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第15話

ひよりは、かれんとルナに促され、店の奥にある休憩スペースの小さなテーブルについた。

「これにね、当たりがあって、当たったら綺麗なスーパーボールがもらえるの!」

かれんは、開けかけのお菓子のパッケージを指さして、キラキラと目を輝かせている。小学生らしい無邪気さに、ひよりは思わずくすっと微笑んでしまう。

そんなかれんとは対照的に、ルナは冷静な口調で言った。

「私はスーパーボールが欲しいっていうよりも、統計的に当たりがどんな確率で出るのか知りたいだけよ」

小学生とは思えない論理的な言葉に、ひよりは少し圧倒された。

それを聞いたかれんが、機転を利かせて尋ねた。

「じゃあルナが当たったら、そのスーパーボール、かれんにくれるの?」

「いや、それは私が当てたんだから、私がもらうわよ」

ルナは少しかれんの質問に動揺するように答える。

かれんはくすっと笑った。

「なんだかんだ、ルナ、スーパーボール欲しいんでしょ?」

くすくす笑うかれんに、ルナは「違うよ!」と反論するけれど、またそれにかれんは「素直じゃないな〜」と返す。本当に仲がいいようだ。

どうやら二人はこのお菓子を三つずつ買ったらしい。それを見て、ひよりも声を上げた。

「じゃあ、私もそのお菓子買ってこようかな!」

ひよりはおばあちゃんの元へ行き、「これ下さい」と同じお菓子を三つ差し出した。「はいよ」とおばあちゃんはにこにことお会計をしてくれる。

お会計を終えた後、おばあちゃんはすこし無言でひよりを慈しむようにじっと見つめていた。

ひよりは「なんだろう?」と思っていると、おばあちゃんはふいに言った。

「あの娘に似ているね」

「ん?」

何に似ているのか聞こうとした、その時、奥からルナに呼ばれる声がした。

「まだ?早く来なさいよ」

「今行くー」とひよりが返事をする。ひよりは、結局誰に似ているのか聞き逃しちゃったな、なんて思いながらかれんとルナの元に戻った。

「じゃあ、開けるよ!」

かれんの声で、三人はドキドキしながら一斉にお菓子を開けていく。

それぞれ一つずつになった。そして、ひよりのお菓子に書かれていたのは――「当たり」の文字。

「わあ! 当たりだ!」

三人は声を上げて喜んだ。

「交換しに行こ!」

かれんがひよりの手を引いて、おばあちゃんの元へ行く。

おばあちゃんも「おぉ、当たったのかい?」とにこにこしながら、当たり券と交換にスーパーボールをくれた。それは想像していたよりも本当に綺麗な、まるで小宇宙のようにキラキラと輝くスーパーボールだった。

それをじーっと、かれんとルナも見ていた。

(あげたいけど、一つしかないし、どうしようかな...)

ひよりが考えていると、ルナがひよりの考えを見透かしたように言った。

「あなたが当てたんだから、あなたのものよ。遠慮しなくていいわ」

それに続けて、かれんも言う。

「そうだよ、ひよりお姉ちゃんが当てたからね。次はかれんも当てるから大丈夫!」

自信満々な笑顔に、ひよりは微笑んで「じゃあ」と、そのスーパーボールを大切に持って帰ることにした。

その後、かれんがおばあちゃんと話し始めたので、ルナとひよりは二人っきりになった。

「すごく楽しかったね」

思わず言葉にしたひよりに、ルナも素直に頷いた。

「私も楽しかったわよ」

ルナはさらに続けた。

「かれんといると、毎日が楽しくてキラキラした時間になるの。今日はひよりとも一緒だったし、いつもと違う日が過ごせて良かったわ」

それに対して、ひよりは微笑んで言った。

「『今日』という時間は今しかないけど、今日の思い出は永遠だね」

その言葉に、ルナは少し目を丸くさせて、何かを考え込むように黙り込んだ。

そして、ほとんど囁きのような声で「もしかして、あなた……」と何かを言いかけた。

その時、かれんの声がした。

「ルナ〜!ひよりお姉ちゃん〜!そろそろ帰ろー!」

それにルナは「そうだね、帰ろう」と返事をしたあと、ひよりに向き直って言った。

「また明日ね」

「明日?」

ひよりは不思議に思ったけれど、『明日もまたここにいるから、来てね』という誘いなのかな?と、良い方に考えることにした。

「じゃあね、また会おうね、ひよりお姉ちゃん!」

元気に手を振るかれんに、ひよりも笑顔で元気に手を振り返した。

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