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第18回

「でだ。とにかく知ってほしいということは、この学校は人体実験を行ってるってこと。これは既に裏付けは取れた。だけど世間を納得させるまだ証拠は持ってない。入学して早々僕も相当狙われてるけどなんとか逃れてるよ。アイツらしっぽはなかなか出さないからね。僕への誘い方も凄く上手くてね。同級生は何人か連れ去られたよ」


「僕らみたいなチカラをもった人間は利用されちゃうわけ。抵抗する暇も与えないままにね。訴えようにも上のほうもグルみたいで、もみ消されちゃうし、困ったもんだ。というわけでメイ。僕はもうちょっと深い部分まで探ってみます。かなり危険です。メイには、僕みたいな人生は味わってほしくないから。決してこの島には来ないように。普段の僕の行動でそれは読み取って欲しいです。じゃ、またね」


「このテープと青いビー玉のようなものが10年前、突然うちに送られてきたの」

「これは死ぬのが分かっている遺書だな」

「どうかしら、このテープ日付と時間指定で送られてきたの。本来兄が生還していたら、テープを私の自宅で回収することもできたはずだから」

「なるほど、死なない選択肢も兄本人にはあったかもしれないってわけか」

「にしても、テープの声、なんだか変になってるな」

「私がまだ小さい頃だったから、何度も再生したせいでテープが伸びちゃって普通の声より低くなっちゃってるのよ」

「なるほどね、写真の顔からは想像できないと思ったよ、この音源も久しぶりに聴いたわ」


 切ない顔をしたメイは無理に微笑む。


「お兄さん、お前にはこの学校に来てほしくないとか言ってたけど」

「兄の思いには感謝してる。だけど、私は兄を奪ったこの学校が憎い」

「復讐か?」

「復讐とは決まったわけではないわ。兄が死んでいるかどうかは決まってないから。いいえむしろ、生きてるんじゃないかって最近では思うの」

「………」


 なんと返事していいか分からず黙ってしまった。


「妄想だとか、そんなふうに思われてもいいわ。とにかく今日という最悪の日を私は待っていたの。来るかも分からないこの日をね」

「行くのか?」

「行くわ、でもアナタはここにいたほうがいい。はっきり言ってあのおかしな放送で宝探しをするって話。こんな命がけの状況も作ってるハチの行動は、私も意味がわからない」


 そう言うと、メイは荷物をまとめ出した。すぐにでも出発しようとしている。なんだか俺一人だけ、ここの部屋で待機するってのもダサいな。そんなことも考えるが外に出て俺がやれることなんて、犬死にするだけだ。


「じゃあ行くわ…元気で」

「待てよ」

「なに?」

「えーと、その…」


 考えなしに引き止めてしまった。次の言葉を、言わなきゃ……だが、それがただの意地だということも分かってる。


ぐぅ…


 口からではなく、お腹から声が出てしまった。


「おなかすいてるのね…」


 いっきに二人の空気がやわらいだ。


「カップ麺が、そこにあるから、食べてなさい」


 指さした方には、良くあるカップ麺が数個置いてあった。


「あーこれか。メイ、これ好きなんだ?」

「そうね、忙しい時はたまに食べるわ。」

「俺も昔はよく食べてたわ、でももう最近は食べないな」

「なんで?」

「食べ過ぎて飽きちまったからなぁ」

「まあ、お腹に入ったら同じよ」

「もっと美味いもんが食いてえな」

「贅沢言わないでよ」

「いや贅沢なんかじゃねえよ」

「へ?」

「うん。俺にも外に出る理由、出来たわ」


 俺ははにかんだ。


「………本気?死ぬわよ」

「メイ、俺はひとつだけある特技がある。これは誰にも知られちゃいけないから具体的な内容は伏せとくけど、俺は死なないと思う。あとさ」

「うん…」

「なんつーか、ごめん。寝てた時お前寝言言っててさ。それ聞いたら、ほっとけなくなった。」

「ね、寝言!?どんな!?」


 恥ずかしそうにテンパるメイ。


「お兄さんのこと、呼んでたよ。泣きながらな……」

「そっか、その寝言まだ治ってなかったんだ」


はぁ、とため息をつくメイ。


「だから一緒に行こうぜ。大丈夫、足手まといにはならないから」

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