第14話
放課後、クラスメイトたちが昇降口を通り過ぎ、それぞれの帰路につき始める中、花咲ひよりは一人、いつもと違う方向へと歩き出した。
(学海ちゃん、生徒会で忙しいんだよね)
昨日は学校探検をしたから、今日はどこに行こうかと、まだ慣れない街をきょろきょろと見渡しながら歩く。
新しい街での発見が楽しくて、思わず声が漏れる。
「今日はどこ行こー?」
特に目的もなく歩いていると、ふと、懐かしい風景が目に飛び込んできた。
「わぁ! 駄菓子屋さん!」
年季の入った木枠の引き戸に、色褪せた暖簾が静かにかかっている。ショーウィンドウには、カラフルなパッケージのお菓子が所狭しと並んでいた。その光景に、思わずひよりは胸を高鳴らせる。
(なんかここ、昔、おじいちゃんと来たことある気がするー!)
胸をキラキラと輝かせながら店の中に入ると、奥から「いらっしゃい」と優しく声をかけてきたのは、白髪の店主のおばあちゃんだった。
「こんにちは」
ひよりも声を返す。
「わあ、懐かしいお菓子ばっかり!」
棚を眺めながら、子供の頃の記憶と、祖父と分け合ったお菓子の味を思い出し、余韻に浸っていると――。
「あれ? ひよりお姉ちゃん?」
聞き覚えのある、可愛らしい声がした。声のする方、店の奥を見ると、棚の隙間からひょこっと顔を出したのは、望月かれんだった。
「わぁ! ひよりお姉ちゃんだぁ!」
かれんは小走りで近づいてくると、ひよりに勢いよく抱きついてきた。
「わぁっ、かれんちゃん!」
ひよりはよろめきながらも、小さな体をしっかりと受け止める。
「どうしてここにいるの?」と尋ねようとしたその時、かれんの後ろから、一人の女の子が現れた。
黄金の髪色で、両サイドにお団子を結んでいる、かれんと同じくらいの歳の女の子だ。
「ねぇ、かれん!急に一人にしないでくれる?」
少し不満そうな声で、その女の子はかれんに話しかけた。
「ごめん、ルナ」
かれんはすぐにルナに謝る。
ひよりはそんな二人のやりとりを微笑ましく眺めていると、かれんがルナを紹介してくれた。
「あのね、ひよりお姉ちゃん。私の親友の、ルナだよ!」
ひよりはすぐにルナに自己紹介をした。
「こんにちは、花咲ひよりです。かれんちゃんのお友達なんだね」
ルナはひよりの全身を、特に制服をジロジロと見ていた。
するとルナは、興味が失せたように「ふん」と鼻を鳴らし、かれんに戻るよう声をかける。
「さあ、戻って続きの開封作業をしましょ」
「あ、ルナ!ひよりお姉ちゃんも一緒にしよ!」
かれんはひよりのスカートの裾を掴んで、引っ張る。
「え、一緒って、何を?」
かれんに呼ばれた方へ行くと、店の奥の休憩スペースのような場所で、二人は当たり付きのお菓子を開けている最中だったようだった。




