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第30回

「でもそれほどの能力だったら、あんたも特別科に入れたでしょうに」

「確かに研究費が出るのはすごく魅力的だよ。だけどな、この能力はあんまり人に見せないようにしてるんだわ」

「なんで?」

「自分でも原因が分からないから、お前みたいな魔術だとか、そういう何か要因となる理由が自分の中にないんだ」

「なるほど、でも単純に身体能力が抜群に優れてるんじゃないの?」

「お前、さっきの階段での俺の走り、見ただろ?」

「……あ」

「そう、俺は運動神経は下の下なの。逆上がりもできないし、50m走は確か9秒後半だったかな……」

「確かに、そう考えるとあんたはぱっと見モヤシだしね……」

「うるさいよ」


 気にしてるよ。


「俺がこの島生まれで、この島育ちな話はしたよな?」

「うん」

「多分なんだけど……俺は多分人体実験の被験者なんだと思う」


 メイの目が変わった。


「……思う?」

「記憶は全くない。だけど、もっと小さな頃はこんな能力無かったよ」

「いつから能力に目覚めたの?」

「小等部の時かな、友達が……ッ……」


 例の頭痛だ。


「ああ、思い出さなくていいから。ゴメン……」

「とりあえず学食、行けなかったな」

「うん、事態を甘く見すぎていたわ」

「腹減ったぁ~」

「我慢しなさいな」

「能力を使うとやたら腹がへるんだよ」

「そうなのね…本当にさっきはありがとね」

「礼はいらねえよ、元々お前が俺を助けてくれたんだろ?体育館から」

「まあそれもそうね」


 そういうと、壁にへたれこむメイ。


「大丈夫か?」

「色々ありすぎてさすがに疲れたわ…ちょっとシャワー浴びてくる」

「気をつけろよ」

「うん」


 ふらふらとバスルームに向かうメイ。


「ふぅ、俺もさすがに疲れたわ」


 床に横になる。


シャーーーー……


 シャワーの音がする。


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