それは、言えません」
「そうか」
「それにしてもスタンガンを隠し持っておられたとは、完全に油断していました」
「すまんな、メイを助けるためだった」
「まあ、殺されなかっただけ良かった、今の僕はそんな感じです。逆にありがとうございます」
「なんだそりゃ」
「僕がアナタだったら殺してたと思いますよ、こんなピンチな時に、武装されたロボット相手も粉々にしちゃう人間は」
「そうか?お前は話せばわかるヤツだと思ったけど」
「そうですか、それは意外だ、よかった」
多少変だが、案外冷静にしゃべるミカド。
「最低限、ことを荒立てるつもりはありません、最低限、アナタにも逆らいません」
「分かった、じゃあ何か今回の件で知ってることはないか?」
「今回の件っていうと、その、アナタの話でしか聞いていないですが、体育館で生徒が死んだとかいう?」
「そうそれ」
「ん〜、すみません。本当にその件に関しては僕はまったく知らされてないです」
「知らされてないっていうと?」
「依頼主は僕を入学させた」
「入学させた?どうやって?」
「裏口入学ですよ……」
裏口入学?ってことはコイツの依頼人は学校関係者か?
「そんなこと出来るのか、うちの学校は」
「カネさえ積めば、割りと何でもありだと聞いています」
「知らなかった……」
まあ、金なんてないし、そもそもコネあっての裏口入学だ。俺には無縁だろう。
「僕が連れ去ろうとした女の子は?」
「今風呂に入ってるよ」
「やっぱり付き合ってるんじゃないか!」
「いやねえよ」
「まあ、起きてるんなら良かったです、それより」
窮屈そうに、手足のビニールテープを見ながらミカドは言った。
「このビニールテープ、解いてもらえませんか?」
「いや解いていいわけないだろ」
「もう僕に敵意はありませんし」
「誰が信じられるか!それにメイを連れて来いって命令があったんだろ?」
「ああ、それですか。それは彼女を保護するためだったんですよ」
「へ?」
保護?




