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第20話

蓮を含めた四人は、科学準備室に戻った。

不可は綾瀬先生の前に立たされ、月に「不可、謝りなさい」と促される。しかし、まだどこか不貞腐れている不可に、月が代わりに深々と頭を下げた。

「綾瀬先生、不可がご迷惑をおかけしてすみません」

「本当に犬飼(いぬかい)はこいつの保護者だなぁ」と、綾瀬先生は笑いつつも呆れた顔をする。

蓮は(いつ俺は帰っていいのだろう)と思いながら、部屋の隅で静かに立っていた。

綾瀬先生は溜息をつきながら、マグカップを思議乃の前に差し出した。

「とりあえず、思議乃(しぎの)、これ元に戻せ」

(そういえば、マグカップを改造したと言っていたな)蓮は思い出す。

「えー」

思議乃と呼ばれた女子生徒は不満そうに声を上げる。

それに対して、小柴陽(こしばよう)がマグカップをつんつんと触りながら口を開いた。

「結局このマグカップ、なんなの?さっき最強アイテムとか言ってたけど」

陽の一言で、思議乃は途端にご機嫌になった。

「よくぞ聞いてくれた!」と言わんばかりに、説明を始めた。

「まず、マグカップにコーヒーを入れるでしょ」

思議乃は説明をしながら、棚からコーヒーを取り出し、マグカップに注いだ。

「でね、ここの取っ手についてあるボタンを押すと!」

言いながら、思議乃がボタンを押した瞬間、カシャリという小さな機械音と共に、取っ手から細いアームのような機械が出てきて、机上にあった砂糖入れからスプーン一杯分ほどの砂糖を掬い、コーヒーに入れていく。

「ね、便利でしょ?」

どや顔をする思議乃に、陽は目を輝かせて「おおー、すげぇー!」とはしゃぐ。

月も「なるほど」と、どこか納得したような表情だ。蓮も心の中で(おぉー)と思ってしまっていた。

しかし、肝心の持ち主である綾瀬先生は、やはり不服そうだった。

「確かに凄いんだがな。俺はコーヒーはブラック派で、砂糖も入れない。さらに、ボタンが取っ手についているから、マグカップを持とうとすると強制的に砂糖が入ってくる上に、しかもボタンを押す度に砂糖を入れようとしてくる。これじゃダメだろ」

綾瀬先生の的確な指摘に、思議乃は「確かに……」と、詰めが甘かったわ、と少し落ち込む様子を見せた。

だが、思議乃の隣にいた陽が、すかさず口を開く。

「先生、ブラックコーヒー飲めるんですか!?大人だぁ!」

いまの空気とは全く合わない、的外れだが純粋なその発言で、部屋の空気が一気に陽の空気に変わっていく。

そんな陽の発言に、思議乃はくすくすと笑顔になった。

「確かに、ブラックコーヒー派なら、この機能は先生には要らないみたいね」

「元に戻すわ」と言い、思議乃はマグカップを手に取り、改造した部分を戻そうとする。

その横で、また陽が口を開く。

「でも不可ちゃん凄いね!俺はコーヒー、砂糖入れないとだし、めっちゃいいアイディアだったよ!」

にこにこと目を輝かせて不可に言う。それに対して、

「でしょ!アイディアは完璧だったのよ!」

と、思議乃はご機嫌になった。

そんな二人を、月は大事なものを見るような目で見守っている。

その顔を見ていると、月は蓮の方を見てきて、改めて言った。

「先輩、今日はすみませんでした」

「いや、大丈夫だ」と蓮は返す。

「そういえば、自己紹介まだしてなかったですね。俺は1年の犬飼月です」

月が陽の方に目を向けると、陽は勢いよく名乗った。

「俺は1年の小柴陽!」

そして、陽が思議乃を指さして言った。

「で、私が天才発明家の思議乃不可よ!よろしくね先輩」

そう言うとにこっと笑った

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