第17回
「ほら、一応起動はしてくれるからな。今までの情報は引き出せないけどこれからの情報は全部記録してくれるようになる。起動し続ける限りな」
「まあ、これからどうなるか分からないし、とても頼もしいわ」
「ありがとうございマス!」
「あれ?この子しゃべれるの?」
「初めまして、私の名前はアイです。アナタの名前は?」
「私はメイよ」
「よろしくお願いします、そして隣の方はご主人様のシュンですネ」
「お、覚えてるのか?何で?」
「ちょっとだけローカルに最近書き込んだキャッシュなどが溜まってたり
してマス。自動的にそこのデータを読み取っていマス、まあ容量の少ないテキスト情報のみですガ」
「あ、そういえばそんな設定したな。圏外の場所でも、ちょっと情報みれたらいいなって」
「シュンなかなか、とんでもないことに巻き込まれてますネ」
「そうなんだよ、腕も怪我しちまったし…かすっただけだけど」
腕を見せる。
「これぐらい男の子なら大丈夫ヨ!」
「おう、性格もいつもどおりで良かったわ」
「本当にこれAIなの?」
メイが疑っている。
「だいぶ俺の趣味で人間っぽくなってるからな。性格のイメージは生まれた時から一緒だった幼なじみのヒロイン」
「本当に趣味入ってるわね…」
そりゃそうだ。学園生活で浮いた話のない俺は、この性格プログラムには相当力入れてるからな。いつか、本当の人間を超えるほど会話が出来るプログラムを組みたいとも思っている。
「さて、シュン。放送を聞いてアナタはどう思った?まずはそれを聞きたいわ」
「どう思った?そうだな…怖いと思った」
「じゃあどうするの?」
「逃げたい……けど、外に出るのも危険だしな」
「そうね、ここにいるのが今は一番安全だわ」
「でも、メイに悪いしなぁ…」
「それは気にしないでいいわ……緊急事態ですもの」
「そうかぁ、じゃあここでほとぼりが冷めるまで待機とか」
「ハチの話に関しては?」
「俺は興味ねえな……もうさっきみたいなのはゴメンだ」
「そう…じゃ私達はここでお別れね」
「…え?」
「私は少し準備したらここを出るわ」
「正気か?死ぬかもしれねえんだぞ?」
「分かってるわよ、でもこの日を待ってたの、私は」
真剣な眼差しのメイ。
「この日?」
「さっき言った兄のこと。遺書のテープにあったのよ、テープをデジタル化
したものを今流すわ」
メイはスマホをいじり、録音されたデータを再生し始めた。
「聞こえますか、メイ。なんだか、こんな形で最期のあいさつになるなんて
僕自身も信じられない。何かの映画じゃあるまいし。自分でも信じられない
けど良く聞いてほしい。まず、このテープを聴いてるってことは僕は
もうこの世にはいないものだと考えられる」




