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第16話

今朝、教室に入ると、生徒会の仕事がある学海はすでに席にいなかった。

ひよりは自分の席に座り、校内集会が始まるまでの時間、ぼーっとしながら前の席に座る花守萌のかばんが目に入った。

そのかばんには、可愛らしい「はなうさ」のマスコットが着けられている。

思わず、ひよりは花守に声をかけていた。

「花守さん、はなうさ好きなの?」

急に話しかけられてびっくりした様子の花守は、ぐるぐるメガネの奥の目を丸くした。「え、ええと...」と少し返答に悩んだ末に、こくりと小さく頷いた。

「はなうさ、かわいいよね! 私も好きなんだ!」

同じキャラクターが好きだとわかると、ひよりはもっと仲良くなりたいと思い、会話を続けようとした。

その時、チャイムが鳴り、綾瀬先生が教室に入ってきた。

「はい、静かに〜今日は校内集会があるから、みんな廊下に並べ〜」

先生の指示に従い、ひよりたちは廊下に整列する。

(また花守さんと話せたらいいな)

ひよりはそう思いながら、ゾロゾロと校内集会が行われる体育館へと向かった。

集会というのは、いつの時代も少し退屈なものだ。ひよりは、壇上の先生の長い話を聞く。周りには、小声でお喋りしている生徒もいる。

そんな中、壇上にいた生徒会長であろう、整った顔立ちの男子生徒がマイクを握った。

「続きまして、理事長からのお話です」

生徒会長のその言葉に、さっきまでざわめきと話していた生徒たちが、一瞬にして水を打ったように静かになった。みんな一斉に前を向き、壇上の上に現れた人物に目を向けた。

ひよりもまた、その壇上の上の人物に目を向けて――呼吸を忘れたように息を飲んだ。

そこに立っていたのは、昨日駄菓子屋で会ったばかりの、少女、ルナの姿があった。

(えっ、どういうこと!?今『理事長』って言ってたよね!?)

ひよりは内心パニックに陥った。まさか、かれんの親友が、この学園の理事長だなんて。

壇上のルナは、生徒たちを静かに見下ろすように立っていた。そして、ひよりは、確かに目が合ったような気がした。

目が合った瞬間、ルナは楽しむように口元をわずかに歪めたように見えた。

そしてルナはマイクを持ち、静かな声で言った。

「どうやら、最近転校してきた生徒がいるみたいだから、改めて自己紹介するわね」

その言葉に、同じクラスの何人かが一瞬ひよりを見たあと、すぐにまたルナの方に視線を戻した。

「私の名前は、天光院ルナ。この学園の理事長よ!」

本当にルナが理事長!?驚きすぎて、ひよりは喉が張り付いたように声を出すことすらできない。

ルナは続ける。

「さて、今日話したいことは……」

ルナは少しためてから、宣言した。

「来週!花見山花見山(はなみやま)に、全校生徒で登ります!」

その言葉に、生徒会長が慌ててマイクに飛びついた。

「ちょ、理事長!そんなの聞いてないですけど!」

それにルナは優雅に微笑んだ。

「えぇ、だって今私が決めたんですもの」

生徒会長はその言葉に、諦めたように天を仰ぎ大きなため息をついた。

ルナが理事長であったということ。そして、急遽決まった全校山登り。急な展開すぎて、ひよりはただただ驚愕のあまり、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

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