一話
オリジナルは処女作です
文がおかしい部分も多々あると思いますが、よろしければ読んでやってください
…ここは、どこだ。
真っ白な世界にいる、上下も、左右もひたすらに真っ白だ。現状がわからない、今までにこんな世界を見たことはなかった。
「無様だな」
声が聞こえた、姿はない。だがこの声を聞いて現状を把握する。
そうか…俺は『また死んだ』のか。
「そうだ、仲間を守ろうと必死に戦い、だが守れず無様に死んだ」
喋ってもいないのに応える声。まあこいつには文句なども無意味だ、スルーする。
「悠埜、お前は強くなった。だが『だが弱すぎる』正直期待はずれである」
悠埜。俺の名前である。【馬渡 悠埜】ちょっとしたことから鬱陶しい【自称神】に絡まれている。
「これでも強くなったんですがね、俺の結界ぶち壊す相手が異常すぎるんですが…」
「確かに力は強くなった。だがへたくそだ。せっかくの能力を使いこなせてない、だから死ぬのだ」
…手厳しい。ホントに強くなっていたつもりだったんだがな。この上司には全てお見通しなのかね。
「と、いうわけだ。『お前のほとんどの能力、身体能力、武具、道具のほとんど』を没収した。この状態でまた別世界でやりなおして来い」
とか言いやがった。
「はい?俺が何度の死を克服して今の技術と能力を身に付けたと思ってるんですか、というかそれら没収するとか今までの俺の人生を全否定してるんですけど」
「知らん、お前が弱いのが悪い。文句があるなら我を倒せばよかろう?」
このやろう、確実に無理なこと言ってきやがった。というかこっちはお前がどこに存在しているのかすら知らないんだから倒しようがねぇよ。
「ちなみに昔と違って最初はイージーにしたりしないからな、いままでどおり苦労しろ。あといきなり死ぬなよ? これは修行なんだからせいぜい生き残ることだな。とりあえず死ななきゃ及第点にしてやるから」
…言うだけ無駄だから言わないが『なにその無理ゲー』である。あまりの理不尽さに文句をいいたくなるが。
「と、いうわけだ。早速行ってこい。じゃあな」
とか気楽な言葉で異世界へ送られ、世界は暗転する。
…暗転した世界に光が戻る。
「ここは…草原?」
転生させられ到着した場所は、何もないただの草原だった。
「もっと、こう、いきなりモンスターとかに囲まれてフルボッコなのを想像したんだが…」
だが現実はこうである。しかしあのくそ上司のやることである、油断は出来ない。そもそも自分が今どれくらい戦えるかすらわからないだ。警戒してしすぎるということはない。
とりあえず耳をすませ、周りを見渡す…何もない。いや…この音は…
カキィン…カキィン・・・
(―――――!遠くで誰かが戦っている。しかも恐らくヒトである側が圧倒的に不利だ。)
…誰か…助けて―――――!
その言葉を聞いた、聞いてしまった悠埜は即行動を起こす。
「―――――縮地!」
悠埜が長い時間をかけて身に付けた最速の移動法である。しかし…。
「…身体が動かない…いや身に付けたはずの縮地が使えなくなっている!?」
(そういえばあのくそ上司が言っていたか…能力のほとんどを没収したと、ということはこれ以外も…―――――瞬歩!)
だがやはり不発。
「くそが!全力で走るしかないってか!?間に合ってくれよ!」
全力で走ること約5分、ゴブリンのような明らかにザコそうなモンスターと少女が争っているのが見えた。そう、明らかにザコそうなモンスターである。だが…
(数がおかしい!ざっと見たところ100はいるぞ!?何かの軍か?いやそれだったらなぜあの女の子が1人で戦っているのかがわからない)
見ながら戦力の確認をする。相手はゴブリンが100以上。こちらは弱体化させられた俺のみ。あの少女の味方をするつもりではいるが、そもそもこっちを味方と思ってくれるかがわからない。ならば戦力は自分1人と考えるのが妥当だろう。
こちらが全力で走ってくるのが見えたのだろう。少女がこちらを目視する。だがそれは…
「バカやろう!前だ!」
「え…?」
敵は悠長にも隙だらけになった少女を襲わない理由がないのだ。あたりまえだが襲ってくる。
「キャ…キャァァァァ!?」
女の子が叫び声をあげる。無理だ、この距離では届かない…
「なんて、そんなことで諦められるかーっ!」
(瞬歩―――――。制御は捨てろ、使いこなすのは不可能なのはわかっている。だがただ突進するだけなら?ただ加速するだけなら?)
「能力が奪われたからって目の前の少女を見捨てられるか!」
…そうして、悠埜はゴブリンの前に躍り出た。瞬歩は成功した。だがただの加速で、場に躍り出ただけである。あまりにも無防備。それでも、少女の命は終わらなかった。間に合ったのだ。
「え…」
少女は絶句する。いきなり現れた青年が自分の身を守ってくれた。それはわかる。しかし、『無防備な青年の身体に致命的な攻撃が入る瞬間を見てしまった』
「イヤァァァァァァ!」
さて、主人公はどうなってしまうのか
本当にすぐに死んでしまうのか?