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5 街中のアーティスト

 佐倉の壁画イベントはなんと横浜の国道沿いで行なわれた。僕は車に脚立を載せて佐倉が指定した場所に到着した時に仰天した。なんと約束した時間前に佐倉が約束の場所にいたのだ。

「佐倉!どうしたんだ?」僕は思わず声をあげてしまった。

「何が?」佐倉は僕が言ったことの意味が分かっていなかった。

「だってお前まだ約束の時間前だぞ」と僕が言うと佐倉は「あれ?約束の時間なんて決めてたっけ?」と佐倉が言った。佐倉は僕に言った約束の時間そのものを忘れていた。

「こんな早くから来て何をしていたんだ?」と僕は佐倉に聞いた。

「イメージを浮かべていたんだよ。もう三時間もいるんだけどねぇ、パッとしないんだよなぁ」佐倉は壁を見つめて悩んでいた。その日の佐倉の服装はそれまでで一番すざましかった。Tシャツはヨレヨレでまだらに何色もの色が付着していた。ジーパンも同様にペンキをぶちまけた様な柄が着いていた。作業着だってもっとマシだった。佐倉は僕が到着してから三十分以上ブツブツ言っていた。壁に触ったり、離れて眺めてみたり、叩いてみたり、何をしているのかサッパリわからなかった。傍で見ていたらアブない人だった。そんな佐倉を眺めていた僕もかなり怪しい人に違いなかった。

「おーい、蒲田ぁ、脚立持ってきてぇ」と佐倉が突然言った。僕は即座に要求に応えた。すると佐倉は脚立を立てて登り始めた。

「おぉ!おぉおぉっ!」佐倉は意味不明な叫びをあげた。

「ど、どうした?」僕は佐倉の異変に驚いて甲高い声をあげた。

「でたぞぉ!イメージが湧いたぞ」佐倉が奇声をあげて脚立の上で大喜びした。佐倉は脚立を下りると大きな布袋からスプレー缶を取り出し「蒲田、離れて」と言った。僕は佐倉に言われて三メートルほど離れた。

「さて始めるぞぉ」佐倉はスプレーを壁に向けて噴射した。


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